
■連載/阿部純子のトレンド探検隊
LABI池袋本店が9月にリニューアルオープンした。リニューアルのコンセプトは「圧倒的な品揃えと、3世代が楽しめる提案型の売り場」。国内最大級の家電売り場と、大塚家具とのコラボレーションにより、家電から家具までくらしに関わる幅広い商品群を展開する。
IDC OTSUKA 池袋ショールームとの2館体制で家電に特化させた新・LABI池袋本店
旧LABI池袋本店は1館で家電、家具・インテリアを展開していたが、リニューアル後は家電に特化した家電専門店の「LABI池袋本店」と、家具・インテリア館「IDC OTSUKA 池袋ショールーム」の2館で展開。それぞれの専門分野をリンクさせながら、「くらしまるごと」をテーマに提案する。
「家電購入、家具・インテリア購入で得たヤマダポイントは相互の店舗で使うことができ、相互来店を促すことで2館ならではのシナジーを生み出し、さらに家電と家具の同時配送サービスなどでお客様の利便性を高めていきます」(株式会社ヤマダデンキ 代表取締役社長 佐野財丈氏)
「テーブル、ソファーなどのインテリアをひとつの空間の中で提案するなど、個々の商品の配置や、日々のくらしの中でその商品をどのように使うか、よりイメージしやすい提案型の売り場構成にしている」(株式会社ヤマダホールディングス 代表取締役社長兼COO 上野善紀氏)といった、リアル店舗ならではの商品やサービスを体感できる売り場が特色となっている。
LABI池袋本店は、総売場面積約5000坪で地下2階から6階まで8フロアで構成。1階は「モバイル・ワールド・テクノロジー」で、エリア最大の品揃えのスマートフォンやアクセサリー類、リユーススマホ、Apple修理受付などがある。
1階の注目のポイントは、ライブ配信スタジオ「ヤマダライブスタジオ」。LABI池袋本店は情報発信を重要なテーマとして掲げており、最新の商品情報や、視聴している商品を購入できるライブコマース、メーカー・地域のコミュニティとコラボした企画など、様々な最新情報を日々発信する。
2階は「パソコン・ワールド・テクノロジー」で、パソコン、DOS/V、デジカメ、プリンター、周辺機器、リユースパソコンを扱うフロア。デジカメコーナーではフォトスポットに見立てたジオラマを設置、シーン別に様々な機能を試せる。
ツクモコーナーでは、最新のAI搭載モデルパソコンからゲーミングパソコン、オーダーメイドパソコンを中心に展示。同社独自のリユースパソコンは、リーズナブルな商品からプロ・クリエイター向けパソコンまであらゆるニーズに対応するアイテムをラインアップ。
3階は「サウンド&ビジュアル・ワールド」で、テレビコーナーを中心としたオーディオ、ビジュアルのエリア。高級オーディオやプロジェクターの比較体験ルームも充実。
注目は、全機種聴き比べてお試しができるワイヤレスイヤホンコーナー。
テレビコーナーでは、全国的にごく限られた店舗にしか置いてないREGZAシリーズ最大サイズの110インチをはじめ、国内外のメーカーのあらゆるモデルをラインアップ。ハードだけではなく、大塚家具との連携したリビング空間をイメージできる提案コーナーも設置している。
4階は「サステナブル・ライフ・スタイル」で、冷蔵庫、洗濯機、照明器具のフロア。冷蔵庫、洗濯機コーナーは、各メーカーの最新のモデルを揃え、旧モデルとの違いをチェックして比較購入できる売り場も。
リユースコーナーは、中古の家電を工場で分解、洗浄、修理を施し、品質管理を徹底した製品を販売。中古家電としては珍しい24か月保証を実現している。
リフォームコーナーも併設しており、ドラム式洗濯機、洗面台、冷蔵庫、システムキッチンといった家電とリフォームへの親和性の提案を行う。
5階は「スマート・ライフ・スタイル」は、エアコン、季節家電、クリーナー、調理家電などを扱うフロア。クリーナーはスティックからロボット掃除機まで全てお試しができるコーナーを設置。
調理家電のコーナーでは「ヤマダキッチン」と題して、各メーカーの最新機種のモデルを毎日実演、訪れた客も体験できるエリアを設けている。
6階は「ワールド・トイ・ステーション」で、玩具、ガンダムコーナー、ゲーム、アミューズメント、ガチャガチャのフロア。ライト層からマニア層まで満足できる品揃えのガンプラコーナーや、見て、触って、遊びながら選べる体験ブースを多数用意しているおもちゃコーナーも。
6階の注目は、国内でも数少ない任天堂監修の売場「ニンテンドーコーナー」。床の装飾やBGMなど細部までこだわり、世界観を演出している。
地下1階は「TAX FREE&ワールド・ビューティー」で、理美容家電、化粧品、雑貨、時計、スマートウォッチのフロア。インバウンド需要を取り込むべく、キャラクターグッズや腕時計、免税ギフトなどを充実させ、免税カウンターや外貨両替機、AI翻訳ツールも完備する。
理美容家電のエリアには、パウダールームを設置し、最新美容家電の使い心地を実際に試して検討できる。
同社初となるZ世代向けの商品を集約した「#ワイラボ」も注目ポイント。Z世代に人気の韓国コスメやお菓子、キャラクターグッズを取り揃えている。
地下2階は「ワールド・ヘルス・ラボ」で、健康器具、マッサージ機、フィットネス、医薬品、自転車、電動キックボードを扱うフロア。池袋という立地柄、都市生活者に需要の高い自転車、電動自転車、キックボードなど地域最大級の品揃えを誇る。有資格者が常駐しており、点検や整備などアフターケアも対応している。
生活者の関心の高い健康フィットネス関連も充実。健康家電、リラクゼーション、トレーニングなど幅広いナインナップで、使い心地を体験できるコーナーもある。
【AJの読み】大幅改装で競合店を迎え撃つヤマダの戦略
改装は約4か月かけて行われ、「郊外店舗の中堅どころ程度のお金をかけた」(株式会社ヤマダホールディングス 代表取締役会長兼CEO 山田昇氏)と、大幅なリニューアルを敢行した。
ヤマダホールディングス・上野社長が「ヨドバシさんが池袋に来たことが今回の改装のきっかけになったのは間違いない」と話すように、今回のリニューアルの背景には、ヨドバシカメラの新業態が西武池袋本店に進出するなど、家電量販店が林立し激戦化する池袋ならではの事情がある。
「今まで池袋は百貨店の街でしたが、かつて秋葉原の代名詞だった『家電の街』が池袋になりつつあります。私たちは50年以上の歴史があり、家電のリーディングカンパニーとしての自負があります。
我々は電気屋で、ヨドバシさんはカメラ屋ですからそれぞれに強みを持っています。今回のリニューアルで先頭を切って走っていきたいという思いがありますが、互いを意識しながら切磋琢磨して魅力的な店を作っていくことで、家電の街・池袋もさらに変化をしていくのではないかと考えています」(ヤマダホールディングス・山田会長)
旧館を家電に特化した専門店として改装し、大塚家具と組んで2館体制にして、くらし全般の商品を提供するヤマダ。お試しのできる体験コーナーや、従来から品揃えに定評のあった玩具売り場の充実、Z世代向けの新たなエリアなど、競合店を意識した店舗づくりで差別化を図る。
取材・文/阿部純子