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日本初の円建てステーブルコイン「JPYC」とは?覚えておきたい仕組みと将来性

2025.10.24

日本円と連動するステーブルコインの取り扱い業者・JPYCが2025年8月18日、資金移動業者として登録されました。近い将来、日本初の円建てステーブルコインが発行されると見込まれています。ステーブルコインの仕組みや利用方法、金融業界に与える影響などについてまとめて解説します。

2025年8月18日、JPYCが資金移動業者として登録され、日本初の円建てステーブルコイン発行まで秒読み段階となりました。日本円と1対1で連動する電子決済手段が誕生したことで、日本の経済や金融が大きく変わると予想されています。

そもそもステーブルコインとは何か、また、仕組みや私たちの生活に及ぼす影響など、目まぐるしく変わる金融システムを理解するために知っておきたいことをまとめました。

日本初の円建てステーブルコインJPYCとは?

JPYCとは、日本円に1対1で連動するステーブルコインです。2025年8月18日に発行予定事業者であるJPYC株式会社が資金移動業者として関東財務局に登録され、2025年秋以降、JPYCが正式に日本初の円建てステーブルコインとして発行されると見込まれています。

JPYCは常に「1JPYC=1円」となるように管理されることから、日本円に対する為替リスクがなく、国内で安定的な利用が可能です。また、イーサリアムなどのブロックチェーン上での発行が予定されていますが、JPYC自体は暗号資産ではなく電子決済手段に分類されます。

■JPYC株式会社とは?

JPYCの発行体となるのがJPYC株式会社です。2019年11月に設立(設立時の企業名は「日本暗号資産市場株式会社」)され、ステーブルコインなどのブロックチェーン技術に関するコンサルティングや、電子決済手段の発行・償還などを手掛けてきました。

JPYC株式会社は、資本の流動性を高める仕組みとしてステーブルコインを位置づけています。資本の流動性が向上すれば、社会的影響の大きなビジネスも資金調達しやすくなり、イノベーションを起こすハードルも低くなると考えられます。

■JPYCとJPYC Prepaidの違いは?

JPYCでは円建てプリペイド型トークン「JPYC Prepaid」を扱っています。元々は「JPYC」という名前でしたが、発行が予定されているステーブルコイン「JPYC」と区別するために「JPYC Prepaid」に改称されました。

JPYC Prepaidも日本円に1対1で連動し、1JPYC Prepaid=1円として利用可能です。前払式支払手段として、キャッシュフロー計算書上では「資金」として扱います。また、JPYC PrepaidはVプリカギフトなどに交換し、日常のショッピングに活用することも可能です。

※2025年5月30日でJPYC Prepaidの新規発行は終了しましたが、発行済みのトークンは引き続き利用可能です。

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そもそもステーブルコインとは?

ステーブルコインとは、法定通貨や商品(コモディティ)などの価格と連動するように設計された暗号資産のひとつです。例えば、JPYCなら法定通貨である日本円と連動するように設計されているため、日本円と等価交換が可能です。

ステーブルコインは、従来の暗号資産の弱点である価格変動の大きさを補うべく考案されました。比較的安定している法定通貨やコモディティと連動させることで、資産としての価値が担保され、実用性も高まると期待されます。ステーブルコインは価格を決める要因により、次の種類に分けられます。

  • 法定通貨担保型
  • 仮想通貨担保型
  • アルゴリズム型

USドルに連動するUSDT(Tether)やUSDC、ユーロに連動するEURCなどは法定通貨担保型です。法定通貨との交換比率は1対1に設定されていることが一般的です。

DAIやSUSDのように価格変動が激しい仮想通貨(暗号資産)を担保としたステーブルコインもあります。急な価格変動に耐えられるよう、例えば「暗号資産1.5に対してステーブルコイン1」のように過剰担保を導入していることが少なくありません。

一方、アルゴリズム型とは無担保で発行されるステーブルコインです。FRAXやMIMなどのステーブルコインは、市場の需給に合わせて自動的にコイン量が調整され、担保なしでも価格が比較的安定するように設計されています。

■ステーブルコインの優位性

ステーブルコインは法定通貨やコモディティなどと連動して価値が決まることから、暗号資産ではありつつも一般的な暗号資産より価格が安定しやすいという特徴を持ちます。DAIやSUSDのように暗号資産の価値と連動するタイプもありますが、過剰担保をベースに急激な価格変動を回避する仕組みを構築しています。

また、ブロックチェーンを基盤としたサービスでの決済に対応している点も、ステーブルコインの特徴です。法定通貨やコモディティはブロックチェーンを基盤としたサービスで利用できないことが多く、決済する際にはクレジットカードや暗号資産といった現物を必要としない手段が求められます。

ステーブルコインなら決済手段として選択できるだけでなく、安定性も担保されているため、幅広い場面での利用が期待できるでしょう。

■ステーブルコインの例

安定性と決済手段としての利便性の高さから、ステーブルコインの需要は急増し、時価総額を伸ばしてきました。USDT(Tether)やUSDCのように暗号資産の時価総額の上位にランキングされている種類もあり、今後もさらにニーズは高まると見られています。

USDT(Tether)

USDT(Tether)はTether Limited社が2015年に発行を開始した暗号資産です。「テザー」や「テザートークン」と呼ばれ、世界初のUSドルと連動するステーブルコインとして高い時価総額を誇ります。価格の安定性が評価され、アメリカ国内だけでなく海外の暗号資産取引所でもUSドルの代替通貨として決済に用いられることがあります。

USDC

USDCは、暗号資産関連会社Circle社と暗号資産取引所Coinbaseにより2018年に登場したステーブルコインです。USDTと同じくUSドルと1対1の価値を持ち、国内外で広く取引されています。

EURC

EURCはユーロ連動型ステーブルコインで、USDCと同じくCircle社(Circle Internet Financial)によって発行されています。EUの暗号資産規制に準拠しており、信頼性の高さも特徴です。USドルと比べると流通量に劣るユーロに連動するため需要は低めですが、今後の成長が期待されます。

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JPYCの誕生が金融業界に与える影響

日本円に連動するステーブルコイン・JPYCが誕生することで、金融業界に次のような影響が生じると考えられます。

  • 国債の流動性向上
  • 24時間365日資金移動が可能
  • 日本円の価値の変化

それぞれのポイントを解説します。

■国債の流動性向上

法定通貨を基盤とするステーブルコインは、法定通貨だけでなく短期国債も保有することがあります。JPYCの誕生により国債の需給が増加し、流動性向上が見込まれます。

■24時間365日資金移動が可能

ステーブルコインは、最短数秒で送金できる暗号資産です。24時間365日資金移動が可能になり、日本円を介した取引も活発化すると期待できます。

■日本円の価値の変化

日本円に連動したステーブルコインが世界各国の取引所で取引されることにより、投資対象としての日本円の価値も高まる可能性があります。しかし、USドルやユーロなどの他の法定通貨や他の暗号資産と同じ俎上に載ることで、日本円が劣位に立ち、価値が低下するリスクも想定されます。

JPYCがもたらす日常生活の変化

JPYCの誕生は、日常生活にも影響を及ぼすと考えられています。例えば、次のような変化が見られるかもしれません。

  • スマート決済の透明化
  • 制限付き・条件付き決済の有効化

各変化について見ていきましょう。

■スマート決済の透明化

ステーブルコインは瞬時に送金が可能なため、決済と資金移動のタイムラグがほとんどありません。スマート決済が透明化し、クレジットカードのように「決済はしたけれど支払いはできない」といった状況に陥りにくくなります。

■制限付き・条件付き決済の有効化

送金時期を調整できることから、「商品を受け取ったときに決済」「給料日に送金」といった制限付き・条件付きの決済が可能です。タイムラグなく送金を実施することで、利用者の信頼性向上にも寄与すると期待できます。

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