NISAの注意点・活用方法

NISAは非課税投資を可能にする制度ですが、一般的な証券口座とは異なる点も多く、すでに投資に慣れている方でも戸惑うことがあるかもしれません。NISAを有効に活用するために、知っておきたいポイントをまとめてご紹介します。
■1人1口座しか開設できない
NISA口座は1人1口座しか開設できません。口座開設申請をする際は、他の金融機関ですでにNISA口座を保有していないか確認しておきましょう。
なお、年に1回であれば、他の金融機関に変更することが可能です。使い勝手がよくないときなどは、変更も検討してみましょう。
■旧NISA口座の保有商品を新NISA口座に移せない
2023年までに開設した旧NISA口座内の金融商品は、新NISA口座に自動的には移動されません。旧NISA口座内の商品を新NISA口座でも継続して運用したい場合は、一度売却手続きをしてから再度購入することが必要です。
売却・再購入のタイミングによっては、損失が生じる可能性もあります。購入時の価格が低いケースでは、課税口座であってもそのまま運用しているほうがよいかもしれません。
■配当金・分配金の非課税受取は別途手続きが必要
株式の配当金やETF・REITなどの分配金を非課税で受け取るためには、あらかじめ金融機関で「株式数比例配分方式」での受取を設定しておくことが必要です。
ただし、「株式数比例配分方式」に設定すると、他の口座で保有している株式もすべて同方式で受け取ることになります。
■損益通算ができない
複数の口座で金融商品を運用しているときには、損失分を利益分で相殺し、課税対象となる所得を減らす「損益通算」という仕組みを使えます。
しかし、NISA口座は損益通算の対象外のため、他口座の損失・利益との通算はできません。複数の他口座で損失・利益が発生したときのみ、忘れずに申告しましょう。
■相続時精算課税制度を組み合わせて贈与に活用できる
2024年以降、相続時精算課税制度に年110万円までの贈与税非課税枠が設けられました。この非課税枠を利用してNISA口座内で運用すれば、非課税で資産を贈与することが可能になります。
■NISA口座からNISA口座への直接贈与はできない
NISA口座間における保有商品の移動は不可能です。保有商品の贈与は、課税証券口座を使用して実施します。
商品の移動は、口座を保有する金融機関に相談してみましょう。また、贈与税対策についても相談できることがあります。
NISAを資産運用に活かそう

NISA口座を活用すれば、金融商品の運用益や売却益が非課税になります。
新NISA口座なら運用期間に制限がないため、リスクを抑えた長期運用も可能です。ぜひNISAの仕組みを知り、資産運用に活用していきましょう。
構成/林 泉