
好きな人・物・作品をいろいろな形で応援する「推し活」は、いまや世代を超えたカルチャーとして大きな注目を集めている。共有とコミュニケーションを前提としたカレンダーシェアアプリ『TimeTree』を展開するTimeTreeは、全国の10代から70代の男女を対象に「推し活」の実態を調査した。これまで若者の文化とされてきた「推し活」は、いまや60代を中心としたシニア層にも浸透しており、社会的な広がりを見せているという。
この調査では、推し活が「生活の質」、「家族間のコミュニケーション」、「デジタル活用」などの生活の幅広い要素に与える影響について、9月15日の「敬老の日」に合わせてシニア層の「推し活」の状況を踏まえて分析したという。それによると60代の半数以上が「推し活」を実施しており、そのうちの74.9%が「生活にハリ」を感じているというポジティブな状況がわかったという。
10代・20代の推し活経験率は驚異の9割超! 60代でも約半数以上が経験
・「推し活」の実施状況 (単一回答 n=3376)
「推し活」の実施有無では、「推し活」の実施率は10代の93.4%がもっとも高く、年代が上がるごとに減少する結果になった。数字的には、「推し活」と結びつきづらいイメージの60代でも52.3%と半数以上が推し活を実施していると回答している。
「推し活」で「生活にハリや楽しみが生まれた」が全世代で最多
・「推し活」による生活の変化
「推し活」による生活の変化については、全年代共通して「生活にハリや楽しみが生まれた」の回答割合がもっとも多かった。世代別の回答割合の違いがあった項目では、10代と20代では「気持ちが前向きになった」、「人生の目標ができた」、「新しいことに挑戦できた」といったマインド面の変化に関する回答割合が高かったが、年齢層が上がると「健康に気を付けるようになった」の回答割合が高く、変化に関する意識の違いがみられた。「推し活」が新たな生きがいの創出やウェルビーイングの向上にもつながっている実態はあるが、「支出が増えた」(10代:64.2%、20代:69.9%、30代:69.5%、40代:69.3%、50代:63.6%)と生活に楽しみをもたらすが経済面での影響に関する回答も多かったという。
「推し活」の対象は、若年層は多ジャンル、50代~70代はスポーツに集中
・「推し活」のジャンル
「推し活」のジャンルでは、10代から30代では「アイドル」を中心に幅広いジャンルが支持されていた。特に10代は、「漫画・アニメ」(32.6%)や「ゲーム」(20.4%)、「インフルエンサー」(19.2%)、「VTuber・ボーカロイド」(21.3%)などの二次元・デジタル領域での「推し活」の実施割合が高かったという。
50代以降になると「スポーツチーム・選手」を推す割合が高く、50代では28.4%、60代では26.8%、70代では過半数の53.1%が「スポーツチーム・選手」を推していると回答している。若年層は「多ジャンル型」、シニアは「スポーツ集中型」という世代差も浮き彫りになった形だ。
推しの対象は60代・70代、10代~50代ともに1 位はSnow Man
・60代・70代の推し活対象ランキング&10代~50代の推し活対象ランキング
推しの対象を自由回答で詳しく質問すると、シニア層での1位は、Snow Manだった。2位はBTS、3位は同率で阪神タイガースとロサンゼルス・ドジャースで大活躍の大谷翔平選手という結果になった。5位には来春までの活動再開を発表したばかりの嵐もランクインした。スポーツ「推し活」の実施者の割合が高いシニア層は、阪神タイガース、大谷翔平選手、ロサンゼルス・ドジャース、北海道日本ハムファイターズとトップ10に野球に関する推し対象が4つもランクインしていた。
10代から50代の「推し活」対象ランキングでは、1位はシニア層と変わらずSnow Manで、幅広い世代から支持されているようだ。2 位には嵐がランクインしており、シニア層と共通点はあるもののランキング全体ではアイドルグループ中心で、60代、70代の「推し活」対象とも違いがあったという。
若年層は親や祖父母、シニア層は子や孫。“家族をつなげる推し活”
・推し活を一緒に行う相手
「推し活」実施者は、誰と一緒に「推し活」を行っているのか? 30代から70代では「ひとりで行う」がもっとも多く、30代:69.1%、40代:63.2%、50代:53.7%、60 代:49.2%、70代:55.0%という結果だった。自分のペースで楽しむスタイルが主流といえそうだ。
それ以外では、10代と20代は「親や祖父母」と「推し活」を行う人がそれぞれ31.4%、21.4%もいたという。40代以降でも「子や孫」と一緒に行う割合が高く、40代:31.0%、50代:31.7%、60代:27.3%、70代:26.7%と若年層からシニア世代までが家族一緒に「推し活」を楽しんでいる実態がわかったという。
シニアの「推し活」でもデジタルツールが浸透
・推し活におけるデジタル活用実態
「推し活」におけるデジタルツールの活用状況については、全世代で『Instagram』や『X』などの「SNS」がもっとも多く、10代から50代では9割前後が利用していた。これに『Amazon』や『楽天』などの「オンラインショッピングサイト」、『LINE』や『Discord』などの「チャットサービス」、『TimeTree』や『Lifebear』などの「スケジュール管理アプリ」が3割から4割程度と幅広くデジタルツールを活用していたという。
60代に注目すると、SNSの利用、動画配信サービスの利用がもとに7割と高水準で、シニア層でもデジタルを活用した「推し活」が定着しつつあるようだ。スケジュール管理アプリも27.1%が「推し活」の予定や計画に役立てるために活用していると回答している。AIサービスは、若年層では1割前後が利用しているが、60代で2.4%、70代では0%とシニア層の活用は限定的だということもわかったという。
今回の調査をおこなったTimeTree代表取締役社長の深川泰斗氏は、次のようにコメントしている。「今回の調査からシニアには若者とは異なる「推し活」の楽しみ方があることが明らかになりました。シニア層は「スポーツ推し」が多い結果でしたが、TimeTreeの予定データでも世代ごとの違いが見えており、スポーツに関しては「観戦」や「大谷翔平」、「ドジャーズ」といったワードがシニアに多く登録されています。
一方でアーティストに関する「推し活」では、若者は「ライブ」の登録が多いのに対し、シニア層はディナーショーやコンサートが目立ち、予定の入れ方にまで世代ごとの特徴が反映されています。こうした違いは、単なる“世代ギャップ”ではなく、それぞれの世代に合った楽しみ方が根づいていることを示しています。
さらに家族で「推し活」を共有することで、新しいコミュニケーションが生まれている点も見逃せません。シニア層が孫と一緒に「推し活」を楽しむ実態は、生活や世代間関係をより豊かにする兆しとして捉えることができます。今回の結果は、「推し活」が単なる若者文化にとどまらず、世代ごとの生活スタイルや価値観に深く結びついていることを示していました。幅広い世代に広がるこの現象は、多くの人が共感できる新しい視点を提供してくれるのではないでしょうか」
いまや「推し活」は若者だけでなく、シニア世代を含めた全世代が楽しむものになっている。親子三世代で同じアーティストのライブに参加したり、孫と一緒にアニメ映画を観たりするなど、家族の「推し活」共有も浸透しているという。年齢に関係なく「好きなものに夢中になれる」ことで、シニア世代は“第二の青春”を謳歌しているともいえそうだ。
「TimeTree×Oshicoco コラボレーション「推し活」実態調査」概要
調査対象:全国10代~70代の男女
調査期間:2025年8月7日~2025年8月12日
有効回答数:3376名(10 代:380名、20代:257名、30代:291名、40代:261名、50代:356名、60代:1578名、70代:253名)
調査方法:インターネットアンケート
調査機関:TimeTree
https://timetreeapp.com/intl/ja
構成/KUMU