
世界最大規模の世論調査会社イプソスは、日本を含む世界32か国2万3745人を対象にした高齢化に対する意識を実施して結果を公開した。今回の調査では、老後を楽しみにしている日本人は、ベビーブーマー世代が42%ともっとも高く、Z世代は22%でもっとも低い結果となった。ミレニアル世代とZ世代が41%ともっとも高い世界平均(対象32か国の平均)と比較して対照的な傾向になった。高齢者と若者の人口割合でも日本人の認識と実際の割合にギャップがあることもわかったという。
老後を楽しみにしている日本人の世代別の割合は32か国平均と対照的
「老後をどの程度楽しみにしていますか?」という質問に「非常に/ある程度楽しみにしている」と回答した日本人の割合は、ベビーブーマー世代が42%、X世代が28%、ミレニアル世代が26%、Z世代が22%という結果になり、若い世代ほど老後に期待していないことが浮き彫りになった。世界平均では、ベビーブーマー世代が31%、X世代が38%、ミレニアル世代が41%、Z世代が41%で、若い世代ほど老後に対する期待が高く、日本とは対照的な結果だったという。
「65歳以上の人口割合」日本人の認識は21%だが実際とはズレあり
「自国において100人のうち、 65歳以上は何人程度だと思いますか?」という質問では、日本人の認識は65歳以上の人口割合は21%だった。実際の人口割合は、対象32ヵ国中でもっとも多い30%なので、世界でも突出した高齢化社会であるにもかかわらず、9ポイントのギャップがあった。ちなみに65歳以上の人口割合を実際よりも少なく認識していたのは、32か国中で日本とスウェーデンの2か国だけだった。
日本人は18歳以下の人口割合でも実際より低く認識
「自国において100人のうち、18歳以下は何人程度だと思いますか?」という質問では、日本人が考える18歳以下の若者の割合は10%という結果だった。実際の18歳以下の人口割合である15%よりも5ポイントも低く、若者の人口に対する認識と実態でもギャップがあった。
今回の調査を実施したイプソスの内田俊一氏は、「日本ではベビーブーマー世代が老後をもっとも楽しみにしており、若い世代ほどその割合が低いことが明らかになりました。グローバルとは対照的に、日本の若い世代の老後への期待の低さには、年金や雇用といった将来の経済面・社会制度への不安があるのではないでしょうか。超高齢化社会と言われている日本ですが、高齢者人口も若者人口も実態より少なく認識されており、このギャップによって今後の政策立案など将来への備えに遅れが生じる可能性についても、考え注視していく必要があります」とコメント。
ほかの国と比較して老後に楽しみを感じない若い世代が多いことが浮き彫りになった日本。人口割合に関する認識にもギャップがあったが、こういった意識を是正していくことで、老後に希望が持てる世の中になってほしいが、そのためには若者が安心して老後が迎えられるような具体的な対策や施策が必要だろう。
「イプソス 高齢化に対する意識 2025」概要
調査対象:日本を含む世界32か国の2万3745人
調査期間:2025年1月24日~2025年2月7日
調査方法:、オンラインプラットフォームGlobal Advisor(インドではプラットフォームIndiaBus)
構成/KUMU