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涼しくなる秋こそ危険!獣医師に聞く、ペットと飼い主を襲うマダニ媒介「SFTSウイルス」の恐怖と予防策

2025.09.21

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)ウイルスが話題になっている。ウイルスを保有しているマダニに噛まれることでヒトもペットも感染する病気で、主な症状は発熱と消化器症状が中心で、致命率は27%となっている。東京都感染症情報センターはSFTS に関する情報を公開した。マダニからペットを守り、人が感染しないためにはどうすればよいのか、ひびき動物病院・院長岡田響先生に聞いてみた。

餌が無くてもしぶとく生き続けるマダニ

――SFTSを感染させるマダニについて教えてください。

岡田先生 マダニは成虫が3~8ミリほどの大きさなので肉眼でも十分確認できるダニで、屋外にいます。一般的なハイキングコース、キャンプ場、野山や草むら、畑や田んぼなど、野外の自然のある場所にはどこでも生息しています。

冬は落ち葉の下で休眠していますが、活動期は草むらで動物を待ち構えて隠れていて、寄生できる動物が通りかかる時に移動して寄生して吸血し、満腹になると地面に落下し、脱皮してまた寄生します。吸血量は多く、自分の体重の100倍以上も吸い、十分吸血すると動物から離脱し、脱皮します。これを3回ぐらい繰り返します。血液が無くても数カ月から数年は生き続けます。

卵から孵った幼ダニは、若ダニ、成ダニと成長し、成ダニのメスは落下した後に地面で産卵します。

屋外で野生動物の血液を吸って生息し、シカやイノシシをはじめ、タヌキやアライグマ、ハクビシン、鳥、ネコなど、様々な野生動物に寄生しています。アウトドア環境に多いのですが、都心でも近所の公園や街路樹、自宅のお庭にも普通に生息しており、愛犬が飼い主さんと一緒に行ったお散歩で、マダニを家に持ち帰ることもまぁまぁあります。

最近ではSFTSが話題ですが、マダニはダニ媒介性脳炎、日本紅斑熱、ライム病やSFTSなど、ヒトにうつるウイルス病を運んでいることが知られています。SFTSはこれまで西日本での報告が多かったとされてきましたが、ここのところ東日本へと広がり、北海道でも見つかったという報告が続いています。

全国的に、散歩の犬から感染するケースも十分に考えられる事態になってきたともいえますが、SFTSウイルスをもったネコから獣医師が感染して、死亡した事例も報告されています。

具合が悪そうな外猫には触らない

――SFTSはペットからも感染すると考えられています。

岡田先生 ペットからヒトへの感染経緯については、まだよくわからない点も多いのですが、基本時には接触感染です。SFTSウイルスをもったダニが犬や猫の血を吸って、その時に感染させます。感染した犬や猫の体液や汚物を飼い主さんが直接触ったり、目や口などの粘膜に接触することで、動物からヒトにウイルスがうつる可能性があります。

動物病院のスタッフが感染した事例については、ネコが多いようです。病気で弱って連れてこられて、ネコは死んでしまうケースと回復するケースがあるようですが、どちらのケースでも感染したスタッフは重症化しており、死亡例も出ています。

感染したネコは屋外と屋内を行き来している子、または屋外で生活しているネコです。感染したネコを検査すると、発熱や黄疸があり、さらに血小板が減少しているそうです。そして感染した動物病院スタッフ(ヒト)もやはり血小板が減少していたそうです。SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の名前の由来にもある、血小板減少です。

ペットから人への感染を防ぐには、SFTSウイルスをもったダニにヒトも動物も刺されないようにすること。普段から屋内外を行き来するネコが何となく具合が悪そうだと感じたら、飼い主さんも素手で触らないほうがいいかもしれません。

また、SFTSに感染した人の年齢を見ると、50歳以上という人が多く、特に中高年の人はマダニ対策を軽視せず、感染に気を付けて欲しいと思います。

刺されないように肌の露出を避ける

――ひびき動物病院の「かわら版」では猫のダニ対策が紹介されていますが、犬への感染対策はどうですか?

岡田先生 犬も猫もダニに刺され、マダニを家に持ち帰る可能性があるため、予防を推奨します。動物からうつることもありますが、ヒトが直接刺されることで病気をもらうこともあります。また、違うダニ媒介性のウイルス病(日本紅斑熱やダニ媒介性脳炎など)もありますので、まずはヒトも直接刺されないような予防が一番です。

具体的にはアウトドアの作業やお出かけ時は、長袖長ズボンが基本で、肌の露出をなるべく避けるべきです。うちの犬と市内のハイキングコースに行ったときは、半そで短パンにサンダルで山道をハイキングをしている方もいらっしゃったので、ビックリしたのですが、途中の看板にはマダニに注意のポスターがあり、長袖長ズボン着用と書かれていました。

マダニは涼しくなると活発に活動する

――SFTSに関連して、アドバイスがあれば教えてください。

岡田先生 まだわからないことが多い病気ではありますが、マダニが関係しますので、まずはマダニと飼い主さん、マダニとペットの接点についてなどを整理してみましょう。

ダニは春から秋にかけて活発に活動し、特に草むらなどに潜んでいることが多く、畑、あぜ道、公園、河川敷、民家の裏山、裏庭などでも生息します。特に野生動物の活動場所、鹿・イノシシ・野ウサギなどが出現するところには、ダニが多く生息している可能性があります。なので、アウトドアでの屋外作業や屋外活動時には肌の露出を控えましょう。愛犬の散歩では、そういった場所にあえて近寄らない、ということも大切です。

猫の対策では、事故防止や健康管理の面からも、なるべく外に出さないで、室内飼育にすることがお勧めです。

――これから涼しくなる秋もマダニ対策は必須ですね?

岡田先生 家にマダニやノミなど寄生虫を持ち込まないように、ペットには、1か月に一度の予防薬の投与をやってほしいです。残念ながら完全なマダニ予防にはなりませんが、ヒトに来る被害をなるべく少なくできる数少ない方法の一つです。

動物病院で扱う予防薬では、イヌはオールインワンタイプの内服薬、ネコは滴下するタイプのお薬が性能的に信頼度があります。近年年間の平均気温が上昇していることで、マダニの予防季節は春から秋にとどまらず、一年中になりつつあります。

以前、近所でマダニの調査採取をしたことがあります。夏の昼間の暑い時間は全然つかまりませんでした。少し過ごしやすくなった夕方や朝など、日中以外の涼しい時間帯の方が捕まえやすかったです。多分、暑い時間は動物もあまり動かないので、マダニも活動量を減らし、動物の活動時間に合わせて行動しているのかもしれませんよね。今年は厳しい暑さが続いたので、これから少しずつ過ごしやすくなると、マダニもさらに活動しやすくなりそうだな、って思います。予防もこれからが大事だと思っています。

――ありがとうございました。

ひびき動物病院院長
岡田響先生

ひびき動物病院
〒235-0045 神奈川県横浜市磯子区洋光台6丁目2−17 南洋光ビル 1F

文/柿川鮎子

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