
小さくて、軽くて、安い。三拍子揃ったiPhone SEが販売終了してから約半年。いま、iPhone SEの後継機はiPhone AirとiPhone 16eの二つに絞られたといっていい。
今なお多いiPhone SEユーザーのために両者のスペックを比較して、それぞれの利点・欠点を挙げていきたい。
価格

価格については16eが圧勝。もちろん後述するスペックの違いはあるが、Airの15万9800円はエントリーモデルや廉価版とは到底言えない価格になってしまっている。
SE(第3世代)が6万2800円からだったことを考えると、Airは最低価格で2倍以上になっている。価格でSEを選んでいた人にとってはもはやAirは選択肢にすら入らないだろう。
サイズ

サイズ面では16eとAirは優劣がつけ難い。というのも、Airは話題になっている通り、iPhone史上最薄の5.6mmを実現。その結果、16eに比べてわずか2gだが軽量となっている。たかが2g、されど2g。SEユーザーにとっては軽いに越したことはないはずだ。
しかしながらAirにも至らない点がある。それがディスプレイサイズだ。Airの6.5インチは人によっては片手操作が難しいサイズである。いくら軽くても片手操作の利便性を捨ててまで選択するほどではない。その点、16eは6.1インチ。Airより高さ10mm弱、幅3mm強コンパクトになっている。
いずれもSEの4.7インチ、144gには遠く及ばないが、軽さを取るか大きさを取るかは人それぞれだろう。
カメラ性能

両方ともシングルレンズながらSEよりは明らかにパワーアップしている。メインカメラは4800万画素は共通しながらも、インカメラに関してはAirは17シリーズと共通する1800万画素。他にも、Airはセンターフレームフロントカメラが搭載されているのでスマホを縦にしながら横向きの動画が撮影できるなど画素数以外にも全体的にカメラシステム周りはAirの方が優勢。カメラコントロールボタンが搭載されているのもAirのみだが、正直カメラコントロールボタンは使いにくいので、むしろ搭載されていない16eの方がスタイリッシュに感じる。
その他

カラーに関してはAirのスカイブルーはiPhoneシリーズの中でも珍しいカラーなので魅力的。しかしながらカラーにこだわりがなければ無難な白と黒を揃えている16eで十分とも言える。
Airは薄さの代償としてバッテリー性能を犠牲にしたと言われているが、意外にもAirと16eのバッテリー性能に大差はなく、むしろAirの方がスペック上は上回る。その理由は、AirはeSIMのみなので、その分、本体のスペースを確保できるからだ。同時にこの点は、大きなネックとなる。おそらく、多くのスマホユーザーはまだまだ物理SIMカードユーザーが圧倒的に多いだろう。すなわちAirへ移行するためにはeSIMへの切り替えも必要となる。そこで二の足を踏むなら、Airはお勧めできない。他、リフレッシュレートであったり処理速度などでは当然、価格相応にAirが優れている。本記事はSEユーザー向けの後継機に関する情報をまとめているので、あまりスペックへの言及は控えておく。(スペックを求めるならSEを使わないだろうし、今後、スペックを求めるなら当然、17や17 Proの比較も必要になるため)
ちなみにAirと16eのどちらでもLightningからUSB‑Cになるのでその点は安心して欲しい。
結論
SEは本当に使い勝手のいいiPhoneだった。サイズは手の小さい人にとっても片手操作がしやすいし、ホームボタンのおかげでスワイプ動作の回数が少なくてよかった。iPhoneが大きくなり、スワイプ動作が多くなるとどうしても取り回しが悪くなる。日常的に使うデバイスだからこそ、そうした小さいストレスは減らしたい。
個人的にその価値はスマホ本体の価格が高くなっても変え難い価値だと感じているためAirのサイズで片手操作が可能であるならば、Airがおすすめだと思う。そうでないなら16eがいいだろう(というかそれしか選択肢がない)。OSが対応するまではSEを使い続けるのも一つの手だが、今後、より良い選択肢が現れるとは考えにくい。そろそろSE離れの時期なのかもしれない。
文/峯亮佑