
■連載/阿部純子のトレンド探検隊
今年で創業126年を迎えたドイツの家電メーカー「Miele(ミーレ)」が、日本初となるコードレススティック掃除機「Triflex HX2シリーズ」3モデル、「Duoflex HX1シリーズ」の3モデルを9月4日から順次発売している。
ミーレは掃除機製造において100年近い歴史があり、キャニスター掃除機を主力にしながらも、コード付きスティック掃除機も1950年代に登場している。
スティック掃除機でも圧倒的な吸引力を発揮する2シリーズ
〇Triflex HX2シリーズ
Triflex HX2シリーズはリビングにも寝室にもしっくり調和する重厚感のあるデザイン。自立できるため、掃除中に物を片付けたいときや一時休止したいとき、収納の際にも便利。
3in1コンセプトで、掃除をする場所によってモーターの位置を上下に付け替えすることができる。モーターが下にある場合は、持ち手の部分である手首に負担がかからないので、広いスペースを掃除するのに向いている。
モーターが上にある場合では、ベッドの下など狭い隙間の掃除に便利で、モーターがヘッドの近くにないのでヘッドをフレキシブルに動かしやすくなる。
市場に出回っている掃除機のモーターは、ひとつの大きな渦を起こすモノサイクロンテクノロジーと、小さな渦をたくさん発生させるマルチサイクロンテクノロジーがあるが、ドイツのミーレ自社工場で製造されている高性能モーターは、早い空気の流れを作るモノサイクロン方式を採用。
マルチサイクロンと比べてモノサイクロンは、空気圧の損失が少ないと言われており、吸引力が強く、高いゴミの分離力が特色になっている。
Triflex HX2シリーズは「Digital Efficiency モーター」が採用されており、前シリーズのTriflex HX-1(日本では未発売)と比較するとパフォーマンスが60%ほど向上。これによりフローリング、カーペット共に吸塵性能もさらに向上した。
Triflex HX2シリーズは吸引レベルがミニマム、エコ、マックスと3段階あるが、吸引レベルに加えて、床を検知して増減する自動パワー調整を装備。モーターのパワーレベルと、ヘッド部分の「マルチエレクトロブラシ」のパワーレベルが、床を検知して自動的にパワー調整を行うため、どのタイプの床でもエネルギーを無駄にせず、高い吸引力を発揮する。
上記の動画のように、カーペットはフローリングに比べると抵抗が強くなるが、抵抗を感じるとモーターやエレクトロブラシの回転数を上げ、カーペットの奥までの汚れをしっかりとキャッチして吸い込む。
3段階のフィルターシステムで集塵率は99.99%。第1段階で前述した高性能モーター「Vortex テクノロジー」により、高速な空気の流れと、粗いゴミをダストコンテナに集め、第2段階のプリーツの集塵フィルター「Comfort Clean付集塵フィルター」で細かい塵を閉じ込める。集塵フィルターは3年ごとの交換が目安。
第3段階の排気フィルターは空気清浄機などで使用されているHEPAフィルターを採用し、微小な粒子もキャッチするので、アレルギーに悩む人にもおすすめ。HEPAフィルターはお手入れやフィルター交換も不要なので追加の費用も掛からないこともメリット。
〇Duoflex HX1シリーズ
インテリアの一部として部屋にも映える、本体上部がダイヤモンド模様でユニークなデザインも特徴的。Triflex HX2シリーズと比べて、スリムでシンプルな操作性も兼ね備えたデザインで、カラーのバリエーションも豊富だ(一部日本では導入されていないカラーもあり)。
Duoflexの上位モデル「Duoflex total care」のみスピードロックシステムを搭載。これは、機器を収納するホルダーから上に引き上げるとハンドタイプになり、機器全体を使用するときは前方に引き出すといったように、形態を1回の移動で変えることができるというもの。
Duoflex HX1シリーズも、Triflex HX2シリーズと同様にDigital Efficiencyモーターを採用したモノサイクロン方式のパワフルな吸引力が特徴で、キャニスター掃除機のターボブラシと同様の吸引力がある。エレクトロブラシと組み合わせで、様々な種類の床からゴミやチリをしっかりと吸い込むことができる。
2段階のフィルターシステムを搭載で集塵力は99.99%。第1段階は細かな塵と粗いゴミを分離させる役割で、空気はガーゼのフロントフィルターの周りを回転し、粗いゴミは透明なダストコンテナに集まる。フロントフィルターは下に引き抜いて簡単に取り外すことができ、付属のクリーニングブラシでお手入れができる。
第2段階では、プリーツ状のComfort Clean付集塵フィルターにより、塵は細かい粒子をキャッチする集塵フィルターへふるい落とされ、他のごみと一緒にダストコンテナから除去できる。Comfort Clean付集塵フィルターは引き抜いて取り外しできる交換が可能なフィルターで、約3年ごとの交換を推奨している。
〇アクセサリー類
Duoflex HX1 Total Careに付属している「エレクトロコンパクトハンドブラシ」は、電動ローラーブラシが髪の毛やペットの毛を確実に除去、ペットを飼っている家庭におすすめだ。
「伸縮式フレキシブルXL すきま用ノズル」は60cmの長さで手の届きにくいスペースの掃除に最適。「ユニバーサルブラシ」はガラス製テーブルの上の細かい粉など、繊細な表面を傷つけることなくやさしく掃除するブラシ。
【AJの読み】本格的な掃除なら「Triflex」、取り回しの良さなら「Duoflex」
キャニスター掃除機の掃除フィロソフィーを受け継いだ、ミーレのコードレススティック掃除機は、圧倒的な吸引力が売りの「本物の掃除力を持つスティック掃除機」をコンセプトにしている。
ドイツ製のモーターによる空気の力を最大限に生かすモノサイクロンと、掃除機本体の重量(Triflex HX2は3.6kg、Duoflex HX1は3.1kg)により床面との密着感を生む。
実際に試してみたが、フローリング、カーペット、大理石など、どんな種類の床にも密着するような感覚でごみを吸い取っていった。
掃除機本体の軽量化が進む中で、この重さをどう捉えるかは個々の判断が分かれるところ。吸引力の良さは抜群に感じるが、特にTriflexの場合だと、階段の掃除を行うには重量があって取り回しに難しさを感じた。
2シリーズの違いについてだが、「Triflex」は徹底した清掃性能を重視するユーザー向けで、微細なホコリ、花粉、ダニ、ペットの毛まで、強力な吸引するのでアレルギーを持っている人ややペットのいる家庭に向いている。自立式なので利便性も高い。
「Duoflex」はインテリアとしても映えるデザイン性と、シンプルな操作性と取り回しの良さがメリットで、頻繁な掃除や狭い場所での使用にも便利。付属品の脱着も簡単で、使いたい時にすぐ使える気軽さも魅力だ。トップクラスの吸引力や品質を、手の届きやすい価格帯で実現しているので、ミーレを初めて体験するユーザーにも適したモデルといえる。
スペックと価格帯は以下の通り。
取材・文/阿部純子