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【現地レポート】「iPhone Air」は買いか?手に取って感じた、バッテリーへの懸念とそれを補う独自モデム「C1X」の可能性

2025.09.10

 アップルは9月9日(現地時間)、米カリフォルニア州クパチーノにある本社で、iPhoneの新モデルを発表した。これまでのiPhoneは、ノーマルモデル2機種にプロモデル2機種という形で、それぞれに大小2つの画面サイズを用意するのが一般的だった。iPhone 17シリーズではこの定石を変え、新たに極薄モデルの「iPhone Air」を導入する。

激薄モデルとしてラインナップに加わったiPhone Air

「iPhone Air」は「iPhone 17」の派生モデルではない

 iPhone Airの位置づけは、これまで「Plus」という名前がついていた他のモデルとは、少々異なる。画面サイズは6.5インチとなり、ノーマルモデルの「iPhone 17」よりも0.2インチほど大きいが、6.7インチあった「iPhone 16 Plus」ほどのサイズではない。大画面モデルに薄さを加えたiPhone 17の派生モデルではないというわけだ。

ディスプレイサイズは6.5インチ。ノーマルモデルのiPhone 17よりは大きいが、iPhone 16シリーズまであったPlusほどではない

 また、チップセットもノーマルモデルに搭載されている「A19」ではなく、同時に発表された「iPhone 17 Pro」や「iPhone 17 Pro Max」に採用されている「A19 Pro」だ。いずれのチップセットにも、GPU上で生成AIなどを動作させる「Neural Accelerator」が搭載されているが、iPhone AirやiPhone 17 Pro/Pro Maxの方が、メモリの搭載量などに違いがあり、より高速な動作が可能になる。

チップセットは、iPhone 17 Pro/Pro Maxと同じA19 Pro。ただし、GPUは1コア少ない

 チップセットという観点で言えば、iPhone Airはよりプロモデルに近い端末になり、やはりこれまでのPlusとは位置づけが変わっている。一方で、カメラは廉価モデルとして登場した「iPhone 16e」と同じシングルカメラで、48メガピクセルの広角カメラで1倍と2倍、2つの画角を担うことになる。

背面のカメラは1基のみ
センサーはiPhone 17と同じ。48メガピクセルから切り出しで2倍ズームをすることも可能だ

 センサー的にはiPhone 17の広角カメラにそろえられているが、超広角カメラもなければ、望遠カメラも搭載していない。カメラ機能に関しては、ノーマルモデルのiPhone 17よりも性能が低いと言えるだろう。スマホの新たな売りになりつつあるAIをより高速に処理しつつ、薄くて軽くて持ち運びやすい端末を目指してデザインをゼロから設計したモデルに仕立て上げてきた――そんな端末がiPhone Airだ。

カラーバリエーションは、スペースブラック、スカイブルー、クラウドホワイト、ライトゴールドの4色。ホワイトやかなり淡い色合いが多く、Airという名前を生かしている

 iPhone 17シリーズの中では、やや異質ということもあり、端末名には「17」という番号もつけられていない。こうしたネーミングからも、アップルがiPhone Airを特別な1台と位置付けていることが分かる。ノーマルモデルの延長線上でもなければ、プロでもない新しいカテゴリーのiPhoneということだ。

 ボディを薄くすると、犠牲になるのがバッテリーで、iPhone Airでもこの点は完全には克服されていない。スペック上の連続ビデオ再生時間は27時間で、30時間のiPhone 17や33時間のiPhone 17 Proよりも短い。これを補うため、iPhone Air専用の背面にMagSafeで装着する拡張バッテリーも販売される。

 一方で、可能な限りそのバッテリー容量の少なさを補う仕掛けも施している。1つ目が、アップルが独自に設計した「C1X」というモデムを搭載していることだ。アップルは、iPhone 16eで初の独自開発モデムの「C1」を搭載していたが、その特徴は省電力性能だった。C1Xでは、その省エネ性能をさらに進化させている。

独自設計のC1Xを搭載。速度を2倍に向上させたほか、省電力性能もアップしている

 もう1つは、全世界のモデルを“eSIMオンリー”の設計にしたこと。これによって、SIMカードスロットの入るスペースにもバッテリーを詰め込むことが可能になった。iPhone 17 Pro/Pro MaxにもeSIMオンリーの仕様があり、日本などで販売されるのはそちらのモデルだが、一部の国や地域で展開されるSIMカードスロットありのモデルより、連続ビデオ再生時間は2時間伸びているという。

グローバル全モデルをeSIMオンリーにすることで、無駄なスペースを圧縮。よりバッテリーを多く搭載できた

 可能な限り、バッテリーを詰め込めるスペースを確保しつつ、通信部分で消費電力を削減する仕組みを入れ、薄くて軽いiPhoneを成立させたというわけだ。半導体レベルから製品、さらにはその上で動作するOSまで一貫して垂直統合的に手掛けているアップルの強みを発揮した製品と言えるだろう。

より性能を高めるために本体設計を変えた「iPhone 17 Pro/Pro Max」

 このiPhone Airに対し、iPhone 17 Pro/Pro Maxの2機種は、より性能を高めるために本体を再設計した。これまでの金属フレームの前後にガラスパネルをはめる構造を見直し、熱伝導性が高いアルミニウムで一体成型したユニボディを開発。その中に、背面ガラスを装着する形を採用した。

デザインを大きく変えてきたiPhone 17 ProとPro Max

 これは単なる見た目を変えるためのデザイン変更ではなく、よりチップセットのピークパフォーマンスを発揮しやすくするためのもの。動画撮影やゲーム、さらにはApple IntelligenceなどのAI機能を限界まで使っても、性能が落ちないようにするための工夫だ。Plusの位置づけを大きく見直しただけでなく、プロもより性能重視の方向に再設計したと言えるだろう。

アルミのユニボディにガラスをはめこむデザインを採用。新規採用されたベイパーチャンバーとともに、放熱性能を高めることに貢献している

 新しく登場したiPhone Airや、大きく設計を変えたiPhone 17 Pro/Pro Maxに対し、ベースとなるノーマルモデルのiPhone 17は、その形状を「iPhone 16」から維持している。既存のモデルを好むユーザーの受け皿として、iPhone 17を用意しているというわけだ。ただし、その性能はA19チップで向上しており、超広角カメラも48メガピクセルに進化している。

真新しいiPhone Airや大きく変わったiPhone 17 Pro/Pro Maxに対し、iPhone 17は王道を行くデザインに仕上がっている

 また、フロントカメラには4機種共通で正方形のセンサーを搭載して、本体を縦位置で持ったまま、横長の画角の写真が撮れるようになった。AIが被写体を判別して、画角や縦横を自動で変更する機能も用意されている。フルモデルチェンジと呼べるほどではないものの、iPhone 16から着実に中身をアップデートしたモデルに仕上げてきた。

縦持ちのまま横位置の写真や動画が撮れるセンターフレームフロントカメラに対応した。4モデル共通の機能だが、iPhone 17もセンサーから変えている

 ノーマルモデルを王道として残しつつ、iPhone AirやiPhone 17 Pro/Pro Maxを導入することで、端末ごとの特徴をより明確にしてきたと言えるだろう。その意味では、例年以上に刷新感を打ち出してきたiPhoneだと評価できる。特徴づけが分かりやすくなったため、例年以上に人気モデルが分散することにもなりそうだ。

文/石野純也
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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