
9月10日に発表されたiPhoneシリーズの中でもエポックメイキングな存在なのがiPhone Airだ。薄さ5.6mm、重さ165gと6.5インチながらもかなりのスリム化と軽量化に成功しているように見える。大型化するスマホに一石を投じる存在になるのだろうか。そして「薄型スマホ」を象徴する存在となるだろうか。
薄型iPhone「iPhone Air」が登場
iPhone Airは159,800円(税込)から予約は9月12日開始、9月19日発売。カラーはスカイブルー、ライトゴールド、クラウドホワイト、スペースブラックの4色。





iPhoneではこれまでSEやminiシリーズといったコンパクトサイズも登場していたが、iPhone SEの販売終了により姿を消した。無印モデルやiPhone 16eですら大きすぎると感じているユーザーに「薄型」は非常に魅力的な存在だ。
iPhone Airを過去のコンパクトサイズのiPhoneシリーズと比較すると次のとおりだ。
iPhone Air:6.5インチ、薄さ5.6mm、重さ165g
iPhone SE(第3世代):4.7インチ、薄さ7.3mm、重さ144g
iPhone 13 mini:5.4インチ、薄さ7.65 mm、重量140g
こうしてみると、小型サイズのiPhoneには及ばないながらもかなりのスリム化に成功している。現在Apple公式から購入できる最も小さいモデルはiPhone 16とiPhone 16eでサイズは6.1インチ、重さはそれぞれ170g、166gだ。iPhone Airは大画面という長所は追求しながらも現行モデルでは最軽量を実現している。
しかし、気になるのは”持ち感”だ。コンパクトサイズのスマホの移行先としてiPhone AIrを選択したい場合、その画面サイズの大きさに苦戦する可能性がある。軽さは許容できても手が小さいとこの大きさでは片手で操作が難しいかもしれない。私自身、長年使用したiPhone SEの次の機種を決められずにいる。iPhone Airには期待できる一方で、実機を触ってみてから慎重に判断したいところだ。
薄型スマホはカメラ性能は追求、バッテリーは妥協か?
今年5月にサムスンより発売された「Galaxy S25 Edge」(日本では未発売)もまた薄型スマホに挑戦した機種である。6.7インチサイズで重さ163g、薄さ5.8mmとなっている。スタンダードモデルの「Galaxy S25」の薄さが7.2mmなので1.4mmのスリム化に成功している。それでいてGalaxyシリーズの強みであるカメラ性能も十分に備えており、メインカメラは2億画素の広角と1200万画素の超広角、インカメラは1200万画素となっている。望遠カメラは削られたものの、2億画素というスペックはGalaxy S25 Ultraと同じカメラ性能となっている。「Galaxy S25 Edge」はカメラ性能と薄さをトレードオフしなかったのだ。それでは何が犠牲になったのか。その答えはやはり「バッテリー容量」だ。Galaxy S25が6.2インチサイズながら4000mAhながら、Galaxy S25 Edgeは3900mAhにとどまった。
一方で、今回発表されたiPhone Airもやはりバッテリー容量はiPhone 17には及ばない。
最大ビデオ再生時間(Apple公式サイトより)
iPhone Air:27時間
iPhone 17:30時間
iPhone 16e:26時間
しかしながらiPhone 16eを上回っている点にはしっかりと評価したい。というのもiPhone 16eはエントリーモデルながらバッテリーの持ちがiPhone 16を上回っていることで注目をされていた。つまりiPhone 16eよりバッテリーの持ちがいいiPhone Airは決してバッテリーのスペックが低いとは言えないのである。そしてカメラ性能はシングルレンズながら48MP Fusionカメラシステムを搭載。インカメラはiPhone 17シリーズと同じ18MPだ。どうやら薄型でもカメラ性能は妥協しないというのが各社共通する方針らしい。カメラ性能、バッテリー容量、そして本体スペック。今後、各社薄型スマホがこれらの何を重視していくのか。iPhone Airはその基準点となるだろう。
文/峯亮佑