
「サラダ寒天」と聞くとどのようなものを思い浮かべるだろうか?寒天があしらわれたサラダだろうか?しかし、それでは「寒天サラダ」の方がネーミングとして相応しいように思う。
「サラダ寒天」とは秋田に昔から伝わる伝統料理のひとつだ。秋田の特に横手市周辺で多く食べられている。
秋田出身の筆者は、幼少の記憶の中にも寒天が多く存在する。祖母がよく、調理用バットに胡桃や卵が入った寒天を作っていたのを覚えているし、スーパーのお惣菜で売られているサラダ寒天を買ってもらったりもした。
しかし、大人になって地元から離れて気がついたのだ。他の都道府県では秋田ほど寒天のお惣菜は売っていない、ということに。
秋田名物「サラダ寒天」
秋田の寒天にも色々な種類があるのだが、「胡桃寒天」や「卵寒天」、「サラダ寒天」などは代表的な寒天料理の一種だ。
サラダ寒天はにんじん、きゅうり、ジャガイモ、ハムなどの、いわゆる「ポテトサラダ」的な具材が寒天で固められたものだ。

ほんのりと甘い味わいに作られていれるものが多く、見た目はフランス料理のテリーヌのような感じと言えなくもない。高級感があってなかなか美しいと思う。
そんなサラダ寒天なのだが、最近の秋田市内では売っているスーパーも以前より少なくなってしまった。
寒天文化の中心、秋田県横手市
寒天文化が失われつつあるのか心配になった筆者は、寒天文化のメッカとも言える秋田県南部の横手市へ行ってみた。
横手市エリアのスーパーや道の駅に入ると、お惣菜コーナーにはちゃんと色とりどりの寒天が並んでいた。
まだまだ寒天文化は続いているのだ。
横手市十文字町にある「道の駅十文字」では、ずらりとさまざまな種類の寒天だけが並ぶ寒天のコーナーもある。
「道の駅十文字」を運営している、株式会社十文字リーディングカンパニーの広報担当者に寒天について話を聞いた。(以下「」内、広報担当者)
秋田県横手市にある「道の駅十文字」
道の駅十文字がオープンしたのは2007年。その当初から、寒天は店頭に並んでいたという。どのような種類の寒天があるのだろうか?
「卵寒天、くるみ寒天などオーソドックスな物から季節のフルーツを使った物など様々並んでいます」

ずばり、人気の寒天はなんだろうか?
「どの寒天もご好評いただいております。卵寒天などオーソドックスな物も人気ですし、出品している方オリジナルの具材の寒天も人気です」
驚いたことに、寒天の種類は増加しているという。
「出品している方も随時新商品を考案し、作ってくれています」
時代に合わせた新しい寒天が登場しているとのこと。寒天文化は衰えるどころか進化しているようだ。
老若男女、県内外を問わず色々な方が購入しているんだとか。
なぜ秋田は寒天なのか?

原材料の棒寒天は、乾物として長期保存がきくため、冬が長い秋田では保存食として重宝されてきたという。
秋田県南部を中心に、寒天料理はお茶菓子として親しまれてきた他、冠婚葬祭や人の集まりなどで出されてきた経緯がある。
寒天は人数に合わせて切り分けることができ、折詰めにして持ち帰ることも可能なため、人が集まる際に振る舞う料理として便利でもあったのだ。
秋田では2012年より毎年「寒天博覧会」が開催されている。県内各地から訪れた参加者たちが寒天づくりの腕前を競い合うものである。オリジナリティ溢れる寒天料理を存分に楽しむことができる博覧会のとのことだ。(※)
※農林水産省のHP参照
筆者の幼少の思い出の中にあった寒天が、まだまだ健在であり、発展していることがわかって安心した。誇るべき地元の食文化として今後も広がっていくことを期待したい。
取材・文/まなたろう
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