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最大50dBのノイズを低減するEarFunの「Air Pro 4i」は価格破壊系イヤホンの決定版か?

2025.09.11

EarFunブランドのワイヤレスイヤホンは、筆者にとっては特段の思い入れのあるものだ。

このブランドが発足したあたりから、筆者は製品のレビュー記事を書いていた。1万円を大きく下回る価格、場合によっては5000円程度の製品なのに、周囲の雑音をしっかり遮断してくれるアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能が備わっている。貧乏人の筆者にとって、これは衝撃的だった。

それからCOVID-19によるパンデミックを挟み、EarFunの製品はさらにパフォーマンスが良くなっている。バッテリー持続時間、音質、そしてANC性能。今日び1万円以下という価格設定を維持するのは大変だとは思うが、その中でEarFunは随分健闘している。

今回は8月に発売されたばかりの『EarFun Air Pro 4i』が筆者の手元に届いたので、早速試してみたい。

EarFunの持ち味はここでも健在

Appleが初代AirPodsの販売を開始したのは、2016年12月のことである。

この初代AirPodsはイヤホン単体で5時間、ケースを加味すると24時間以上のバッテリー持続時間(連続再生時間)ということで、これは当時としては注目に値する高スペックだった。AirPodsより安価のBluetoothワイヤレスイヤホンといえば、イヤホン単体ではせいぜい3時間程度、ケースを入れても12時間という具合のものばかりだったはずだ。

が、これは同時に「低価格帯ワイヤレスイヤホンの開発競争」の始まりでもあった。

最低でもAirPodsくらいのバッテリー持続時間を確保し、音ズレは感じさせず、音質もそれなりのレベルに達している1万円以下のワイヤレスイヤホン……というのは、当時としては簡単に開発できるものでは決してなかった。その中で2018年に創設されたEarFunは、ANC機能を加えた低価格帯製品を続々と世に送り出した。

8月から販売が始まった『EarFun Air Pro 4i』は、最大50dBのノイズ軽減を実現しているという。

その上で、専用アプリを使って「ディープANC」「バランスANC」「ウィンドカットANC」を選ぶことが可能。カナル型イヤホンでは大型と言われる11mm径のチタンコーティング複合振動板を搭載し、コーデックはSBC、AAC、LDACに対応。連続再生時間は、ANCをオフにした場合はイヤホン単体で9.5時間、充電ケース込みで40時間としている。ANCをオンにした場合はイヤホン単体6.5時間、充電ケース込みで27時間。

マイクの数は片側3基×2。Bluetoothのバージョンは5.4。EarFunのワイヤレスイヤホンでBluetooth5.4という表記を確認することができるとは。やはり時代は進んでいくものだ。

フラメンコを再発明した天才ダンサー「ラ・シングラ」

さて、ここから先は試聴である。

いつもながら、どの曲を選ぶかでそれなりに悩んでしまう。が、今回はスペインのフラメンコダンサー、アントニア・シングラの動画をYouTubeで観てみることにした。ANCをオンにした状態だ。なお、接続した機器はiPhone 16eのため、LDACには対応しない。

「ラ・シングラ」と呼ばれていたアントニア・シングラは、スペイン・バルセロナ出身のロマの女性である。

60年代、ラ・シングラは天才的フラメンコダンサーとしてヨーロッパ中を魅了した。それまではスペイン都市部の酒場でしか演じられていなかったフラメンコを、ヨーロッパ先進国の大規模劇場で堂々と上演できるエンターテイメントにしたのは彼女の功績である。何かに取り憑かれたかのような——髪の乱れも汗の噴出も一切気にせず、ヒールで激しく床を鳴らしてフラメンコギターの奏者ですらも牽引してしまうほどの踊りはラ・シングラにしかできなかった。

「ダンサーはギターに導かれて踊る」という常識すらも、彼女は覆してしまったのだ。

そんな天才ダンサーは、実は成人を迎えるまで聴力を失っていた。20代から徐々に回復したものの、それまではギターの音を聴き取ることができなかったという。

神に気に入られていたとしか思えない奇跡のダンサーは、しかし突然消息を絶ってしまう。その理由は長年謎とされていたが、その真相は放蕩者の強欲な父親に導かれるままにヨーロッパ各地のツアーに出かけ、搾取されたのちに鬱状態となって舞台に上がれなくなってしまったという顛末だそうだ。なお、ラ・シングラは現在でも存命で、夫と子供、そして孫にも恵まれている。

『EarFun Air Pro 4i』でラ・シングラの動画を視聴すると、彼女の恐るべきリズム感やところどころの「間」に驚嘆せざるを得なくなる。彼女のステップが最高潮に達する時、もはやギターの演奏はない。時折誰かが「La Singla!」と掛け声を飛ばすのみである。複数人でカスタネットを鳴らしているかのようなタップ、ベース音の代わりの手拍子、長い髪の毛からこぼれるラ・シングラの眼光——。

床の響きがこちらに伝わるのは、それに伴う奥行きを『EarFun Air Pro 4i』が正確に伝えてくれるからである。

この低音は「軽い」のか?

『EarFun Air Pro 4i』が表現する低音は過度に響き過ぎず、それが人によっては「軽い」と思われてしまうかもしれないが、少なくともラ・シングラのヒールの打音を聴く限りではちょうどいい塩梅と言える。

ワイヤレスイヤホンには、このような楽しみ方もあるということも強調しておきたい。

今日では音楽ストリーミングサービスで配信されている曲だけでなく、テレビ番組向けに収録された古い映像も自分の好きなタイミングで楽しむことができる。ラ・シングラがテレビスターだった時期は確実に存在し、20歳にも満たなかった頃の彼女の踊りを21世紀の人々が視聴できるというのは、よく考えれば「奇跡」のようなもの。しかし、それには彼女の火の噴くようなタップの音色を正確に再現してくれる音響機器が必要だ。

『EarFun Air Pro 4i』なら、その役目を十二分に果たしてくれると断言してもいいだろう。

【参照】
EarFun Air Pro 4i

文/澤田真一

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