
暑さのピークが続く近年、屋外だけでなく“自宅の中”でも熱中症のリスクが高まっている。特に子どもや高齢者と暮らす家庭では、脱衣所やトイレなどエアコンの冷風が届きにくい場所での温度差が、健康被害につながる恐れもある。
また、エアコンの風が不快だったり、電気代が気になったりしてエアコンの使用を控える人も一定数存在する。こうした“家庭内の空調ストレス”は、目に見えづらい暮らしの課題のひとつだ。
そこで三菱地所ホームはこのほど、30代~60代の男女(※子ども・高齢者と同居している世帯中心)1025名を対象に「家庭内の熱中症リスクとエアコンの使用による冷房ストレス」に関する実態調査を行い、その結果を発表した。
「風が届かず暑い」と感じる人は約半数!最も暑さの不満が集中する場所はどこ?
はじめに、「エアコンの冷風が届きにくい場所に不満を感じたことはあるか」尋ねたところ、約6割が『よく感じる(17.5%)』『ときどき感じる(40.6%)』と回答した。
約6割が「冷風が届きにくい」と感じていることから、家庭内における空調の満足度にはまだ改善の余地があるといえる。
特に、エアコンは「つければ涼しい」と単純に片づけられるものではなく、部屋の広さや構造、家族の生活動線によって体感が異なることがうかがえる。
前問で『よく感じる』『ときどき感じる』と回答した人に、「エアコンの冷風が届きにくいことに対する具体的な不満」について尋ねたところ、『温度のムラがでる(48.1%)』が最も多く、『風が届かず暑い(47.2%)』『冷房が効くまでに時間がかかる(40.7%)』と続いた。
不満の傾向からは、単に「涼しくない」というよりも、部屋ごとに「涼しさが均一でない」と感じる点が際立っている。
さらに、一部では扇風機などの併用に手間を感じている回答もあり、冷却効率や利便性への不満が背景にあることがうかがえる。特に、扇風機の併用や冷房が効くまでの時間に不満を感じている点から、冷却効率の向上やシステムの自動化に対するニーズが見て取れる。
「夏に室温が高くなると感じる場所」について尋ねたところ、『リビング(48.9%)』が最多で、『寝室(43.5%)』『トイレ(41.9%)』と続いた。
暑さを感じやすい場所としてリビングや寝室といった生活時間の長い空間が上位に挙がり、日常生活の中で快適性への影響が大きいことがうかがえる。
一方で、トイレや脱衣所など空調が行き届きにくい空間も多く挙げられており、短時間の滞在であっても熱中症リスクにつながる可能性が示されている。特にトイレや脱衣所といった利用が短時間の場所での暑さは見過ごされがちだが、熱中症リスクを孕む空間として対策が求められる可能性がある。
「エアコンがないエリアでの暑さ対策」について尋ねたところ、『ポータブルファン・扇風機を使用している(39.4%)』が最多で、『特に対策していない(32.9%)』『窓を開けて自然風を通している(28.8%)』と続いた。
エアコンのない場所での暑さ対策は「扇風機の使用」が最多だったが、「特に対策していない」層も3割を超えた。対応には差があり、短時間しか利用しないことや設置の手間、コスト意識などが影響していると考えられる。また、「自然風を通す」という声も多く、エアコン以外の手段を好む傾向もうかがえる。
前問で『特に対策していない』と回答した人以外に、「家庭内の熱中症対策ができていると感じるか」を尋ねたところ、約8割が『よくできていると感じる(15.0%)』『ややできていると感じる(63.2%)』と回答した。
エアコンがない場所においても、扇風機や自然風を取り入れるなど何らかの工夫をしている人の多くが、自らの熱中症対策を「十分できている」と評価していることがわかった。これは、補助的な手段であっても「対策を講じている」という行為自体が安心感や満足感につながっていると考えられる。
エアコンを使わない理由、最多は「電気代が気になる」だった!
「エアコンの稼働状況」について尋ねたところ、『24時間稼働させている(55.8%)』が最多になった。
日常的にエアコンを使い続ける家庭が多い一方で、夜間や昼間に意図的に停止している層も存在する。こうした使い分けの背景には、光熱費の節約や体調管理といった現実的な事情があると考えられる。
前問で『夜間だけ稼働させていない』『昼間だけ稼働させていない』と回答した人に、「エアコンを稼働させない理由」について尋ねたところ、『電気代が気になる(63.8%)』が圧倒的に多く、『冷えすぎて体調を崩すことがある(30.5%)』『自然な風や換気で過ごしたい(26.5%)』と続いた。
エアコンを稼働させない理由として最も多かったのは「電気代の懸念」であり、経済的な負担が利用制限の大きな要因となっていることがわかる。
加えて「冷えすぎて体調を崩す」「自然な風で過ごしたい」といった回答も一定数見られ、コストだけでなく健康や快適性を重視した判断も影響していると考えられる。
エアコンを使う際の不快な点第1位は「乾燥」!打開できる方法はある?
「エアコン使用時に不快に感じる点」について尋ねたところ、『特に不快に感じたことはない(35.3%)』が最多であった一方、『乾燥して喉や肌がつらい(24.8%)』『(夜間に)冷えすぎて途中で目が覚める(24.4%)』といった不快感も多く挙げられた。
エアコンに対して「不快に感じたことはない」という人が最も多い一方で、約4割の人は乾燥や冷えすぎといった身体的負担を訴えている。
また夜間の睡眠中に不快感を覚える回答が目立ち、エアコンの使用は熱中症リスクの低減と引き換えに体調や睡眠の質に影響を及ぼしていることがうかがえる。
快適と感じる人と不快を訴える人の差は、体質や住環境、冷房設定の違いによるものと考えられ、利用者ごとに満足度が分かれる状況といえるだろう。
「風が直接当たらず、部屋全体が均一に冷える冷房環境の印象」を尋ねたところ、約9割の人が『とても魅力を感じる(38.8%)』『やや魅力を感じる(47.6%)』と回答した。
<調査概要:「家庭内の熱中症リスクとエアコンの使用による冷房ストレス」に関する調査>
【調査期間】2025年8月14日(木)~2025年8月15日(金)
【調査方法】PRIZMAによるインターネット調査
【調査人数】1,025人
【調査対象】調査回答時に30代~60代の男女(※子ども・高齢者と同居している世帯中心)と回答したモニター
【調査元】三菱地所ホーム株式会社
【モニター提供元】PRIZMAリサーチ
出典元:三菱地所ホーム株式会社
構成/こじへい