
世界的人気のゲーム『マインクラフト』の大型アップデートが、今秋に控えている。
このアップデートは、マインクラフトというゲームを大きく変えるかもしれない。なぜなら、それまでは実装されていながらもあまり使い道のなかった素材である銅の道具が大量追加されるからだ。マインクラフトは素材を集めて道具や建材を自由に作るゲームだが、これに素材としての銅が加わることでゲーム自体の難易度が(良い意味で)大幅に下がることや、人類のモノづくりの歴史を追体験する効果も付与される。
木→石→鉄→ダイヤモンドに「銅」が加わる!
映画にもなったマインクラフトは、今や娯楽用ゲームの域を超えて教育目的の活用もされている。
「マインクラフトは何でも作ることができる」と言われているが、現に数年がかりで実在の都市を再現するプロジェクトも存在する。四角形のブロックを積み上げる単純なルール故、それぞれの工夫と発想次第でまさに何でも生み出せるのだ。また、プレイ開始時にシード値を指定しなければどのような環境・地形・バイオームの場所に飛ばされるのか分からないため、「その地形に合った建造物を造る」という方向性で腕前を発揮することもできる。
だが、アイテムを無限大に出せるクリエイティブモードでプレイするならともかく、全てを自己調達するしかないサバイバルモードでやるとしたら少々苦労する。
たとえば、石を切り出すにもまずは木を調達し、そこから木のつるはしを作らなければならない。ただし、木のつるはしはすぐに壊れてしまうから、丸石を手に入れたら今度は石のつるはしを作る必要がある。
剣、つるはし、シャベル、斧、鍬はマイクラの世界ではなくてはならない道具。そして木→石→鉄→ダイヤモンドという順で、使用素材に耐久性や作業速度のレベルが存在する。今秋予定のアップデートは、石と鉄の間に銅を加えようというものらしい。
「鉄の節約」に一役!
まず、マイクラの世界ではダイヤモンドは最強装備を作るのに必要な素材であることを説明しなければならない。
ヘルメット・チェストプレート・レギンス・ブーツをダイヤモンドで作ると、あらゆる攻撃からのダメージを大幅軽減できる防具が完成する。ダイヤモンドの剣は、武器として極めて強力である。しかし、ダイヤモンドを掘り出すには鉄のつるはしが必須。だからこそ鉄鉱石を掘り出す必要があるのだが、その鉄鉱石を精製するためには石炭か木炭を使ってかまどに火を起こしてやらなければならない。
さらに、鉄鉱石はある程度深い地層から出る鉱石で、数も多くはない。そのため、どうしても「鉄の節約」が求められる。道具は使用しているうちにだんだんと耐久値が下がっていき、いずれは壊れてしまう。鉄のつるはしも例外ではなく、石を掘っていると少しずつ消耗し、やがてなくなる。その間に数少ない鉄鉱石の鉱脈を掘り当てなければならないというわけだ。これ、実際にやってみると結構大変……。「ゲームは1日1時間」のルールにはまったく収まり切れないボリュームなのだ。
そこで銅の出番である。鉄よりもたくさん入手することができる銅を使ってつるはしを作ることができれば、鉄のつるはしはここぞという時にだけ活用する手が生まれる。
銅鉱石は鉄鉱石よりもありふれていて、これを集めるのに難儀することはないだろう。が、それ故に現状は銅鉱石や銅インゴットが余りがちになってしまう。
「石から青銅」へ進んだ人類の歴史
銅の道具を作れるようになる。これは即ち、人類の進化の過程をなぞることができるようになるという意味も持ち合わせている。
人間はかつて、その辺に転がっている石をそのまま道具にしていた。やがて、その石を別の石で加工し、さらに研磨して刃をつける技術を覚えた。中学校の授業で誰しもが耳にするはずの「打製石器」と「磨製石器」である。
さらに時は流れ、人類は「金属」というものを見つけた。最も加工しやすい金属は銅と錫である。それを使った青銅という合金は、刃物にすることもできれば装飾品にすることもできる。青銅は時間が経てば緑青が現れるが、何とこれもマインクラフトで再現されている。
このゲーム、やればやるほど「芸の細かさ」に驚かされてしまうはずだ。
避雷針の役割
現状実装されている「銅インゴットの使い道」をここで一つ挙げると、避雷針がある。
マインクラフトには天候の概念もあり、時として雷雨も発生する。その際、木造建築物に雷が落ちると燃えてしまう。それを避けるため、木造建築物から離れた場所に避雷針を立ててやる必要があるのだ。
現代は避雷針が当然のように設置されているため、むしろ避雷針の役割を知らない人も少なくないのではないか。ベンジャミン・フランクリンがこれを発明する前は、木造の建物に雷が落ちて大火災が発生する……ということがよくあったのだ。マインクラフトの世界に避雷針を実装することで、我々がいかに便利な文明の只中に生きているのかを実感することもできる。
そのような意味で、このゲームはやはり「ゲーム」ではない。「人類の進化シミュレーター」であり、モノづくりと発明品の意義を学べるデジタル教材なのだ。
【参照】
次のゲームドロップの名前を発表!-Minecraft
文/澤田真一
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