
交通事故に遭ってしまった時、保険会社とのやり取りや提示された慰謝料の金額の妥当性など、さまざまな不安や不満などからストレスがありそうだ。交通事故の被害者をサポートするアトム法律事務所は、独自のアンケート調査に基づき、交通事故に関する実態調査を実施した。それによると交通事故の被害に遭った人の6割以上が加害者側の保険会社から提示された慰謝料・示談金額に不満を抱いており、事故後の保険会社とのやり取りでは約半数が何らかのトラブルやストレスを感じている実態が浮き彫りになったという。
4割以上が交通事故の当事者の経験あり
回答者の44%が交通事故の当事者になった経験があると回答しており、多くの人にとって交通事故は身近な問題といえる。回答者全体の27%が被害者、6%が加害者、11%が双方を経験していた。事故の状況は「停車中にぶつけられた」や「夜勤明けに自損事故を起こしてしまった」などさまざまだが、児童・学生が登下校中に事故に遭うケースについてはコメントも多かったという。
交通事故の種類でもっとも多かったのは「車同士の衝突」で、半数以上を占めた。選択肢にない状況では、歩行者と自転車の事故や車と自転車の事故もコメントが寄せられたという。事故の発生場所では「交差点」が約半数でもっとも多かった。
保険会社との交渉では半数がトラブル・ストレスあり
保険会社とのやりとりについては、保険を利用した人では「多少のトラブルがあった」(19%)と「問題が多く、ストレスを感じた」(31%)を合わせると、半数の人が事故で心身ともに大変な時期に保険会社との交渉でさらなる困難を経験していると回答。特に相手の保険会社が横柄な態度を取ったり、最初は丁寧だったがあとで手のひらを返してきたという意見もみられたという。
交通事故による被害でもっとも深刻なものは、「身体的なけが」や「車の修理代」を抑えて「精神的ショック」がトップだった。事故の恐怖やそのあとの不安が被害者にとって大きな負担になっているといえる。
保険会社の対応や金額の提示への不満が浮き彫りに
加害者の対応について 「誠意ある謝罪があった」と感じた被害者はわずか23%だった。対応が「謝罪が形式的だった」と「連絡すらなかった」を合わせると57%で、半数以上の被害者が加害者の不誠実な対応に不満を抱いていた。ほかにも謝罪もなくその場から去ろうとしたり、自分の非を認めない態度の加害者に憤りを感じる声も多く寄せられたという。ただ、「速やかに謝罪を受けた」、「加害者本人だけでなく家族や上司からも謝罪を受けた」などのケースでは、被害者側も誠意ある謝罪と感じているようだ。加害者側がパニックを起こしてしまい、被害者側が気の毒に感じてその場をおさめたというコメントもあったという。
保険会社から提示された慰謝料・示談金額については、「やや不満」と「非常に不満」を合わせると6割以上が不満を感じていると回答しており、これは非常に深刻な問題といえる。保険会社が提示する金額は、あくまで保険会社の基準で算出したもので、裁判になった場合に認められる正当な賠償額(弁護士基準)よりも低いケースが少なくない。適切な賠償金を受け取るには、専門家である弁護士に相談することも重要だ。弁護士が介入することで、保険会社との交渉を有利に進めて賠償金の増額が期待でき、ストレスの大きいやり取りを任せることで治療や生活の立て直しに専念することもできる。今回の調査では、大多数の被害者が保険会社の提示額に納得していない実態が浮き彫りになったが、弁護士に相談するという選択肢も考えたほうがいいかも知れない。
「独自アンケートによる交通事故に関する実態調査」概要
・調査対象:全国の交通事故経験者・未経験者
・調査方法:岡野タケシ弁護士Youtubeコミュニティ投稿アンケート
・調査期間:2025年8月18日~2025年8月20日
・有効回答数:最大3万2679票、のべ5万7756票
構成/KUMU