
夏のドライブで汚れた愛車をいち早く洗車してきれいにすべき理由
2025年の夏、海へ、山へ、湖へと連れて行ってくれたクルマのボディは、塩分を含んだ砂、樹液汚れなどで想像以上に汚れているものだ。それを放置しておくと、塗装面などに深刻なダメージを与え、サビの原因にもなってしまう。秋の絶好のドライブシーズンに向けて、愛車の夏の汚れを一掃する洗車を行いたい。
なお、筆者はモータージャーナリストであると同時に、80~90年代の洗車ブームをけん引し、洗車に関する書籍、ビデオ、TV、ラジオ出演のほか、洗車関連メーカーのアドバイザーに20年間以上携わってきた”洗車オタク”でもある。
洗車機にかける場合は予備洗いが不可欠
洗車環境は人それぞれで、自宅でできる人、ガソリンスタンドなどの洗車機やコイン洗車場を利用する人と様々だが、ひとつ注意したいのは、愛車のボディコンディションに気遣っている人がガソリンスタンドなどの洗車機を利用する際は、できれば事前の予備洗いを推奨したい。砂汚れなどがボディに乗ったまま洗車機にかけると、最新の布やスポンジブラシを用いたボディに優しい洗車機であっても、クルマ側に付着していた砂などの粒子がボディをキズつける可能性があるからだ。
とくに旧車は傷んだ塗装へのダメージが大きく、濃色ボディカラーのクルマは洗車キズが目立ちやすいからである。よって、自宅洗車、予備洗いができないのであれば、洗車機より高圧の水でボディに乗った汚れ、砂などの粒子(黄砂、花粉含む)を吹き飛ばせるコイン洗車場の利用を推奨。とくに砂浜沿いに出掛けたクルマは、塩分を含みベトついた砂汚れの付着がサビ、ボディのキズ付きの原因になるため、コイン洗車場の高圧洗車でボディ周りだけでなく下回りもしっかりと洗うのがベストだ。
自宅での洗車で用意するものとは
ここでは自宅洗いについて説明すると、用意するのは散水ホース、バケツ、カーシャンプー、洗車専用スポンジまたはクロス、水気拭き取り用の合成セーム皮またはマイクロファイバークロス(ボディ用、ウインドー用、下回り用の最低3枚は必要、できればそれ以上)、タイヤブラシ、ホイールスポンジ&ホイールブラシなど。SUVなど、背の高いクルマのルーフの洗車には、蓋付きで乗れるバケツを用意したい。それ以外のあると便利でより完璧な洗車が行えるようになる神アイテムは後述する。
洗車の基本はボディの上から下へと洗っていく
洗車の基本は上から下へ。つまり、水の流れを最大限に利用するためにルーフからボンネット、トランク(3BOX車の場合)、ボディサイド、ボディ下回りの順に洗っていく。が、タイヤ&ホイール洗いはボディ洗いの前に行う。というのは、最後に洗ったとすれば、もっとも汚れがひどい部分でもあり、洗っている最中に泥、ブレーキダストなどの汚れが飛散し、せっかく洗ったボディに汚れを付着させてしまい、再洗いが必要になるからだ。
タイヤはタイヤブラシ、ホイールは表面をスポンジ、スポークの隙間などは洗車のプロも使っているエーモンのホイールスポンジやホイール専用のスポンジブラシを使うといい。タイヤ&ホイールにザッと水をかけたあと、スプレーボトルに作ったカーシャンプーをスプレーする。なんでスプレーボトルに作ったカーシャンプーを用いるのかと言えば、タイヤ&ホイールの洗浄に使うカーシャンプーを洗車用のバケツで作ったとすれば、カーシャンプー、バケツともに泥、ブレーキダストなどの汚れ、粒子が混じってしまい、ボディ洗車に適さないカーシャンプー、バケツになってしまうからだ。もちろん、ボディ用とは別のバケツにタイヤ&ホイール、下回り専用のカーシャンプーを作れるのであれば、スプレーボトルは不要だ。なお、ここでの水気の拭き取りは、このあとボディを洗うため、不要である。
屋外洗車は直射日光と強い風を避けて手早く確実に行いたい
ボディ洗いはまず、ボディの上から下へとたっぷりと勢いよく水をかけ、ホコリ、砂などの汚れを洗い流すことから。ここで洗いが不十分だと、カーシャンプーを使った洗車でも、ボディに微細なキズを付けかねないから要注意。そしてバケツに泡立てたカーシャンプー(コーティング施工車は専用シャンプー、または中性のシャンプーを使うこと)をスポンジや洗車用クロスにたっぷり取り、ルーフから下へと手早く、しかし確実に洗っていく。洗車日の天候、気温、風にもよるが、のんびり洗っていると、洗っている途中から洗剤成分が乾き始め、シミの原因になるから要注意である。SUVやミニバンなど、背が高いクルマのルーフは脚立または乗ることができる蓋付きのバケツを利用して洗うといいだろう。
タオルやスポンジで洗えない細部、隙間はブラシ洗い
が、スポンジやタオル洗いだけでは、ボディパネルの合わせ目の隙間、ボディパネルとライトレンズユニットの隙間、ドアミラーステーとボディの隙間などの細部までは洗えない。実はその隙間に詰まった汚れが、雨降りの後に雨水とともに垂れ、その汚れに紫外線が当たることで、みっともない縦状の水垢の原因になる。そこで洗車時に、ある程度コシがあり、毛先の柔らかいミニブラシでそうした隙間の汚れをかき出すようにブラッシングしてやると、縦状の水垢が付着しにくくなるわけだ。
シャンプー洗い後は十分な洗い流しが決め手
ボディのカーシャンプー洗いが終わったら、速やかにホースの水でボディ、隙間、タイヤ&ホイールを含む下回りを十分に洗い流す。ここで洗い流しが不十分だと、洗剤残留分によるボディのシミ付着の原因になるから念入りに。ホースの水流、水圧が弱いと十分な洗い流しができず、シャンプー成分が細部に残り、固まり、水はけが悪くなってサビの原因にもなってしまうので、可能ならケルフャーなどの家庭用高圧洗浄機を使うのが理想だ。
水滴の拭き取りに使うクロスは部位別に用意したい
洗車後の水気の拭き取りにも注意を払いたい。ウインドー、ボディ、タイヤ&ホイールを含む下回り用にと、部位別に数枚のマイクロファイバークロスを使い分け、入念かつ素早く拭き取ること。のんびり拭き上げていると水滴が乾き始め、やっかいなボディのシミ、リング状のウォータースポット付着の原因になるからだ。
隙間と細部の水気はハンディマルチブローで吹き飛ばす
しかし、ボディパネルの合わせ目の隙間、ボディパネルとライトレンズユニットの隙間、ドアミラーステーとボディの隙間などの細部に入り込んだ水気は、クロスではどうにも拭き取れない(それが水垢の原因になることはすでに説明した通り)。そこでお薦めしたい神アイテムが、セイワから発売されている(オンライン限定商品。楽天市場、アマゾン、Yahoo!で販売) 、筆者も愛用しているIMP301「ハンディマルチブロー&掃除機」を使うこと。スタイリッシュなデザインで、使いやすい軽量、手持ちサイズかつコードレスで、エアブローと掃除機の二刀流の機能を持った画期的なアイテムだ(ノズル7種類付属)。ここではそのエアブロー機能を発揮してもらうことになる。こうしたアイテムの中には、かなりの騒音を発するものもあるのだが、こちらはけっこう静音。近所迷惑になりにくい点も筆者は評価している。
エアブロー効果は絶大で、フロントグリル、ボディとライトレンズユニットの隙間、リヤウインドーガラスとボディの隙間、フロントグリル、エンブレム周り、ワイパーブレード、そして水気が溜まりやすいホイールボルト回りに入り込んだ(拭き取れなかった)水気も、このIMP301のエアブロー効果で強力に吹き飛ばすことができる。その際、吹き飛んでボディに再付着した水気をその場で拭き取る作業も怠ってはならない。ちなみにIMP301「ハンディマルチブロー&掃除機」のUSB充電による作動時間は低速側で約180分、エアブローに適する高速側で約12分だが、約12分あればクルマ1台の隙間のエアブローには十分だ。
ウインドーはクルマ専用のガラスクリーナーを使う
そしてウインドーをクルマ専用のガラスクリーナーで拭き上げる。筆者は拭きムラが少なくスピーディーにガラスクリーニングが行えるストナーのインビジブルガラスクリーナーを、ウインドー面専用のマイクロファイバークロスとともに使っている。
タイヤをタイヤワックスで黒々と仕上げればクルマがビシッと見える
洗車行程の最後は専用クロスを使ったタイヤ&ホイールの水気の拭き上げ。合わせてタイヤをタイヤワックスで黒々と仕上げ、すでに作業を終えたウインドー面の透明度が高まれば、不思議とクルマ全体がビシッと締まって見えるものなのである。
エンジンルームの汚れは油汚れ専用のウェットクロスを使うと簡単
ちなみに、ここまでのようなしっかりとした洗車を行ったついでに久しぶりにエンジンルームもきれいにしたい・・・と思ったのであれば、簡単なエンジンルームの汚れ落とし術を紹介する。エンジンルームは様々なパーツ、電子機器、配線があり、もちろん安易な水洗いは厳禁。しかし表面だけでもきれいにしたいのであれば、100均でも売っている油汚れ用のウェットクロスを使うと手っ取り早くきれいにできる。その作業は、エンジンルームが冷えた状態で、手を怪我さないように作業用手袋や軍手などをつけて行ってほしい。
こうして、愛車にこびりついたひと夏の汚れを徹底的に洗い流し、ボディ、ウインドー、足回りをピカピカにしておけば、秋の絶好のドライブシーズンを一段と気持ち良く楽しめるに違いない。なお、裏技満載のインテリアのクリーニング方法については、改めて紹介することにしたい。
文/青山尚暉