
電通におけるヘルスケア領域の専門組織である「電通ヘルスケアチーム」は、全国20~70代の男女計1万人を対象に第19回「ウェルネス1万人調査」(以下、「本調査」)を実施。その結果をグラフや図表にまとめて発表した。
2007年から毎年実施している本調査では、生活者の健康意識や行動を中心に、ヘルスケア領域における最新動向や市場ニーズについて生活者視点で調査を行なっている。今年は調査対象に初めて70代を加え、生活者を8つに分類したヘルスケア・クラスターを一新した。
その概要は以下のとおり。
「健康な人はかっこいい」と考える人の割合は年代に応じて高くなり、70代が約8割と最も高い
◎「健康な人はかっこいいと思う」人の割合は、70代が79.2%と最も高く、20代が53.1%と最も低い。【図表1】
【図表1】
Q. 以下の項目について、あなたにどの程度あてはまりますか。それぞれについてお知らせください。(n:10000)
「健康な人はかっこいいと思う」という項目で、「非常にあてはまる」または「ややあてはまる」と回答した人の割合の合計。

◎「同じ健康の悩みや目的を持つ人のコミュニティに興味がある・参加したい」と考える人の割合は、最も高い20代が32.0%なのに対し、70代は12.6%と最も低い。【図表2】
【図表2】
Q. 以下の項目について、あなたにどの程度あてはまりますか。それぞれについてお知らせください。(n:10000)
「同じ健康の悩みや目的を持つ人が集まるコミュニティに興味がある・参加したい」という項目で、「非常にあてはまる」または「ややあてはまる」と回答した人の割合の合計。

◎「身体や健康のための工夫や努力を周囲から認められたい・ほめられたい」と考える人の割合は20代が34.9%と最も高く、70代は9.9%と最も低い。【図表3】
【図表3】
Q. 以下の項目について、あなたにどの程度あてはまりますか。それぞれについてお知らせください。(n:10000)
「身体や健康のための工夫や努力を周囲から認められたい・褒められたい」という項目で、「非常にあてはまる」または「ややあてはまる」と回答した人の割合の合計。

■健康のためにかけている1か月あたりの金額は「商品」「サービス」ともに70代女性が最も高い
◎健康のための「商品」(サプリメントや健康食品、ドリンクなど)にかけている1か月あたりの金額は、1618円。最も高い70代女性(2542円)と最も低い30代女性(1043円)では、約2.4倍の差がある。【図表4】
【図表4】
Q. あなたは健康のための商品(サプリメントや健康食品、ドリンクなど)に、1か月あたりどのくらいかけていますか。
Q. あなたは健康のためのサービス(フィットネスやマッサージ、ヘルスケアアプリなど)に、1か月あたりどのくらいかけていますか。

※小数点以下第1位を四捨五入
■心拍数などを測定できるスマートデバイスを使用したりする割合は20代男性が最も高い
◎ヘルステック関連商品・サービスの使用有無について、睡眠状態や食事内容をスマートフォンなどに記録している割合は、いずれも20代男性で最も高く、睡眠状態を記録する割合は28.5%、食事内容を記録する割合は25.1%。【図表5】【図表6】
【図表5】
Q. 以下の行動をあなたは現在実施していますか。それぞれについてお知らせください。(n:10000)
「睡眠の状態をデバイスやスマホで測定/記録する」の項目で、「必ず/よく実施している」または「たまに実施している」と回答した人の割合の合計。

【図表6】
Q. 以下の行動をあなたは現在実施していますか。それぞれについてお知らせください。(n:10000)
「食事内容をスマホで記録/管理する」の項目で、「必ず/よく実施している」または「たまに実施している」と回答した人の割合の合計。

◎心拍数や歩数、睡眠の質などを測定できるスマートウオッチなどの腕時計型やリング型のデバイスを現在使用している割合は、全体では10.8%。性年代別では、男性20代が17.6%と最も高く、70代男性(15.2%)が続いた。【図表7】
【図表7】
Q. ヘルスケアに関するテクノロジーを活用した下記のサービスや商品について、あなたの利用状況や今後の利用意向をお知らせください。(n:10000)
心拍数や歩数、睡眠の質などを測定できる腕時計型やリング型のデバイスの項目で、「現在使用していて、今後も使用し続けたい」と「現在使用しているが、続けるか分からない・やめる可能性が高い」と回答した人の合計。

◎着用することで疲労回復や血行の促進をサポートしてくれるリカバリーウエアは、現在の使用率は5.0%にとどまったものの、「使用したことがないが今後使用したい人」は22.6%に上った。【図表8】
【図表8】
Q. ヘルスケアに関するテクノロジーを活用した下記のサービスや商品について、あなたの利用状況や今後の利用意向をお知らせください。(n:10000)
着用することで疲労回復や血行の促進をサポートしてくれるリカバリーウエアの項目。

普段の食生活で改善や予防を実践している割合が最も高い症状は「骨粗しょう症(27.9%)」
◎日頃悩まされている、もしくは今後気を付けたいと思っている45の症状のうち、「普段の食生活での工夫」で改善や予防を実践している割合は「骨粗しょう症」が27.9%と最も高く、「体脂肪が多い」(27.1%)、「便秘」(26.5%)と続いた。特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品などの、健康にいい食品・飲料で対策をしている割合は「免疫・抵抗力が低い」が最も高い14.8%で、「便秘」(12.3%)、「不妊」(11.9%)と続く。【図表9】
【図表9】
Q. 「日頃悩まされている、気にしている」または「今後気をつけたい」とお答えになった症状について、予防や改善のために現在取り組んでいることはありますか。それぞれについて、実施している事をすべてお知らせください。(n:10000)

■「健康意識/行動によるクラスター分析」では時代背景が反映されたクラスターが出現
◎健康意識/行動によるクラスター分析で、生活者を「全方向アクティブトレンド層」「スマート・コンディショニング層」「コツコツ・シンプル層」「食だけセーフティ層」「セルフイメージ先行層」「将来不安・停滞層」「お疲れ健康後回し層」「低感度・無欲層」の8タイプに分類。【図表10】
◎健康のための「商品」にかける金額は、「全方向アクティブトレンド層」(2218円)が最も高く、最も低い「お疲れ健康後回し層」(1085円)と約2倍の差がある。【図表10】
【図表10】

電通ヘルスケアチーム 調査担当者の解説
「ウェルネス1万人調査」は、昨年までは20~60代の男女1万人を対象としていましたが、時代背景やビジネス環境を考慮し、今年から70代も含めた1万人調査へと一新しました。年代を広げたことで、性・年代による健康意識・行動の特徴がより明確に浮き彫りになりました。
本調査では、一口に健康意識・行動とくくってしまうのではなく、具体的な選択肢を細分化することでより実用的な特性を捉えるようにしました。今後は、性・年代別の視点の分析にとどまらず、さまざまな視点で生活者の健康意識の細やかな実態を明らかにしていきます。
今回の調査対象の変更に伴い、当社独自の「ヘルスケア・クラスター」も刷新しました。その結果、健康意識・行動に独特の偏りがある5層(食だけセーフティ層/セルフイメージ先行層/将来不安・停滞層/お疲れ健康後回し層/低感度・無欲層)の出現率が66.9%に上ることが判明しました。
健康へのモチベーションやリテラシーが高い3層(全方向アクティブトレンド層/スマート・コンディショニング層/コツコツ・シンプル層)はもちろんですが、生活者の約7割を占める「健康意識が低めの層」に対してどのようにアプローチするかを検証していくことも、ヘルスケアマーケットにおいては重要な視点だと考えます。
本調査から見えてきたヘルスケア・ウェルネス領域における生活者インサイトが、ヘルスケア業界において健康行動の促進に向けたマーケティングや事業開発に取り組む方々による生活者理解の一助となれば幸いです。
調査概要
目的/生活者の健康意識と行動からヘルスケアの現状を把握し、生活者視点で見たヘルスケアトレンドを予測
対象エリア/日本全国
対象者条件/20~70代の男女
サンプル数/10000 ※性年代、地域構成比を人口構成比(R2国勢調査)にあわせて回収
調査手法/インターネット調査
調査期間/2025年6月6日~6月7日
調査機関/株式会社電通マクロミルインサイト
構成/清水眞希