
キャデラックは、電気自動車のハイパフォーマンス・クロスオーバー「Elevated Velocity(エレヴェイティド・ヴェロシティ)」の発表により、コンセプトカーのポートフォリオをさらに進化させた。
この「エレヴェイティド・ヴェロシティ」コンセプトは、「キャデラックVシリーズ」の本質を体現し、オンロードでもオフグリッドでも胸を躍らせる走りを追求した大胆な2+2クロスオーバーとして設計されており、キャデラックの将来のデザインの可能性を示唆する存在。
なお、このモデルの市販化は未定となっている。
パフォーマンスの伝統と超高級電気自動車の未来が融合
電気自動車(EV)のハイパフォーマンス・ラグジュアリークロスオーバー市場は成長を続けており、キャデラックはその需要に応えるため、「リリックV」と「オプティックV」を発表した。「エレヴェイティド・ヴェロシティ」は、「Vシリーズ」のパフォーマンスの成功の方程式を受け継ぐコンセプトとして、未来における進化の方向性を示す。
このコンセプトカーは、究極のパフォーマンス、最先端の先進技術、そしてキャデラックならではのオーダーメイドによるラグジュアリー・クラフトマンシップを巧みに融合させている。息を呑むほど印象的なエクステリアと洗練されたインテリアによって乗員の至福のひとときを高める体験「Elevated(上昇・高揚感)」と、リフトアップされたプラットフォームを最適化し最も過酷な砂漠地帯での果敢なオフロード走行を実現する「Velocity(疾走感)」というこのふたつの異なる価値を同時に提供する。
最先端かつ目的を明確にしたテクノロジー
ユーザーが自由自在に移動できるテクノロジーを備えた「エレヴェイティド・ヴェロシティ」は、テクノロジーとデザインの巧みな結合を追求している。搭載された多彩な選択可能のユーザーエクスペリエンスモードがその好例。
■ウェルカムモード
ドライバーを迎えるモード。車両に近づくと、フロア、シート、インストルメントパネル、ドア、ステアリングホイールがやわらかなホワイトに点灯し、迫力あるガルウイングドアがドラマチックに空へ大きく開いて乗員を招き入れる。ステアリングホイールに、砂漠の砂が舞い上がる様子を思わせるウェルカムアニメーションが映し出され、さらにダッシュボードのエンドキャップには、キャデラックのブランドとVシリーズロゴが光を放つ。
■エレヴェイティドモード
ドライバーによって設定されると、「エレヴェイティド・ヴェロシティ」は自律走行に移行し、車内はリカバリースペースへと変貌。このモードでは、ペダルとステアリングホイールが格納され、外気温、ドライバーの体温、車内温度を表示。パフォーマンスの最適化を支援する。インテリアのアンビエント・ライトはレッドに切り替わり、シートバック・ライトに採用された赤外線が乗員のベストパフォーマンスを引き出す。ドア内部のバックライトは呼吸や動作に合わせて点灯し、リカバリーの効果をさらに強化します。ステアリングコラム上部ではライトが前後に動き、カウルに映し出されるアニメーションと連動して呼吸リズムに合わせたサポートを行なう。
■ヴェロシティモード
ドライバーによって起動され、インテリアの照明がクールなホワイトトーンに変わって爽快感を演出。ドアの内側はバックライトで照らされ、フロアのホワイト照明は光量が抑えられて、ドライバーが道路に集中をしやすくなるよう配慮している。さらに、展開可能なステアリングホイールには、速度、時刻、バッテリー残量、温度を表示、カウルディスプレイに拡張現実ヘッドアップディスプレイ(AR HUD)ナビゲーションが投影される。ヴェロシティモードにおいては、コクピットこそが主役となる。
過酷な地形で発揮される最高峰のEVパフォーマンス
「エレヴェイティド・ヴェロシティ」は、「Vシリーズ」のパフォーマンスと「アート・オブ・エクスヘイレーション(爽快感の芸術)」というデザイン哲学を体現している。あらゆる地形において最高峰のEVパフォーマンスを発揮し、ハイパーカーならではのスリルを最大限に味わえる選択可能なドライビングモードを搭載。24インチホイールを装備したリフトアップされたエレガントなデザインは、最も過酷な地形を攻略するだけでなく、洗練されたラグジュアリーなオンロードドライビング体験を提供する。
さらに「エレヴェイティド・ヴェロシティ」の選択式ドライブモードは、オンロードでの精緻なハンドリングとオフロードでの圧倒的なパワーを解き放つ。そして、このデュアルモードドライブは、地形やドライバーの意図に合わせて瞬時に適応する。
■e-ヴェロシティモード
オンロードでの激しい走行に最適。これは、現行の「Vシリーズ」に搭載されているキャデラックの心躍るVモードを進化させた機能す。
■テラモード
エアサスペンションが車高を上げ、最高のオフロードパフォーマンスを発揮。
■サンドビジョン
キャデラックの既存のナイトビジョン技術に類似した機能で、砂嵐の中でもより優れた視界を確保できるようにする。
■エレメンツディファイ
車両を効果的に振動させることでほこり、砂塵、土などの外部要素やゴミを除去し、「エレヴェイティド・ヴェロシティ」の外装を清潔な状態に保つ実用的な機能。車両が常に汚れのないクリーンなコンディションで到着することを可能にする。
大胆さと優雅さを追求したエクステリア
「エレヴェイティド・ヴェロシティ」のエクステリアは、オンロードでのドライブから過酷な砂漠地帯のようなシーンに至るまで、走破性と洗練された美しさを両立している。流麗なフォルムは空力効率を最適化し、ドラマチックなプロポーションと堂々としたスタンスが圧倒的な存在感を放つ。
同モデルは、「セレスティック」や「リリック」で確立されたキャデラックらしい、例えば伸びやかなフードなどのエレガントなプロポーションを継承しつつ、ブランドのデザイン言語をさらに進化させている。このコンセプトカーは、彫刻的かつ技術的なバランスを追求して、将来のキャデラックの市販車にインスピレーションを与える可能性を示している。
エクステリアは、効率的な2+2キャビンを備えつつ、スピード感を強調した彫刻的なプレステージ性を表現。エクステリアカラーには、氷河からインスパイアされたフリントグレーを基調としたヴェイパーブルーを採用し、燃えるようなレッドのインテリアとのコントラストで、このコンセプトカーの究極のパフォーマンスをさらに際立たせている。ブルーのストーリーラインは、ブルーのティンテッドが施されたフロント/リアのウィンドシールドやサイドガラスに引き継がれている。
そしてスムーズに乗降できるように設計されたガルウイングドアが、乗員を車内へと招き入れる。ホイールにはフラックスファイバーとブラッククリスタルティントアクリルを組み合わせたデザインを取り入れ、キャデラックの特徴的なプレシジョンパターンがコンセプトカー全体の随所に施されている。
さらに「エレヴェイティド・ヴェロシティ」では、リフトアップした車高を強調するため、キャデラックの象徴的な照明演出を再構築したデザインを導入している。フロントの優雅にフルーティングされた半透明のヘッドライトと、独自のライトトンネルを備えたバーティカル・テールランプが特徴的となっている。
高次元のキャビン体験
キャビンには、妥協のないライフスタイルを実現するエレガントで実用的な機能が巧みに装備されており、洗練されて豪華でありながら、あらゆる道路状況に対応する機能性を備えている。
「エレヴェイティド・ヴェロシティ」は、至福のひとときを追求するために設計された。キャビンの色彩、素材、仕上げは、理想的なフォルムの美しさと最大限の機能性も兼ね備えるよう意図的に選定されており、最高のドライビングエクスペリエンスに貢献している。
インテリアには、スムーズなラップ仕上げのサーフェス、エンボス加工された木目、ブークレ生地、着色アクリルやガラスなど、多層の素材が用いられ、砂漠でのポロ競技から着想を得た「エレヴェイティド・ヴェロシティ」の卓越した性能を表現している。キャビンは、深みのあるレッドの色合いとブラッシュドメタルのアクセントで装飾され、エネルギーと躍動感を感じさせる。
■モレロレッド
滑らかなファインナッパグレインを施した深紅のレザー。ヘッドライナー/ピラー、ドアアッパー、シートクッション、リアコンパートメント、キャビン、カーゴフロアに採用されている。
■セリーズ
ドアからインストルメントパネルの背面、リアシート裏まで、車内全体を包み込むように素材がリング状に広がる洗練されたレッドファブリック。ドアには、砂漠でのポロ競技のダイナミックな動き、つまり砂地を駆け抜ける馬の蹄の動きやマレットの打ち合いからインスピレーションを得たブラッククリスタルの独自の3Dプリントパターンが施されている。
■ガーネット
シートのアッパー部、ドアアームレスト、コンソールアームレスト、インストルメントパネルを飾るレッドカラーのブークレ生地。
装備の充実したキャビンは、重要なアイテムを保管するためのボルトロック式コンパートメントに加え、躍動感あふれる刺激的なライフスタイルに最適な収納スペースを確保。リアに装備された特注のポロ用具のセットが、その特徴を象徴している。ハンドメイドのポロセットは、「エレヴェイティド・ヴェロシティ」の美学を踏襲しており、ケースはコンセプトカーの外装色であるヴェイパーブルーを反映。ポロヘルメット、グローブ、ニーパッド、マレットはモレロレッドで仕上げられ、キャデラックのロゴとエンブレムの「クレスト」、そしてキャデラックのプレシジョンパターンが施されている。
関連情報:https://www.cadillacjapan.com/
構成/土屋嘉久