
まだまだ暑さが続く中、ビジネスパーソンの身だしなみとして気を付けたいのが汗じみや汗臭。
そこに、もう一つ加えてほしいのが「口臭」である。実は、汗をかく時期は、口臭がキツくなるらしい。
今回は、歯科医師でアンチエイジング専門医でもある佐久間絢子氏に、暑い時期の口臭ケアの方法を聞いた。
【取材協力】
佐久間 絢子氏
歯科医師・日本抗加齢医学会アンチエイジングドクター
鶴見大学歯学部卒業。鶴見大学歯学部臨床研修医、審美歯科 理事/院長を経て、医療法人社団Sunset理事就任 /Zetith Dental Clinic 院長。
日本抗加齢医学会 専門医、AsoAligner 認定、SHU-lider認定、Nobel Biocare インプラント認定。女性誌、ライフスタイル誌の読者モデルも務める。
暑い時期に口臭がキツくなる理由
「暑さが厳しい時期特有の体調変化により、唾液の減少によって口臭が強く感じられることがあります。唾液が減る原因としては、加齢、乾燥、ストレス、薬の副作用などがありますが、十分に水分を摂っていないことでも唾液の分泌が少なくなり、口臭が気になることがあります。
特に夏は汗をたくさんかき、脱水になりやすいため、体内の水分が不足しがちです。脱水状態になると唾液の分泌も減り、口の中が乾燥して、口臭のほか、虫歯・歯周病のリスクも高まります」
暑い時期の口臭ケア術
暑い時期は特に口臭ケアを徹底したいものだ。そこで佐久間氏に暑い時期の口臭ケアの方法を聞いた。
1.口臭ケアの基本は「歯ブラシ+デンタルフロス」
口臭ケアの基本は、毎日の歯みがきにある。歯ブラシのみならず、デンタルフロスも併用することを佐久間氏は勧める。
「お口の中を清潔に保つために、歯磨きは1日2~3回行いましょう。デンタルフロス(以下、フロス)を併用して歯と歯の間の汚れを除去することが大切です。
歯ブラシは歯と歯の間には届かず、隙間汚れやプラーク(歯垢)を落とすことはできません。汚れがしっかり落ちていないと口臭の原因となるため、フロスで綺麗にする必要があります。
フロスを通したときに引っかかる場合は虫歯の可能性もあるため、歯科医院で確認しましょう。歯ブラシとフロスを併用して使うことで、より清潔で健康的な口腔環境を維持でき、口臭予防の効果が高まります」
2.舌ブラシで舌苔を除去しよう
口臭ケアのグッズといえば舌ブラシ。どのような点で役立つのか。
「口臭の主な原因である舌苔(ぜったい)を除去して舌表面を綺麗にすると、唾液の分泌が良くなり、自浄作用が促進され口臭予防につながります。舌ブラシで舌の奥から手前に向かってやさしくなでるように数回こすりましょう。歯磨きだけでは不十分に感じられる場合におすすめです」
3.唾液を増やす唾液腺マッサージを取り入れよう
唾液を増やす唾液腺マッサージは、暑い時期の口臭予防におすすめだという。
「唾液腺マッサージで唾液の分泌を促すと口臭ケアになるほか、口腔環境の悪化を防ぐこともできます。唾液には消化酵素が含まれており、食べ物の消化を助けます。唾液が増えることで、食べやすく・消化しやすくもなります。以下、3箇所を10回程度マッサージするのがおすすめです」
●耳下腺マッサージ:人差し指と中指で、耳の前から下をくるくる円を描くようにマッサージする。
●顎下腺マッサージ:両手の親指で、あごの骨の内側を押し上げるようにマッサージする。
●舌下腺マッサージ:あごの先を軽く押しながら舌を大きく上下左右に動かしながらマッサージする。
4.注目のトレンド成分入りトゥースペーストを活用しよう
最近では口臭ケアのできるトゥースペースト(歯磨き粉)も登場している。佐久間氏は口臭ケアのほか、口腔ケアにも役立つトレンドの成分を3つ挙げる。
●エクソソーム
「エクソソームは、美容分野でアンチエイジング効果が注目されている成分です。トゥースペーストに配合すると歯茎の出血予防や抗炎症作用、抗菌作用が期待できます。
例えば、ハリウッド化粧品の『ベルアージュ トゥースペースト ∞』にはエクソソームが配合されており、歯茎からの出血の抑制や傷修復が期待できます。また歯だけでなくお口全体の健康と美のエイジングケアに着目した成分を厳選配合している点も注目です」
ハリウッド化粧品「ベルアージュ トゥースペースト ∞」
ホワイトニング効果、歯石予防*(歯垢除去を含む)、虫歯予防、口臭予防、口腔内浄化の効果が期待できる。
●ハイドロキシアパタイト
「ハイドロキシアパタイトという成分が入っているものもおすすめです。ナノ粒子で歯の表面のエナメル質の傷を修復してくれ、歯の再石灰化を促すので、歯の表面がつるつるに。虫歯なども防いでくれます」
●ミルエキス
「ミルエキスという海藻成分もおすすめです。歯ブラシで磨いた後、汚れがついている歯ブラシそのものも殺菌できる強い成分です。ハイドロキシアパタイトと共に配合されているようなトゥースペーストがおすすめです」
緑茶やリンゴジュースも効果あり
その他にも、こんな口臭ケア術もおすすめだという。口臭が気になる人は、ぜひ実践しよう。
●ガムを噛む・こまめに水分補給する
「唾液の分泌を促すガムを噛んだり、こまめに水分補給をして、お口の中をできるだけ乾燥させないようにしましょう」
●就寝前の抗菌洗口液
「就寝前には、歯磨き後に刺激が少ないアルコール不使用の抗菌洗口液を利用しましょう」
●ドリンクは緑茶やりんご飲料を摂取
「食事では、にんにくなど強い臭いのある食材は避けましょう。ドリンクでは、口臭予防に効果的な緑茶やりんご飲料を摂取するようにしてください」
●質の高い睡眠とリラックス
「睡眠不足やストレスによって唾液の分泌量が減り、口の中が乾燥することで口臭の原因になることがあります。そのため、質の良い睡眠をとり居心地の良い空間でリラックスして過ごすことも大切です」
一方で、口臭は虫歯や歯周病が原因のこともあるという。
「口臭の原因は、ご自身では把握できないため、健康チェックの一環として歯科医院での定期的な検診を受けるのもおすすめです」
まだまだ汗をかく季節は続く。唾液が減りやすいことを覚えておき、基本の口臭ケアと共に暑い時期ならではの対策も行おう。
取材・文/石原亜香利
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