
■連載/阿部純子のトレンド探検隊
「業界1位へ挑戦」を旗印に事業領域を拡大しているワークマン。2025年秋冬新製品発表会が開催され、冷気・熱気を遮断する“着る断熱材”「Xシェルター」や、業界最安値の上下3,800円というリカバリーウエア「MEDIHEAL(メディヒール)」など、新製品が数多く公開された。
常識破りの低価格を実現した一般医療機器取得のリカバリーウエア「メディヒール」
作業客向けにワークマンが2021年から展開している、疲労回復をアシストするリカバリーウエア「MEDIHEAL(メディヒール)」が今年の秋冬から一般客にも販売ターゲットを拡大する。2025年の秋冬商戦では24アイテム合計200万着を販売。これは2024年秋冬商戦に比べて10倍の販売計画数となる。
「ワークマンは作業服、作業用品の専門店ですので、製品の幅が広いかわりに生産する数を抑える、つまり在庫をなるべく抱えないという形で45年間やってまいりました。しかし近年、一般向けにアパレル展開を行うようになり、人気製品は店舗でもオンラインでもすぐに売り切れてしまい、必ずしもお客様まで届かないことや、転売されているなどで不満が相当高まっており、顧客満足度が著しく低下していました。
お客様に製品をお届けできないことを反省しまして、秋冬重点製品は昨年の8~10倍の生産を行い、重点製品である『Xシェルター』『メディヒール』『ゼロステージ』『快適ワークパンツ』の4アイテムで、465万点、133億円計画を実施することにいたしました」(株式会社ワークマン 専務取締役 土屋哲雄氏)
厚生労働省の定義では、リカバリーウエアとは一般医療機器に分類される「家庭用遠赤外線血行促進用衣」で、遠赤外線の血行促進作用により、疲労や筋肉のコリを改善することを目的としているもの。様々なブランドが展開しているが、ワークマンのリカバリーウエアの大きな特色は上下で3,800円という、大手ブランドの10分の1程度の価格だ。
「他社さんの製品は1万円超えも多く、なかなか手を出しづらいと感じているお客様も多いかもしれません。そういった方にこそお勧めできるのが、『もっと身近なリカバリーウエア』として販売するメディヒールです。
遠赤外線の血行促進作用で疲労回復をするもので、簡単に言うと、お風呂や温泉、岩盤浴に入ると血流が良くなることと同じ原理です。体から放出される遠赤外線を、繊維に練りこんだ高純度のセラミックスが輻射することによる遠赤外線の血行促進作用により、疲労を回復する環境を整えます。
メディヒールは作業客を対象に2021年から販売しており、170万着の販売実績があります。ワークマンは現場で働く職人のための製品を作っている会社ですので、仕事のパフォーマンスを上げるために、夜にしっかりリカバリーしてもらうというのがメディヒールの最初のコンセプトでした。
一般医療機器としての効果も検証済みです。ただ、『他社と比べて安すぎるので、効果は本当にあるのか』との声があるのも事実です。テスト段階で当社公式アンバサダーやインフルエンサーなど20名以上に試着していただき、個人差はありますが86%以上が効果を実感しています。
また、ワークマンはワークウエアとして動きやすさに関して多くの知見があり、メディヒールにもその特徴を取り入れています。
どんな動きしたときにどんな部分に負荷がかかるのか、例えば腕を上げたときに脇の部分に負荷がかかるとか、ルームウエアですので、寝返りを打った時に寝返り打ちづらくないかなど、検証を繰り返して完成しました。ルームウエアだけでなく、スポーツウエアとしても一流の機能性がある商品となっています」(株式会社ワークマン 半田峻也氏)
メディヒールは24アイテムで展開。メンズ製品では、9月1日より店頭で販売を開始した、「MEDHIHEAL ROOM(メンズ)」の「長袖シャツクルーネック」「ロングパンツ」(各1,900円)、「MEDHIHEAL ROOMパイル(メンズ)」の「クルーネック」「ロングパンツ」(各1,900円)、「MEDHIHEAL」の「ルーム休足ソックス」(499円)。
9月1日よりダウンロード開始した「ワークマン公式アプリ」で先行予約販売するアイテムが、「MEDHIHEAL ROOM(メンズ)」の「トレーナー」「スウェットパンツ」(各2,300円)、「MEDHIHEAL WARM(メンズ)」の「フリースジャケット」(2,500円)。
メディヒールはウエアだけでなく、装着部位周辺のコリを緩和する「MEDHIHEAL MAGネックレス」(2,900円)、「MEDHIHEAL MAGネックレス トップ付き」(3500円)や、「MEDHIHEAL MAG腰サポーター」(2,900円)、「MEDHIHEAL MAGひじサポーター(2枚入り)」(1,900円)、「MEDHIHEAL MAGひざサポーター(2枚入り)」(1,900円)、「MEDHIHEAL MAGふくらはぎサポーター(2枚入り)」(1,900円)といったアイテムも展開している。
また、レディスでも「MEDHIHEAL ROOM」のウエアを展開しており、Workman Colors限定販売のメディヒール糸を使った敷パッド(シングル 1,780円/セミダブル1,900円)や「敷ブランケット」(1,900円)といった寝具類も。
トークショーではメディヒールのアンバサダーを務めるタレントの武井壮さんが登場。武井さんは学生時代から徹底した体のコンディション作りを行っており、「世界で一番自分の体を研究していた」と言うほど、自身の体に関する知識があったことから、メディヒールの効果をより実感できるとしてアンバサダーに選ばれた。
「もともとウエアに関しては敏感で、縫い目とか、内側で布が折り重なっている部分が気になると、着なくなってしまうことが多かったんです。
メディヒールを着て最初に思った感想は心地悪い部分が全くないということ。驚くべき着心地の良さでしかも動きやすく、スポーツの動作をする時も引っかかったり、引っぱられたりすることが全くないことに驚きました。
みなさんは僕がPRする立場だから、話し盛っているんじゃないかと思うかもしれないですけど、本当に過去一ぐらいにストレスのない着心地というのが正直な感想です。
僕の特技は、体を鍛えることよりも、鍛えて疲れた体を誰よりも早くリカバリーできる能力があることだと思っています。陸上競技選手時代はきついトレーニングもたくさん行いましたが、それ以上に自分の体のデータを細かくチェックして、しっかりとリカバリーをしているからこそ、次の日のトレーニングでは100%に近い状態の高パフォーマンスが発揮できました。疲れた体を誰よりも早く回復させることができたからこそ、10種競技という非常にタフな競技もわずか3シーズンで日本一になることができたのだと思っています。
リカバリーに関して知識と経験を持っている僕が、今まで着た中で一番リカバリー効果が高いと感じたのがメディヒールです。みなさんにもメディヒールを着て疲れた体、疲れた気持ちを癒して、明日の活力を誰よりも高く維持していただけたらうれしいですね」(武井さん)
【AJの読み】生産増で「争奪戦」「いつも売り切れ」を解消できるか?
ワークマン人気の高まりから、多くのメディアでお勧め商品として露出する機会が増えたことも影響してか、話題の新製品に関しては、発売と同時に売り切れたり、高値で転売されていたりと、とにかく入手ができないというイメージが強い。「ゼロステージ」が発売されたときは、事前登録して抽選の結果当選した記憶がある。
こうした不満はやはり大きかったようで、「お店で普通に買えるようにする」(土屋専務)ため、秋冬重点製品は10倍と大幅に生産量を増やす。9月1日からスタートしたアプリやオンラインで一部の新製品の事前予約ができるので、筆者もオンラインストアからさっそくメディヒールを上下組で予約したが、「現段階では店舗在庫お取り置きは完了しておりません」ということで、まだ商品を確保できたどうか待ちの状態。
筆者はオンラインストアを利用しているが、売り切れが多く他のアパレルのようにカートに入れて決済、購入のような、オンラインで買い物を完結できないことが多々ある。店舗在庫で確認する商品は、遠方の店舗まで取りに行かなくてはならず、購入を諦めたことも多い。
また、店舗業態もいろいろあるため、近所にある「WORKMAN Plus」では受け取れないことも多く、ワークマンの全製品が、どの業態の店舗で受け取れるシステムを構築してくれればありがたいのだが。
取材・文/阿部純子