
パーソルキャリアが運営する調査機関「Job総研」は、442人の社会人男女を対象に「2025年 共働き意識調査」を実施し、その結果を発表した。
全体の83.1%が共働きにおける見えざる格差があると回答、格差の中身は「やって当然の空気感」が最多
共働き世帯の増加に伴い、家事や育児は夫婦で分担するものという意識が広がっている。昨今では、男性の育児参加を促し、女性のキャリアを支えるなど社会全体の意識改革が進むなか、性別役割分業を見直す動きも加速し、男性育休取得率も過去最多となった。また、厚生労働省は、「共に育てる」に取り組める社会を目指すため、プロジェクト名を「イクメン」から「共育」へと変更している。一方で、実際は家庭内において平等な家事育児の分担がなされているとはいえない状況だ。
そこで、Job総研では、442人の社会人男女を対象に、共働きの見えざる格差や家事育児の分担割合への思い、また、収入差で家事育児分担を変えることへの賛否とその理由、共働き意識によるキャリアへの影響、そして”共働き=男女平等が進んでいるのか”について「2025年 共働き意識調査」を実施した。
【調査結果】
・共働きの見えざる格差
回答者全体の442人に共働きにおける見えざる格差の有無を聞いたところ、「あると思う派」が83.1%で大多数を占め、内訳は「とてもあると思う」が16.3%、「あると思う」が33.5%、「どちらかといえばあると思う」が33.3%となった。また、見えざる格差の中身を聞くと、「やって当然の空気感がある」が43.2%で最多となり、次いで「一方が無意識に家事を担う」が41.4%、「一方が諸々の調整を引受ける」が32.6%となった。
・共働き生活の家事育児分担
回答者全体の442人に共働き生活における家事育児の分担割合への思い聞くと、男性が多く担うのは「違和感がある派」が69.4%で過半数を占め、女性が多く担うのは「仕方ないと思う派」が56.6%で過半数を占めた。また、“共働き生活で家事や育児は女性が多く担う”という考えへの印象を聞くと、「理想的でないが実際多い」が39.1%で最多となり、次いで「社会ではその傾向が強い」が35.5%、「誰が担うかより納得感が大事」が31.4%となった。
・収入差と家事分担への賛否
回答者全体の442人に、“収入差で共働き生活の家事育児分担を変えること”への賛否を聞くと、「賛成派」が60.2%と過半数を占め、内訳は「とても賛成」が8.6%、「賛成」が14.0%、「どちらかといえば賛成」が37.6%となった。「賛成派」の男女別では、男性が64.9%、女性が51.6%と、男女で賛否がわかれた。
・賛成/反対の理由
“収入差で共働き生活の家事育児分担を変えること”に賛成と回答した266人にその理由を聞いたところ、「稼ぐ方が仕事に集中した方がいい」が47.7%で最多となり、次いで「効率よく家庭を回せる」が31.2%、「時間、体力差での分担が合理的」が29.7%となった。反対と回答した176人にその理由を聞くと、「責任は収入関係なく共有」が49.4%で最多となり、次いで「収入差での分担は不満が出る」が44.9%、「両者が両立意識を持つべき」が43.8%となった。
・共働きによるキャリアへの影響
回答者全体の442人に共働きが前提になったことで、自身のキャリア選択に影響があるかを聞いたところ、「影響がある派」が67.2%と過半数を占め、内訳は「とても影響がある」が12.9%、「影響がある」が21.0%、「どちらかといえば影響がある」が33.3%となった。キャリア選択に影響ありと回答した297人に具体的な影響を聞くと、「場所や時間に制約を感じる」が46.5%で最多となり、次いで「転職、異動、昇進に慎重になる」が39.7%、「相手のはたらき方を意識する」が35.0%となった。
・共働き=男女平等か
「キャリア選択に影響がある派」の男女別では、男性が64.1%、女性が73.9%となり、男女間でギャップが見られた。回答者全体の442人に、共働き=男女平等が進んでいるのかを聞くと、「進んでいると思わない派」が47.3%となり、内訳は「全く進んでいると思わない」が16.1%、「進んでいると思わない」が16.3%、「どちらかといえば進んでいると思わない」が14.9%となった。
・回答者自由記述コメント
女性からは“キャリア”、男性からは“平等”に関するコメントが多く集まった。
<女性目線>
・共働きだが、子どもの面倒、家庭と仕事を両立するためにも仕事を半分諦め、転職した
・姑から仕事を辞めろと言われパート勤務に。キャリアを捨てなければいけなかった事が辛かった
・出産が影響しないキャリアが普通にならなければ結局女性の負担は減らせない
・出産と同時に退職したが、復職をしようと思ったときには同じ職種に戻れなかった
<男性目線>
・女性の出産を考えると、どうしても仕事に関われない期間が生じるので完全な平等は難しいと思う
・平等であるべきという考えは現実的に難しい。家庭ごとの正解があるという考えが浸透するといい
・お互いに得意分野があるのだから一概に同じことをするのが平等ではない
・共働きの目的は経済的なゆとり。家事の平等性を重視して収入が減るような事になっては本末転倒
【調査概要】
調査対象者:現在就業中のJobQ Town(ジョブキュータウン)登録者
調査条件:全国/男女/20~50代
調査期間:2025年8月1日~8月7日
有効回答数:442人
調査方法:インターネット調査
関連情報
https://jobsoken.jp/info/20250822/
構成/立原尚子