
株式分割後の100株でも株主優待がもらえる銘柄に注目
株式分割は1株が2株になることだが、理論上は1/2の額で100株を買え、その上、分割後の100株でも株主優待制度を受けられるなら、拡充と言えるだろう。
そんな「株式分割して分割後の100株でも株主優待がもらえる」銘柄は、9月以降にもあり注目だ。
ただし、株式分割する銘柄でも、保有条件などがつき気をつけなくてはいけない銘柄もある。※株価は2025年9月1日終値
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)(株価5,347円、最低投資額10万6,940円※分割前20株、分割後100株)の株式分割は…
ドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH・7532)は9月末に1:5の株式分割を行うと発表。これにより、分割前100株を保有していた人は、売らなければ自動的に500株保有となる。そして、分割後の100株、300株でも株主優待がもらえるようになる。
分割後100株(分割前20株)……300円のmajicaポイントがもらえる
分割後300株(分割前60株)……1,000円分のmajicaポイントがもらえる
分割前に100株保有していた人は分割後500株の株主優待内容(2,000円分のmajicaポイント)となり、内容はそのまま。しかし、単元未満株で保有していた人は新たに株主優待を受け取ることができる。権利月は12月と6月なので、分割後に100株保有していれば2025年12月以降の株主優待を受けられることになる。
安楽亭(7562)(株価7,530円、最低投資額37万6,500円※分割前50株、分割後100株)の株式分割は…
焼肉店の安楽亭(7562)も株式分割を控えている。9月末を基準日とした1:2の株式分割だが、2026年3月権利では分割後100株保有で株主優待を受けられる。安楽亭では、2025年9月の権利でも内容の若干の変更(割引券から指定商品引換券へ変更)となり、これもポジティブな変化ととらえる人が多い。
これまで受け取れなかった単元未満株保有者が株主優待を受け取れるようになったというわけだ。安楽亭は東京都や埼玉県など1都7県に店舗があり、近くに利用できそうな店舗があれば検討してみてもいいかもしれない。
丸一鋼管(5463)(株価3,802円、最低投資額12万9,268円※分割前34株、分割後102株)の株式分割は…
株主優待の拡充ではあるものの、一部の人には長期保有条件がつき、改悪に感じる人もいるかもしれないのが、丸一鋼管(5463)だ。9月末に1:3の株式分割を控え、2026年9月には分割後100株でもおこめギフト券1枚がもらえるが、1年以上保有(9月末、3月末に株主名簿に連続して記録)条件が必要になる。
「分割後100株でももらえる」が「1年以上保有が必須」になる。この1年以上の保有条件は、分割前に100株以上を保有していた人にもあてはまる。途中、売買するなどして“1年以上保有”条件から外れてしまっては、株主優待がもらえなくなるので注意しよう。
分割前に34株保有していた場合……
×2025年9月末の権利では、34株保有になり「おこめギフト券3枚」はもらえない
×2026年3月末の権利では、分割後100株保有になり「おこめギフト券3枚」もらえる
〇2026年9月末の権利では、“1年以上保有”で分割後100株保有になり「おこめギフト券1枚」もらえる
分割前に100株保有していた場合……
〇2025年9月末の権利では、100株保有になり「おこめギフト券3枚」もらえる
〇2026年3月末の権利では、分割後300株保有になり「おこめギフト券3枚」もらえる
〇2026年9月末の権利では、“1年以上保有”で分割後300株保有になり「おこめギフト券3枚」もらえる
※ただしどちらも株式番号の変更がない場合
マブチモーター(6592)(株価2,490.5円、最低投資額12万4,525円※分割前50株、分割後100株)の株式分割は…
マブチモーター(6592)では、少し先、2025年12月に1:2の株式分割を予定している。分割後100株でも株主優待が受けられるようになり、こちらは拡充。ただし、100株保有者は1年以上保有が条件になる。
株主優待では、分割後100株でも株主優待が受け取れるようになったが「1年以上」の条件つき。変更実施は2026年12月末からなので、もし、変更後に株主優待を受け取りたいなら2025年12月から保有しておくべきということがわかる。
Aiロボティクス(247A)(株価8,150円、最低投資額16万3,000円※分割前20株、分割後100株)の株式分割は…
企業名のAiロボティクスと聞いても、いまいちピンと来る人は読者には少ないかもしれないが、「Yunth(ユンス)」という化粧品ブランドを知っている人はいないだろうか。この「Yunth(ユンス)」を子会社化したAiロボティクス(247A)も9月に1:5の株式分割を控えている。
Aiロボティクスの株主優待の権利月は9月と3月で、100株保有者に自社商品がもらえるもの(※2025年9月分は、「生VC美白美容液」と「生VAダーマ美容液」の2商品を予定)だが、株式分割後100株(分割前20株)でも株主優待の権利が受けられる。
ただし条件があり、2026年3月以降は、「継続して6ヶ月以上保有」が必要。2026年3月のほか、半年前の2025年9月にも同じ株主番号で登録が必要なので、現物保有をしておくのが無難といえる。2025年9月1日の終値は8,150円で100株は80万円以上していたため、この1/5額、およそ16万円で株主優待がもらえるようになることは大きな魅力に違いない。株主優待の拡充だけでなく「Yunth(ユンス)」など手がける化粧品ブランドがこれからどれだけ浸透していくかによって、株価の上昇も期待できそうだ。
文/谷口 久美子