
証券会社で営業をしていた頃、私は日々さまざまなお客様と接していました。
そこでは「資産がなかなか増えない人」と「順調に増やしていく人」との間に、はっきりとした違いがあることに気づいたのです。
投資はタイミングや運だけではなく、考え方や行動の積み重ねが結果に直結します。
今回は、リーマンショック直後の厳しい市場を経験した私が実際に目の当たりにした、“資産を増やす人に共通する3つの特徴”をご紹介します。投資初心者の方はもちろん、すでに投資を始めている方にとってもヒントになるはずです。
リーマンショックから学んだ「投資のリアル」
私は2008年に証券会社に入社しました。入社時サブプライローン問題により日経平均は18,000円台から14,000円台まで下がっていたものの、株式市場は落ち着いていました。
ところが、その前の月まで12,000円台だった日経平均は、リーマンショックにより10月28日に一時6,994.90円までダウン・・・・・・。
その後の2009年3月10日、終値での最安値7,054.98円の2番底を付けました。その株式市場がどん底のなかでの営業スタートでした。
株価が大きく下がったときは、投資を考えたくないという方がほとんどでした。また、保有している資産が1/3以下になっている方もいます。その後、徐々に株価は上がっていきましたが、今のように急激に上昇することなく、低迷していました。
誰もが投資を避けた時代に、資産を増やした人がいた――。そのリアルな経験から見えてきたことがあります。
(1)小さな利益に飛びつかず、腰を据えて持つ
利益が上がると、その利益を確定したくなるのが、人間の性というもの。
例えば、月給20万円の人が、株で20万円の評価益が出ていたら売りたくなると思います。評価益はあくまでも評価上の利益であるため、どれだけ評価益があっても売らずにその後下がってしまったら、絵に描いた餅となります。
利益は売るまで確定されないため、下がらないか心配になり、売ってしまうことがあります。
お客様で、頻繁に売買している方がいましたが、株式市場が上がってきても、損をしていることが多かったです。
信用取引やFX等レバレッジをかけた取引は短期売買をする必要があります、一般的な株式投資や投資信託の積立投資をする場合は、短期では売買せず、2、3年単位で長く保有するとよいでしょう。
令和元年の市場ワーキング・グループが公表した報告書によると、以下のように長期投資の優位性が示されています。
保有期間が5年の場合では損した人が一部いますが、20年間の長期保有では損をする人がほとんどおらず、2%~8%の利回りで運用できたとしています。
今のような、日経平均が4万円を超えるようなところから始めれば長期運用をしたとしても損をする可能性はありますが、大きく下がったタイミングから投資をコツコツ長期で始めると、短期で運用している人より損をする可能性が低くなるといえます。