
長期国債の金利が上昇している今、チェックすべきは国債投資、かもしれない。本記事では国債の魅力を紹介したい。
そもそも債券とは国や地方公共団体、企業が発行し、投資家からお金を借りるための仕組み。投資家は貸している間に利息を受け取り、満期になれば元本が返還される。ただし、発行体が倒産した場合は元本が戻らない可能性もある。
基本的には満期まで保有することを前提に購入するが、途中で売却することもできる。その際の売却価格は市場金利の動向に左右されるため、元本割れとなる可能性もある。
例えば、ある企業が発行した満期3年・金利1%の債券を100万円分購入すると、毎年1万円の利息を3年間受け取り、3年後に100万円が返ってくる。
ただし、途中で売却すると99万円になるなど、元本が割れる可能性もある。
このように債券価格と金利はシーソーのように逆相関の関係にある。価格が上がれば金利は下がり、価格が下がれば金利は上がる。
10年国債1.61%、20年国債2.655%!過去最高水準の“割安チャンス”
2025年8月22日時点で、新発10年国債の利回りは1.61%と2008年10月以来の高さを記録。さらに、新発20年国債は2.655%と1999年11月以来の水準となっている。
・10年国債の利回り
・20年国債の利回り
利回りが高い=債券価格が安いということ。つまり、今は国債を割安で購入できるチャンスといえる。もちろん金利上昇局面でさらに価格が下がる可能性はあるが、途中売却をしなければ、日本が破綻しない限り満期時に元本は返ってくる。
国債は円建て債券の中でも最もリスクが低い商品だ。社債は発行企業が倒産すれば元本が返らないが、国債はそのリスクが極めて小さい。いま利率が高い国債は投資先として魅力的といえる。
個人向け国債・利付国債・割引債──違いとメリットを整理
国債にはいくつかの種類がある。代表的なのは「個人向け国債」「利付国債」「割引国債」だ。
・個人向け国債
新発(新規発行)のものを金融機関で購入可能。3年・5年・10年の3種類があり、3年と5年は固定金利、10年は変動金利で市中金利に連動する。
最大のメリットは途中換金しても元本が返ってくる点。発行から1年経過後に換金でき、直前2回分の利息相当分が差し引かれる。投資初心者にも安心だ。
・利付国債
既発債を証券会社で購入する形式。市場価格と利回りは日々変動するため、購入タイミングが重要。
2025年8月22日時点では、残存25年=3.654%、残存11年=1.805%、残存3年=1.022%で取引されていた。
・割引債
額面より安く購入でき、満期で100%が返還されるタイプ。金利がゼロまたは極めて低い。
例えば、10年満期で発行価格が90なら、満期に100が返ってきて差益10を得ることができる。
既発債を買うなら要注意!金利・経過利息・NISA非対応の落とし穴
既発債を購入する際は以下3点に注意したい。
(1)金利と利回りの違い
利回りは償還差益も含めた指標であり、満期まで保有してはじめて実現する数値。途中売却では変動する。
(2)経過利息
利払日前に購入すると、購入していなかった期間分の利息を前払いする必要がある。
(3)NISA対象外
国債はNISAの対象外で、利息や償還益に20.315%の税金が課される。特定口座なら自動で源泉徴収される。
ほぼノーリスクの国債投資は、今だからこそおすすめ
国債は投資商品の中でもっともリスクが低い。通常は金利が低く魅力に欠けるが、金利が上昇している今は投資先として魅力的だ。
投資初心者や「できるだけ元本を減らしたくない資金」にも適している。
※利息や利回り計算は税引前ベースで記載。
(参考)
日経新聞 8月22日 「長期金利、1.610%に上昇 20年金利は一時99年11月以来の高さに」
文/大堀貴子
優待+配当で5%超の利回りに!物価高の時代にうれしい「QUOカード優待」活用法
個人投資家向けの株主優待として「QUOカード優待」が人気だ。個人株主を増やしたい中小型銘柄だけでなく、最近は大企業も続々と導入。QUOカード優待を提供する企業の…