AI技術の発達により、高度な翻訳技術がなくても生成AIに指示を出して英文の翻訳が可能となった。適切なプロンプト(指示文)の書き方と論文・ビジネス文書・PDFなどに対応したおすすめAIをまとめた。
目次
グローバル化が進むにあって、英語→日本語、日本語→英語の翻訳は日常業務の一部になりつつある。生成AIを活用することで、文章量や専門用語の多い英文も効率的に翻訳可能だ。
本記事では、生成AIを使った英語翻訳のやり方と、様々なAIの英語翻訳の特徴、プロンプトの例文などを紹介する。
英文翻訳に欠かせない基本設定を指示するプロンプト
生成AIによる翻訳は、プロンプトの設定によって品質が左右される。まずは基本的な設定用のプロンプトを見てみよう。
■英文翻訳プロンプトの基本設定1:トーンとフォーマットを指定する
翻訳では文書の目的や読者層に応じて適切なトーン(文調)やフォーマット(書式)を選択する必要がある。
【基本的なトーン指定のプロンプト】
以下の英文を日本語に翻訳してください。
#制約条件
- トーン:ビジネス文書として適切な敬語を使用
- 読者:取引先企業の担当者
- 文体:丁寧語・尊敬語を適切に使い分け
- 避けるべき表現:カジュアルすぎる表現、略語
#翻訳対象文書
[ここに英文を挿入]
【フォーマット重視のプロンプト】
以下の技術文書を翻訳し、専門性を保持してください。
#出力形式
- 段落構成は原文通りに保持
- 専門用語は括弧内に英語併記
- 箇条書きや番号付きリストの形式を維持
#翻訳対象
[ここに英文を挿入]
■英文翻訳プロンプトの基本設定2:専門用語辞書を組み込む
専門分野の文書を翻訳する場合は、専門用語の定義と用語の統一が不可欠だ。事前に用語集をプロンプトに組み込むことで翻訳の品質を保てる。
【用語辞書組み込みプロンプト】
以下の医学論文を翻訳してください。下記の用語辞書に従って用語を統一してください。
#用語辞書
- efficacy → 有効性
- adverse event → 有害事象
- placebo-controlled → プラセボ対照
- randomized trial → 無作為化試験
- statistical significance → 統計学的有意性
#翻訳対象
[ここに英文を挿入]
#追加要求
専門用語以外の部分は自然な日本語で翻訳し、読みやすさを重視してください。
論文・ビジネス文書など文書別のおすすめプロンプト
学術論文やビジネス文書は、それぞれ特有の文体や表現が求められる。目的別のプロンプト例を見てみよう。
■英語論文の翻訳を指示するプロンプト
学術論文を英訳する際は、正確性と学術的な文体が求められる。重視したい事項(表記、用語の扱いetc.)もプロンプトに含めよう。
【論文翻訳用のプロンプト】
以下の学術論文の抄録部分を日本語に翻訳してください。
#翻訳方針
- 学術的な文体を保持
- 研究結果の数値は原文通り
- 統計用語は専門用語として正確に翻訳
- 受動態を適切に使用
- 客観的で中立的な表現を維持
#構成維持
- Abstract, Introduction, Methods, Results, Conclusionの構成を保持
- 各セクションの見出しも翻訳
#翻訳対象
[ここに英語論文を挿入]
■ビジネス文書の翻訳を指示するプロンプト
海外とやり取りするメールや契約書の翻訳もプロンプトで文書の種類を指定することで、適切な生成結果を得やすくなる。
【ビジネスメール翻訳プロンプト】
以下の英語ビジネスメールを、日本のビジネス慣習に適した日本語に翻訳してください。
#翻訳指針
- 敬語の適切な使用
- 相手への配慮を示す表現の追加
- 日本のビジネス文化に合わせた表現調整
- 結論を最後に配置(日本式の文書構成)
#送信者と受信者の関係
- 送信者:海外支社の同僚
- 受信者:日本本社の上司
- 関係性:定期的にやり取りのある業務関係
#翻訳対象
[ここにビジネスメールを挿入]
【契約書・提案書翻訳プロンプト】
以下の契約条項を翻訳してください。法的な正確性を最優先とし、以下の要件を満たしてください:
#必須要件
- 法律用語の正確な翻訳
- 義務・権利関係の明確な表現
- 曖昧さを排除した表現
- 原文の法的意図を正確に反映
#注意点
- 完全な翻訳が困難な箇所は英語併記
- 法的解釈に関わる部分は特に慎重に翻訳
[ここに翻訳対象文書を挿入]
英語翻訳におすすめのAIは?ChatGPTやDeepLの特徴とPDF対応
英語翻訳にどの生成AIを利用するか迷った場合は、それぞれのAIの特徴を知って翻訳文書に合わせたものを選ぼう。PDFへの対応状況も重要なポイントだ。
■ChatGPT、DeepLなど英語翻訳AIの特徴は?
生成AIにはツールごとに特徴や得意分野がある。主なAIの英語翻訳における傾向は以下の通り。
- ChatGPT(GPT-4 / GPT-5 系統)
・長所:自然で滑らかな日本語訳が得意(直訳よりも読みやすさ重視)。文脈理解に優れる。翻訳+要約、翻訳+解説など柔軟な加工が可能
・短所:専門用語(医学・法律など)の正確性はDeepLより劣る可能性がある
・おすすめ用途:小説、エッセイ、マーケティング文、会話文など
- DeepL
・長所:専門的・ビジネス文書に強い(特にヨーロッパ言語↔日本語)
・短所:直訳気味で、表現が硬い場合がある
・おすすめ用途:契約書、論文、マニュアル、技術文書など
- Claude
・長所:長文や複雑なテキストを一度に処理できる。長文PDFの読み込みも得意。
・短所:GPTやDeepLほど日本語に最適化されていない部分がある
・おすすめ用途:長大な文書(PDF含む)を翻訳+要約したいとき
- Gemini
・長所:ウェブ検索との統合で、専門用語を調べながら翻訳可能
・短所:日本語訳ではChatGPT・DeepLほど洗練されていないケースがある
・おすすめ用途:翻訳+調査(リサーチ付き翻訳)をしたいとき
- Copilot
・長所:Microsoft 365と統合されており、仕事用ドキュメント翻訳に強い
・短所:小説や詩のようなニュアンスを活かす翻訳は不得手。専門用語はDeepLに劣る
・おすすめ用途:ビジネス文書・メール・契約書など
■PDFの英語翻訳に対応しているおすすめのAIは?
論文に多いPDF文書は、AIによっては直接読み取りができない(もしくは有料プランの契約が必要となる)。
無料プラン内でのPDFの読み取り・翻訳には「Claude」「Gemini」「Copilot」が対応しているが、ファイルサイズやアップロード回数に制限があるため注意が必要だ。
【AIのPDFへの対応状況】
・Claude……無料プランでもPDFをアップロードして翻訳可能。長文PDFも読み込める。
・Gemini……無料プランでもPDFのアップロードまたはGoogleドライブを通じてPDFの読み込み・翻訳が可能。
・Copilot……無料プランでもPDFをアップロードして翻訳可能。Microsoft 365(有料)を契約することでドキュメントとの連携が可能
・ChatGPT……ChatGPT Plus/Proを契約することでPDFの読み取り・翻訳が可能。
・DeepL……DeepL Proを契約することでPDFの読み取り・翻訳が可能。







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