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9月は要注意!頭痛や身体のだるさの原因かもしれない「気象病」の正体

2025.09.07

「なんとなく体がだるい」「頭が痛い」――。その体の不調を引き起こすきっかけは、実は気象の変化かもしれない。

脳神経内科医でナビタスクリニック川崎に勤務する鷲崎一成先生は気象予報士の資格を持ち、気象の変化により体調不良を訴える患者さんを多く診てきたという。「気象病」と呼ばれるこの病気はいったいどういう病気なのか、話を聞いた。

そもそも気象病とは?

気象病とは、一言で言うと「気象の変化によって引き起こされる心身の不調」のことを指すという。

「気象とは、大気に起こる現象のことです。健康に影響があるとされるのが、気圧・気温・湿度。これら3つの要素の変化によって、心身に不調を引き起こすことがあります」

具体的にどういう症状が体に起きがちなのだろうか。

「頭痛、めまい、耳鳴り、肩こりや首こり、全身のだるさや疲労感、人によっては不眠や抑うつ状態、息苦しさや浮腫みのような症状が出ることもあります。これらを引き起こしてしまうのは、人間の“自律神経”が関係しています」

人は外部からの刺激をさまざまな形で受け取る。意識をして感じている場合もあれば、無意識に感じている場合もある。この無意識に感じている要素が影響しているのが自律神経だという。

「たとえば暑いと感じたら汗をかきます。寒いと鳥肌が立ちます。体温調節も行います。これらは意識してやっているわけではなく、無意識下で体に起こる反応です。このように、自律神経は人間が生きていくうえで、自動的に反応し、体をコントロールしている神経です。この自律神経系が気象の変化に対して、適切に反応できなかったり、過剰に反応したりすることで、さまざまな症状が起こるというわけです。つまり、自律神経系の不調が、気象病の病態だと言えますね」

気象の影響を受けやすい人ってどんな人?

では、気象の影響を受けやすい人はどういう人なのだろうか。

「女性に多い傾向があります。特に頭痛に関しては明らかに女性が多く、原因不明の頭痛が気象病だったというケースをよくみます。あとは、年齢的には若い時期に症状が強くでる傾向にあります。理由としては、若い方が自律神経は過敏に動きがちだからです」

だからこそ、年齢と共に症状が落ち着いていくケースも多く、腰痛や老眼のように、加齢とともに悪化するものではないという。

「ほか、心身共に過剰に反応する傾向のある方も気象の影響を受けやすいです。いわゆるなにごとにも“鈍感”な人よりも、ちょっとしたことを気にしがちなタイプの方が症状を強く感じる傾向にあります」

すぐにできる気象病の対策は?

気温・湿度・気圧と体に影響を与える要素はあるが、気温と湿度はまだ対策がしやすい。しかし難しいのが気圧だ。気圧の影響で不調を感じる前にできることはないのだろうか。

■不調を感じたら耳たぶを回そう

「ポイントは“耳”です。例えば飛行機や列車のトンネル、スキューバダイビングなどで経験する耳の不快感は、外耳と中耳の間に気圧差ができることで生じます。この外部環境の気圧を感知する仕組みがカギです。耳の血流を増やしたり、耳たぶを回したりすることで、気圧変化への適応を助けることができると言われています。だからこそ、耳鼻咽喉科領域で未治療の病気などがある方は、それを適切に治療することで、気象病の症状が軽減する可能性もあります」

■不調は記録しよう!

ほか、「睡眠」は自律神経と密接に関係しているため、良質な睡眠をとることも大切な要素だという。そしてなにより大事なことは、自分の不調の原因が気象と関連している可能性に気づくことだという。

「体調に関する記録はぜひとってほしい。不調の原因が天気の変化だと気づいていない人も意外といます。どういうときに体調が悪くなるかを知っておくと、避ける方法を考えることもできます。パニックにならず“また来たか”と冷静に対処できるような気持ちの余裕があるかどうかでも症状の出方は大きく変わると思います」

頭痛の対処は市販薬を飲んでもOK

頭痛などが酷く、どうしてもの場合は市販薬に頼ることもアリだ。ただ、使用は一時的にとどめ、症状が継続する場合は医療機関を受診しよう。

「脳神経内科や心療内科、呼吸器内科などの領域では、気象と関連する疾患がいくつかあります。受付時に“気象と体調の関連についても診ていますか”と尋ねてみるといいでしょう。気象予報士の資格を持っている医師も結構います。受診時に重要な情報になるのが、先ほどの“症状の記録”です。自分の体質や症状のパターンを伝えて、医師と対話を重ねることで、ベストな解決策に繋がりますよ」

近年異常気象が増えている中では、従来の常識が通用しなくなってきている。自分の体の声に耳を傾け、適切な対応ができるよう、自己管理の在り方をアップデートしていく必要がありそうだ。

【鷲崎一成先生プロフィール】
ナビタスクリニック川崎勤務。東京大学医学部卒業。医学博士。日本神経学会神経内科専門医。米国国立衛生研究所(NIH)に留学し、帰国後は大学病院、救急病院、リハビリテーション病院に勤務。山王病院脳神経内科部長、国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授などを経て現職。天気の変化によって頭痛を訴える相談が非常に多く、天気の勉強に取り組み、気象予報士の資格を取得。

文/田村菜津季

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