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世界的に進む美容の低年齢化、日本でも小学校高学年女子の2人に1人が「メイクアップの経験あり」

2025.09.05

市場調査会社Mintel Groupの日本法人であるミンテルジャパンは、ミンテルジャパンレポート「ベビー&キッズ BPCトレンド -日本- 2025年」を発表した。

小学生の美意識は「遊び」のメイク+「スキンケア」へ

アメリカでは化粧品専門店「Sephora」でエイジングケア製品を購入する10~12歳の少女たち、通称Sephora Kids(セフォラキッズ)が社会現象となるなど、美容の低年齢化は世界的な潮流となっている。この潮流は日本も例外ではなく、本調査では、小学校高学年女子の48%(ほぼ2人に1人)がメイクアップ製品を使用した経験を持つことが判明した。

また、「小学生のメイクは早すぎる」と答えた親のうち、その子どもがメイクユーザーである割合は4割に上り、親の考えと実際の購買行動が一致しておらず、子どもの意思を尊重する姿勢も垣間見える。さらに、小学生の多くがマニキュアやリップグロスなどの「遊び」のメイクを楽しむ一方で、小学校高学年女子の8割近くがスキンケアを実施するなど、「習慣」としてのスキンケアにも意識を向けている。

しかし、子ども向けを訴求する専用のBPC製品(化粧品、スキンケア用品、ヘアケア製品、オーラルケア用品、ボディケア用品、香水など美容と身だしなみを整えるための製品やサービス全般)は少なく、成長する需要に追いついていないと推測される。そうした中、小学生向けスキンケアラインの登場や学校を通じた教育的アプローチなど、子どもの肌や髪のニーズの違いに着目した企業の動きも見られ、新たなビジネスチャンスの存在を示唆している。

■日本でも小学生女子の半数近くがメイク経験あり、世界的な潮流が浮き彫りに

アメリカでは、12~14歳の女性のうち46%が過去1年間にメイクアップ製品を利用したという調査結果(ミンテルレポート「カラーメイクアップ・トレンド -日本- 2024」)が示すように、メイクの低年齢化が話題となっている。また、化粧品専門小売店「Sephora」の店舗で、子どもたちがエイジングケア製品に多額のお金を使うという話題も、SNSをにぎわせている。これらの子どもは「Sephora Kids」と呼ばれ、多くはα世代の少女である。α世代とは、Z世代に続く世代で、2008年前後かそれ以降に生まれた人を指すが、「Sephora Kids」はその中でも若い、10~12歳ごろの女児を指す。

そして、この潮流は日本も例外ではない。実際、メイクアップ製品を使用したことのある小学生女子の割合は、低学年で39%、高学年で48%に上った。興味深いのは、小学生男子でもメイクアップ製品の使用経験のある子どもの割合が、低学年で20%、高学年で16%もいること。加えて、男子小学生のメイクアップ製品の定期使用者は、低学年で7%、高学年で8%と一定数存在する。18~29歳の男性の間では、「メイクの経験があって今後も行いたい」と答えた人の割合が12%だったことを考慮すると、中学、高校と進むにつれて、女子ほどではないものの、男子のメイク経験率も上がっていくと見られる。

■理想と現実の狭間で子どものメイク欲求に折れる親の複雑な心境

メイクの低年齢化が進む中で、小学生がメイクをすることに対する「同じ年代の子どもを持つ親」としての立場は、概ね寛容。しかし、女子小学生の親となると、話は変わるようだ。子どもが小学生未満の親たちは、子どもの性別にかかわらず、小学生のメイクに対して早すぎると思う人は3割前後となっている。しかし、子どもが小学生になると、女の子の親の態度は小学生のメイクに対して厳しくなる。特に小学校低学年の女の子の親では、半数が小学生のメイクは早すぎると感じている。

一方で、学校側の対応を見ると、ミンテルが行なった調査では小学生のメイクに対して「学校がメイク禁止」を掲げている割合は2割弱となった。ほとんどの小学校の規則が小学生のメイクに対する抑止力にならない今、同じ学年の女の子たちがメイクを始めたら、親の考えも柔軟にならざるを得ない。実際、「小学生のメイクは早すぎると思う」と考えている女子小学生の親でも、子どもがメイクを使用している割合は4割となっている。

■子ども用BPC市場の空白、成長需要と供給不足が生む新ビジネスチャンス

小学生女子のメイクアップ製品使用率を見ると、日本のメイクアップ製品カテゴリーの中では比較的マイナーアイテムであるマニキュアが、小学生メイク使用率でトップに、リップグロス・リップオイルが次点に立つ結果となった。大人のメイクでは、顔全体、そして目の周りのメイクの使用が多いのに対し、小学生のメイクがまず注目するのは口周りの部分で、ベースメイク製品の優先順位も当然低くなっている。

また、子ども用のメイク製品というと玩具メーカーの製品も少なくないが、スキンケアもメイク製品も、大人用ではなく、子どもならではのニーズと興味に合わせたBPCメーカー開発のアイテムのさらなる登場が期待される。

さらに、小学生はスキンケアに対する意識も高いことがわかった。小学校高学年になると、女の子がスキンケアを実施する率は8割近くにまで上がる。顔用保湿剤の利用には性差が大きく、男の子の使用率が年齢と共に下がっていくのに対し、女の子は上がっていく。とはいえ、男の子の使用率は減少しても6割近くある。

一方、洗顔料の使用については、性差よりも使用開始の年齢に注目したいところ。個人差も大きいが、思春期のニキビは小学校高学年から中学生にかけてでき始めるといわれている。洗顔料を使用している小学校高学年の子どものうち、半数以上が大人と共用の製品を使用していると答えている。しかし、思春期のニキビが洗顔料使用の理由なのであれば、子ども専用の洗顔料を使うことが望ましいといえる。

しかし、子ども向けを訴求するBPC製品の割合は少なく、その傾向はコロナ禍以降減少傾向にある。

ミンテル世界新商品データベース(Mintel GNPD)に登録されたデータを見ると、日本では「子ども用」と銘打ったケア新製品の割合は少なく、子ども用BPCカテゴリー新製品のほぼ半数が「おむつ」となっている。製品のタイプによって異なるが、「大人とは別の製品を使用している」割合は、特に風呂の中で使用する製品で高くなっている。

小さい頃は子ども専用の製品を使用する割合の方が高いが、小学生ともなると大人と共用になってしまう。子どもの肌や髪は思春期前後で大きく変わるが、それでも大人とは異なる。ターゲット人口は減るが、肌や髪のニーズが違うことに着目し、「子どもが使い続けたい」と感じることを優先した商品設計と、丁寧な教育的発信を心がける子ども用のBPCブランドには十分な商機があると考えられる。

関連情報
https://www.mintel.com/jp/jr-Aug-2025-3

構成/立原尚子

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