シンプルなデザインと優れた汎用性
もう一点フィーチャーしたいのが、デザインのシンプルさだ。昨今、自宅で使うリッチなチェアというとゲーミングチェアが真っ先に思い浮かぶ。ゲーム用途ではなく、在宅ワーク用に購入を検討している人もいるのではないだろうか。
だが、それらは総じてデザインにインパクトが“ありすぎる”。筆者は、芋虫というか、ダウンジャケットのようというか、あの肉厚な感じのスタイルが苦手なのだ。首元に大きくロゴが入っているのも、あまり好ましくないと思っていた。
その点、「Karman」は極めてノーマル。これをマイナスに捉える人もいるかもしれないが、筆者にとっては非常にプラスだった。
また、体重によってリクライニングのテンションが変わる機構にも注目したい。オフィスチェアらしく、さまざまな人の体型にフィットするような設計とのこと。
筆者の場合、ワークスペースは妻と共用だ(主に使うのは筆者だが、妻も在宅ワークが週に1度ほどある)。そのため、この機能の恩恵はかなり大きい。
ちなみに、上記の設計思想ゆえに座面がかなり広い。先述のあぐらのかきやすさはこれにも起因している。
自宅が最高の仕事環境に。会社に行きたくない…
編集者やライターの仕事において大切なのは、柔軟な思考と長時間労働に耐える心身の健康さだ。座り心地について、気持ちいいの一言だと書いたが、それがどれだけ仕事の質に直結するか、強く感じ入っている。
あまり大きな声では言えないが、最近、少しずつ在宅ワークの日数を増やしている。だって、「Karman」のせいで自宅の在宅ワークスペースが快適すぎるから。
これまでは、会社のオフィスのほうがデスクの広さも、周辺機器も、それこそ椅子も、いい環境が揃っていた。しかし「Karman」を使い始めて一変。自宅のデスクは狭いし、暗いし、家族がいると気も散るのだが、それらを補ってあまりある、快適さが生まれた。椅子のバフ効果、恐るべしと言った感じだ。
だが、すべての人におすすめできるかと言ったらそうではない。筆者が手放しにその良さを書いているのは、提供いただけたからだ。20万円前後という価格。自身で購入するとしたら、その金額を出せたか、定かではない。
一方で、ユーザ視点では強く推せる。一生モノの椅子。また、それこそ一生モノの自分の心身を支えてくれる。高い買い物ではあるが、たとえば結婚記念品とか、あるいはマイホーム購入時のどさくさとか、はたまたボーナスとか。何か理由を付けて、思い切っての購入はありだ。
文/関口大起(https://x.com/t_sekiguchi_)