
ニッコリ笑顔に鋭い歯とイタズラっ子のような瞳が印象的なぬいぐるみ「LABUBU(ラブブ)」が世界中で人気だ。
インスタグラムやTikTokなどで、この憎めないしかめっ面を目にした人も多いはず。
BLACK PINKのLISAやリアーナなどの著名人がファッションアイテムとしてバッグにつけ、愛用していたことも大きな話題となり、人気が一気に加速。2024年末から爆発的に拡まり、今や世界中で売り切れが続くほどの盛り上がりを見せている。
そもそも、この「ラブブ」は香港出身のアーティスト、カシン・ローンが北欧神話の影響を受けて創作した物語シリーズ「ザ・モンスターズ」に登場する妖精キャラクターだ。
2019年に中国発の大人気トイブランド「ポップマート」がライセンス契約を結び、コレクターズトイとして商品化。
今年3月には東京駅一番街キャラクターストリートにポップマートのPOP UP STOREが出店し、ラブブ人気が拡大。7月には東京ソラマチにラブブ専門のPOP UP STOREが登場し、フォトスポットは多くの人で賑わった。
参考・画像
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000062707.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000062707.html
今や世界中が「ラブブ」の虜となり、新作発売の日には各国の店舗に熱狂的ファンが詰め掛ける。ぬいぐるみやフィギュア、キーチェーンなど日本円で一体2000円前後のアイテムが多い中、等身大フィギュアは約2200万円で落札されたことも。また、ユニクロが今年8月からコラボTシャツ・スウェットを販売するなど、ラブブ人気の勢いは加速する一方だ。
なぜ「ラブブ」はこれほどまでに世界中で人気なのか?
その秘密を紐解いていこう。
身につけて楽しめるチャームアート
フィギュア・ぬいぐるみとして収集し、コレクションするという楽しみはもちろんだが、実際に身につけてバッグチャームとして持ち歩けるデザイン性が多くの人に支持されている理由の一つと言えるだろう。
バッグをアクセサリーやぬいぐるみで彩るバッグチャームは今年のトレンド。馴染みのバッグを自分だけのチャームでデコり、気軽にイメチェンできる楽しさも「ラブブ」人気を後押しをしている。
他人とは違う、自分だけのファッションに取り込み、魅せることができるアイテムとして最適なのかもしれない。
射幸心を煽るブラインドボックス形式
「ブラインドボックス」とは、アイテムが箱の中に入っているため開封するまで何が入っているかわからない、ガチャガチャ要素のある商品のこと。
ドキドキワクワク感が興奮を誘い、お目当てのアイテムに辿り着くまで欲望のままに購入してしまう執着心が「ラブブ」熱狂を生み出しているとも言える。
また、フィギュアやキーチェーンなどさまざまな商品の形で販売されており、さらに豊富なカラバリも購買意欲を掻き立てる大きな要因。欲しい物が無限に広がり、ラブブ沼へと誘われていく。
ブサカワ×心優しい 完璧ではないキャラクター像
ラブブは、単純に「かわいい」だけのぬいぐるみではない。初対面で違和感を感じるインパクトのある顔立ちと根は優しく好奇心旺盛な性格とのギャップが若者の心を魅了している。
完璧ではなく個性的、そして唯一無二。他者とは違うキャラクターへの憧れは常に心のどこかに潜んでいる密かな希望であり願望。それが具現化され、世界中で愛されているその姿に自身の想いを重ね合わせているのかもしれない。
鋭い歯やヤンチャな表情に加え、ほどよい「ゆるさ」も憎めない愛くるしさを増幅させている。そんなラブブのキャラクターが、Z世代のトレンドを形成する一方、子供心を備えた大人のキダルト市場も盛り上げているのだ。
まとめ
ラブブの爆発的人気は、1990年代に流行したファービー人気を彷彿させるとの声も少なくない。ただ、かつてのそれと違うのは、流行の発端がアメリカではなく、アジア発信のトレンドであるということ。アニメやアート、デザインの分野で流行の波を巻き起こしているアジアの才能に、今後も期待したい。
文/太田ポーシャ