裁判所のジャッジ
妻の勝訴です。すんなり勝訴しています。なぜなら、探偵の証拠があったからです。
不貞行為の写真があったとしても、相手が誰か分からなければ、そもそも訴訟を起こすことはできません。人物特定のためにも探偵への依頼は必須です。
■ 慰謝料が160万円となった理由
・婚姻関係は20年以上に及んでいた
・浮気が発覚するまでは平穏な婚姻生活であった(夫の主観はともかく)
・浮気が原因で夫が家を飛び出し別居するに至っている
・浮気が原因で婚姻関係の平穏が大きく害された
・浮気は現在も続いているので、回数も相当程度に上る
・Y子は「これからも交際を続ける」と宣言している
・妻が心療内科に通院している…etc
■ 夫婦関係は破綻していた?
浮気はすんなり認定されたのですが、もし夫婦関係が破綻していると認定されれば、妻は負けてしまいます。妻は勝てましたが、判決文からその一幕をお届けします。
―― Y子さん、どうぞ。
Y子
「この夫婦は、すでに関係が破綻しています。なので私への慰謝料請求は認められません」
裁判所
「いや、破綻していない。この夫婦は生活費を負担し合う形で同居を続けていた。夫婦の間に一切会話がなかったようなこともないし、ケンカが絶えない状態であったわけでもない」
―― 旦那さんも挙手してますね。どうぞ。
夫
「妻からカフェの援助金の返還を求められたことをキッカケに離婚をしたいと考えるようになりました。妻との同居生活は夫婦というよりは、むしろルームシェアのような感じでした」
裁判所
「それは旦那さんの一方的な主観に基づくものでしょ。夫婦関係は破綻してねぇ」
今回、裁判所は「夫婦関係は破綻していない」と判断しましたが、不倫裁判では必ず浮気相手は「この夫婦の関係はすでに破綻していた!」と主張してきます。なので、破綻していないと認定してもらうための証拠づくりも必須です。
今回は以上です。「こんな解説してほしいな~」があれば下記URLからポストしてください。また次の記事でお会いしましょう!
取材・文/林 孝匡(弁護士)
「ムズイ法律を、おもしろく」をモットーにコンテンツを作成している弁護士
YouTube:https://www.youtube.com/@saiban_LABO
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