
近頃、“痩せ薬”として女性を中心に広まっている「マンジャロ」。使用を公言するインフルエンサーも増え、若い世代を中心に新たなダイエット手段として浸透しはじめている。しかし、薬である以上安易な使用には注意が必要だ。今回は、医師の解説のもとマンジャロの効果や注意点を紹介したい。
「マンジャロ」とはどんな薬?
マンジャロについ、神奈川県の美容外科に勤務する医師に話を伺った。
「マンジャロはⅡ型糖尿病の治療に使われる週一回の自己注射薬です。日本では最近になって保険適用が認められました」
マンジャロが日本で保険適応されたのは2024年12月。高度肥満の患者に向けた肥満改善薬として承認された。マンジャロは「持続性GIP/GLP-1受容体作動薬」と呼ばれるタイプの薬で、血糖値をコントロールする効果がある。
本来は糖尿病治療を目的とする薬だが、食欲抑制効果があることから、ダイエット目的での使用が広がっている。ただし、糖尿病治療以外での使用は保険適用外となり、自費負担での自由診療扱いとなる。美容クリニックで扱われることが多く、おおむね数万円程度で購入できるようだ。
使用方法は腹部への自己注射。投与後は満腹感や胃の膨張感を感じやすくなり、その結果、食事量が自然に減るケースが多いという。運動や厳しい食事制限をしなくても体重減少が期待できる点が、利用者の支持を集めている。
実は「マンジャロ」に似た薬は他にもいくつか存在し、以前同じように広がっていた「オゼンピック」は世界的な需要拡大に供給量が追いつけず、一時製造中止となっている。
副作用には低血糖、嘔吐、下痢など。医師の指導のもと適正な使用を
さて、「マンジャロ」という名前を目にするようになってまだ数か月だが、その広がる勢いは急速だ。背景には、特有の“安心感”が存在すると医師は指摘する。
「流行の背景には保険診療で正式に処方される薬=怪しい薬ではない、という“安心感”があるのだと思います」
また、入手のしやすさも普及を後押ししている。実際にネットで「マンジャロ」と検索すると、オンライン診療で処方するクリニックが数多く見つかり、全国どこに住んでいてもクリニックに足を運ばずに手に入れられるのが現状だ。
「マンジャロ」にダイエット効果があるのは確かだが、副作用への注意も必要だ。添付文書によると、重大な副作用として低血糖が報告されており、その他にも嘔吐・下痢・食欲減退などが5%以上の頻度で発生するとされている。
医師は「マンジャロ」のリスクについてこう語る。
「 “痩せたい”という願望は誰しもが持っています。しかし、中には自身のボディイメージが歪んでおり、不健康なほど過度に痩せたいと考えている人もいます。そういった人でも簡単にマンジャロを手に入れられてしまうことが問題点なのだと思います。また、入手が容易であるため、間違った使用法や個人間の譲渡が発生してもおかしくはない状況です」
そして医師は次のように強調する。
「用法・容量を守ること、自由診療であっても医師の指導や注意点を守ることが前提です」
“使用するだけで痩せる”という言葉は確かに魅力的だ。しかし、その背後にリスクが潜んでいることも忘れてはならない。薬は、医師の管理のもとで正しく使うこと、そして生活習慣の改善を置き去りにして頼りすぎないことが大切だ。
取材・文/宮沢敬太