
2025年4月、NTTがドローンでの雷誘発・誘導実験に世界で初めて成功したと発表。雷雲近くにドローンを飛ばし、空飛ぶ避雷針として機能させる。人類が〝天災〟として恐れる雷を手なずけ、安心・安全な生活が可能になるかもしれない。NTT宇宙環境エネルギー研究所主任研究員 枡田俊久さんが解説する。
避雷針設置が難しい場所でも雷被害を防ぐ、誘雷ドローン
「国内では、落雷被害が年間1千億円以上あります。雷雲下ドローンを自在に移動させ、積極的に雷を誘発・安全な場所へ誘導する仕組みは、都市部の安全を高めるほか、風力発電所や屋外イベント会場など従来の避雷針設置が難しい場所でも雷被害が防げます」(枡田さん)
このドローンには2つのNTT独自技術がある。1つ目は、自然落雷の平均値5倍の大電流・雷直撃に耐える『耐雷化技術』。金属性ゲージで覆った機体は大電流を迂回でき、故障や誤作動を防ぐ。2つ目は、ドローンから地上へ延ばす導電性ワイヤーとスイッチで、任意タイミングで機体周辺の電界を急上昇させ雷の引き金を引く『電界変動による雷誘発技術』だ。
「昨年行なった実地実験に成功し、今後は高精度な発雷位置予測技術を高め、雷エネルギーの蓄電・活用も視野に入れています」(同)
【DIMEの読み】
鉄道や5G通信アンテナなど重要な社会インフラの防災に加え、莫大な電力を持つ雷のエネルギーを捕獲して再利用する仕組みを目指す。クリーンで安価な電力社会の実現が射程圏内に!?
あらゆる屋外シーンでの落雷事故を防ぐ

雷雲で空が急に暗くなったらすぐに発進し、雷を安全な場所へ誘導する。実用化されれば、キャンプ場や野外会場等での避難誘導や事故防止にもつながる。
機体への雷直撃に耐えられる構造

耐雷ケージが、ドローン自体への落雷を防ぎ、墜落・故障を守る。実験では、自然落雷平均値5倍の大電流15万Aにも耐え、安定飛行を続けることができた。
取材・文/久我吉史 編集/髙栁 惠