
楽天証券の「かぶピタッ」は金額を指定した株式取引が可能なサービスです。100円以上1円単位で購入金額を指定できるため、非課税投資のNISA成長投資枠を無駄なく利用できます。始め方や利用するメリット、また、注意点についてわかりやすく解説します。
目次
楽天証券の「かぶピタッ」は、2025年7月16日からリリースされた株式金額指定取引サービスです。100円以上であれば1円単位で株式を購入できるため、投資に対して「ハードルが高い」と感じていた方も、挑戦しやすくなるのではないでしょうか。
「かぶピタッ」の特徴や始め方、利用時の注意点について解説します。すでに楽天証券の口座を開設している方も、まだ開設していない方もぜひご覧ください。
楽天証券「かぶピタッ」とは?

楽天証券の「かぶピタッ」とは、NISA口座を開設している方向けの株式金額指定取引サービスです。2025年7月16日(日本時間)にリリースされ、同日17時から注文が可能になりました。
■1円単位で予算ピッタリの投資が可能
「かぶピタッ」では、100円以上1円単位で株式を購入できます。
通常、株式は100株単位で購入します。購入価格は株価に左右されるため、予算よりも高額・低額になってしまうことも少なくありません。
予算を決めずに投資する場合なら問題はありませんが、金額が決まっている場合は不具合が生じることもあります。
例えば、運用益や配当・分配金が非課税になるNISA成長投資枠では、年間投資枠は上限120万円に制限されています。枠を無駄なく使い切り、非課税投資を最大限活用するためにも、1円単位での投資が可能な「かぶピタッ」が役立つでしょう。
■楽天ポイントを使ったポイント投資も可能
「かぶピタッ」では、楽天ポイントを使った投資が可能です。楽天グループの各種サービスで貯めたポイントは、1ポイント=1円として投資などに利用できます。
また、「かぶピタッ」ではポイントだけでの投資も可能です。楽天市場などで溜まったポイントで投資デビューをするのも良いかもしれません。
■配当金も受取可能
「かぶピタッ」で購入した株式に対して配当が生じる場合は、保有数量に応じた配当金を受け取れます。1株に満たない場合でも配当金の受け取りが可能なため、少額投資でも金額(株式の保有割合)に見合った利益を獲得できます。
楽天証券「かぶピタッ」の始め方

「かぶピタッ」は、2024年に始まった非課税投資制度の新NISA口座・成長投資枠専用のサービスです。なお、NISA口座は1人1口座のみ開設できます。他の証券会社でNISA口座を開設している場合は、楽天証券への変更手続きが必要です。
これから新しく楽天証券でNISA口座を開設する場合は、次の手順で「かぶピタッ」を始めましょう。
- 楽天証券でNISA口座を開設する
- 本人確認後ログインIDを受け取る
- NISA口座の初期設定をする
- 購入したい銘柄を探す
- 入金後「かぶピタッ」で購入する
順に解説します。
■1.楽天証券でNISA口座開設を申請する
まず楽天証券でNISA口座の開設を申し込みます。すでに総合口座を開設済みの方はNISA口座のみ、総合口座未開設の方は総合・NISAの2つの口座の開設手続きが必要です。
なお、すでに他社でNISA口座をお持ちの場合は、原則として同時に別会社で開設できません。他社で保有しているのを忘れて申し込んだ場合は、税務署審査終了後に総合口座のみ開設されます。
■2.本人確認後ログインIDを受け取る
口座開設の申請後、本人確認の手続きを実施します。マイナンバーカードか運転免許証を持っている場合なら、スマートフォンで本人確認の手続きが可能です。
本人確認が完了すると、楽天証券からメールが届きます。メール内にログインIDが記載されているため、大切に保管しておきましょう。
■3.NISA口座の初期設定をする
楽天証券のログイン画面を開き、ログインIDを入力してください。勤務先の情報などを記入し、パスワードを設定すると、ログインが可能になります。通常、初期設定は5分程度で完了します。
■4.購入したい銘柄を探す
楽天証券の株式取引画面から、購入したい銘柄を探しましょう。ただし、「かぶピタッ」を利用する場合は、「かぶピタッ」取扱銘柄から選定する必要があります。成長性や値動きなども参考に、気になる銘柄を絞り込んでください。
■5.入金後「かぶピタッ」で購入する
楽天証券の口座に株式購入資金を入金します。楽天口座を入金口座に指定する場合は、買いたいときに自動で入金されるため、入出金の手間がかかりません。
楽天証券「かぶピタッ」を利用する際の注意点

100円以上1円単位で株式を購入できる利便性の高い「かぶピタッ」ですが、利用の際にはいくつか注意が必要です。楽天証券が選定した特定銘柄のみ購入対象になること以外にも、利用前に確認しておきたいポイントを紹介します。
■利用可能な口座はNISA成長投資枠のみ
「かぶピタッ」を利用できるのはNISA口座の成長投資枠のみです。一般口座の課税投資に対しては適用されないため、購入金額を1円単位まで設定することはできません。
■株主優待を受けられない可能性がある
株主優待の受取基準は、銘柄ごとに定められています。基準を満たしていないときは、株主優待を受けられません。
なお、通常は100株以上で株主優待の対象となるため、1株に満たない場合は対象外のことが多いです。株主優待目的で投資をする場合は、各企業の基準を確認しておきましょう。
■議決権を利用できない可能性がある
株主としての議決権は、1株以上を保有している場合のみ発生します。議決権を持ち、株主として株主総会に出席し、企業経営を左右する議題において意思を表明したいと考えている場合は、1株以上の取得が必要です。
「かぶピタッ」で1株未満を取得している場合は、議決権を保有できません。また、株主総会に出席する権利も有しません。
■パソコンでは取引画面が見づらい可能性がある
「かぶピタッ」は、スマートフォンでの利用を想定したサービスです。そのため、パソコンでは取引画面が最適化されておらず、やや見づらく感じることがあります。
「銘柄選びはパソコンのほうがしやすい」と感じる方は、銘柄をパソコンで絞り込み、注文手続きのみスマートフォンで実施しましょう。
■指値注文ができない
「かぶピタッ」は、値段を指定せずに注文する「成行注文」のみに対応しています。そのため、値段を指定して注文する「指値注文」ができません。
また、売買手数料は無料ですが、値段を指定できないことで、期待したよりも購入できる株式の数量(1株未満の場合は割合)が少なくなる可能性があります。
■リアルタイムでの約定ができない
「かぶピタッ」はリアルタイムでの約定ができません。約定タイミングは寄付始値(よりつきはじめね)で、その日最初に成立した取引によって決まります。そのため、株価が下落傾向でも、始値で取引が成立します。
投資スタイルに合うサービスを選ぼう

予算を決めて1円単位で株式取引をしたい方にとっては、楽天証券「かぶピタッ」は利用しやすいサービスです。
しかし、株価が激しく変動しているタイミングでリアルタイムでの取引を希望する方や、パソコン中心のトレード環境では、操作性にやや不便を感じることもあるでしょう。ご自身の投資スタイルに合うサービスを選びましょう。
構成/林 泉