
無名の作品や人間にフォーカスした作品を数多く手掛ける編集者、写真家として知られる都築響一さん。東京都墨田区向島にある「大道芸術館」は、彼がこれまでに収集してきたアートコレクションを展示する一風変わったミュージアムだ。
女性向けプレジャーアイテム®を提案する「iroha」でブランドマネジャーを務める真仲 潤さんにお供いただき、潜入してきた。
「ファインアートもバッドアートも芸術」と教えてくれる美術館
東京最大規模の花街として知られる向島。芸妓が街を行き交う、都心ではあまり見かけない光景が広がる。料亭が並ぶ一角に、元料亭だった建物を改修した「大道芸術館」はある。
落ち着いた風情の建物だが、中に入るとそのギャップに驚かされ、この美術館が一筋縄ではいかないことがうかがえるだろう。
エントランス正面に鎮座するのは、エントランスガールと称される鳥羽SF未来館に置かれていたマネキン。“鳥羽SF未来館”という言葉にピンときた人は、なかなかの昭和通かもしれない。
昭和元禄と呼ばれる高度成長期に花開いた、歌謡曲やスナック、キャバレー、レーザーカラオケ、ピンク映画、見世物小屋などの独自文化。
それらが消滅しかかっている令和の時代に至るまで、大衆文化の一片を収集し続けてきたのが都築さんだ。膨大なコレクションを展示する場として開館した「大道芸術館」は、3フロアにわかれている。
まずは3階へ。
3階に向かう途中、「大道芸術館」のこんた女将がコンセプトを説明してくれた。
「前衛人形劇団ブレッド・アンド・パペット・シアターのマニフェストに『the WHY CHEAP ART? manifesto』があります。金持ちのためだけに存在すると言われていたアートも、貧乏人の手にも入らなきゃダメ。アートを食べることはできないけれど、人間にとって大事な心の栄養素で『アートはよくできたパンであるべきだ』と続きます。大道芸術館の思想もこれ。ファインアートだけでなく、バッドアートも芸術。価値を見出されなかった作品にも光を当てたい思いが、都築にはあります」(こんた女将)
こんた女将の言葉を裏付けるように、「大道芸術館」にはここでしか出合うことのできない作品が所狭しと展示されている。
【編集部注】ここからは一部性的な要素を含む画像もありますので、了承いただける方はご覧ください。