
AIエージェントを統合することで迅速に簡単かつ直感的に仕事を行なえる
2025年8月19日(米国時間)、アドビからAI搭載のプラットフォーム「Acrobat Studio」が発表された。
Acrobat Studioは生産性と創造性を変革する新たなプラットフォームであり、Adobe Acrobat、Adobe Express、AIエージェントを統合することで、ユーザーが迅速に簡単かつ直感的に仕事を行なえるようにしてくれる。
Acrobat StudioではPDFを対話型ナレッジハブへと変換し、カスタマイズ可能なAIアシスタントを使ってインサイト、回答、推奨を引き出して共有することも可能。さらに、使いやすいAdobe Expressの作成ツール、テンプレート、ブランドキット、Adobe Fireflyによる画像・映像生成を活用し、情報をシームレスかつ創造的に具現化できる。
Acrobat StudioはPDFの歴史における大きな節目となる。PDFは1993年にアドビが発明して以来、最も重要な情報のデファクトスタンダードとなり、現在では3兆以上のPDFが流通しているという。
Acrobatは、生産性を高めるドキュメントアプリのリーダーから、利用者が迅速にインサイトを得て、目を引くコンテンツを作成し、よりシームレスに共同作業できる、先例のない生産性と創造性のためのプラットフォームへと進化している。
今回登場した新しいAcrobat Studioには「PDF Spaces」が含まれており、PDF、webサイト、その他のファイルのコレクションをAIエージェントによってインサイトを引き出せる動的な体験に変換。人々がよりスマートに、より迅速に働けるように支援を行なう。
Acrobat Studioはまた、スキャン、電子署名、編集、ドキュメント結合などのAcrobatのPDFツール群、契約業務に特化したAI、そしてスキャンした文書をAIで要約する新機能を統合している。
本稿では、そんな「Acrobat Studio」の概要と主な特徴について、同社リリースをベースにお伝えする。
AIによる生産性と創造性のための変革的な拠点
静的なファイルを対話型ナレッジハブに変えることで、Acrobat Studioはビジネスプロフェッショナルから個人ユーザー、学生にいたるまで、あらゆる人がAIを活用して仕事を進める方法を再定義する。
例えば、ビジネスプロフェッショナルは対話を通じてファイルから素早くインサイトを獲得し、そのインサイトを体裁の整ったレポートやインフォグラフィックに仕上げることが可能だ。
これらはすべてAcrobatを離れることなく実行が可能。学生はノートをまとめて学習ガイドを作成したり、調査を統合して出典を確認し、正確な引用を生成できる。
個人ユーザーは住宅ローンの契約書や自動車リース契約書をスキャンし、AIアシスタントに内容を説明させてから電子署名で手続きするまでを同じ場所で作業を行なえる。
旅行者はパンフレットやレビュー、日程表やおすすめ情報を集め、AIアシスタントから完璧な旅程の計画をサポートを受けられる。
Acrobat Studioは、Acrobat AIアシスタント、PDF Spaces、Adobe Expressプレミアムプランの全機能、そしてAcrobat Proに搭載されている信頼のPDFツール群をシームレスに統合する。
■PDF Spaces
Acrobat Studioの新しいダイナミックな作業環境であるPDF Spacesは、保存されたファイルやwebサイトを対話型ナレッジハブに変換する。個人やチームはエージェント型AIアシスタントを使ってファイルにアクセスし、インサイトを見つけ、推奨を受け、アイデアを生成し、正確な引用で回答を検証し、いつでも見返せるメモを追加できる。
PDF Spaces内のAIアシスタントには、「インストラクター」「アナリスト」「エンターテイナー」といった特定の役割を割り当てることができ、情報の要約、質問への回答、さらなる探究領域の提案などに役立つ。
例えば、「インストラクター」の役割を持たせて構築されたAIアシスタントは、教師が生徒に説明するようなスタイルで情報を提示できる。ユーザーはまた、自分のプロジェクトのニーズに合わせて新たに定義した役割をAIアシスタントに付与することも可能だ。
パーソナライズされたAIアシスタントを含むPDF Spaces全体は、同僚、顧客、クラスメートと共有することができる。
これにより、受け手は同じナレッジハブと対話し、シームレスにコラボレーションしながら容易にインサイトを得ることが可能になった。
■Adobe Expressで手軽にコンテンツ制作
コンテンツの閲覧、編集、分析のすべての利点を組み合わせることで、Acrobat StudioはAdobe Expressのツールを活用し、インフォグラフィック、プレゼンテーション、チラシ、SNS投稿などの目を引くコンテンツを簡単に作成できる。
Acrobat Studioでは、Adobe Expressプレミアムプランの全機能やアセットにアクセス可能で、プロがデザインしたテンプレート、ブランドキット、そして「テキストから動画生成」や「テキストから画像生成」といったAdobe Firefly搭載ツールの利用が可能。
これにより、生成AIの力を借りて、メッセージをリッチで魅力的に視覚化できる。
■信頼のPDFツール
Acrobat Studioは、何億人ものユーザーに利用されているAcrobat Proの業界をリードするPDF機能をすべて統合している。
これにより、ドキュメントの編集、ファイルの結合、紙文書のスキャン、契約書や合意書への電子署名、墨消し、比較、保護といった作業が可能だ。また、スキャン文書や契約書を含むドキュメント内容を要約するAI搭載機能も備えている。
■エンタープライズレベルのコンテンツとデータセキュリティ
Acrobat Studioは、企業に信頼のツールを提供し、生産性の向上やビジュアルコンテンツの簡単な作成を可能にする。
ITリーダーがテクノロジーツールを統合し、信頼できるAIを活用しながらデータを安全に保護できるよう支援を行なう。
Acrobat Studioは、透明性・コントロール・セキュリティを徹底するために設計されており、最先端の暗号化、セキュアなサンドボックス環境、コンプライアンス対応機能、集中型デプロイを実現。従業員が利用を指定したドキュメントのみを分析し、分析対象文書内の情報ソースに直接リンクするクリック可能な引用を提示する。
これにより従業員はAIを安心して利用できる。なお、アドビは顧客データをAIモデルの学習に使用せず、サードパーティーベンダーによる使用も禁止している。
営業チームは、クライアント情報、調査メモ、提案書をAcrobat Studioに集約し、AIアシスタントを活用して要約・推奨事項・インサイト・メッセージを生成し、その結果をAdobe Expressでコンテンツ化できる。
財務チームは、データを収集・分析し、重要な発見を要約、共有用の主要指標を取得し、ブランド化されたAdobe Expressテンプレートで経営会議向けのプレゼンテーションを作成することが可能だ。
また、法務・コンプライアンスチームは、メモや規制更新、ポリシー案を統合し、変更点を特定して迅速にレビューを進めることができる。
価格と提供状況
Acrobat Studioは、日本時間2025年8月20日より世界各国で英語版の提供が開始された。14日間の無料トライアルを通じて、PDF Spaces、Acrobat AIアシスタント、Adobe Expressプレミアム機能を無制限に利用できる。早期アクセス価格は、個人向けが月額24.99ドル、チーム向けが月額29.99ドルから。
◎詳細はこちらから(英語)。https://www.adobe.com/acrobat/pricing.html
関連情報
https://www.adobe.com/jp/about-adobe.html
構成/清水眞希