
交通事故を起こした場合、事故の態様によっては逮捕されることもあります。実際に交通事故を起こして逮捕され、刑務所に収監された例も報道されています。
本記事では、交通事故を起こした人について成立する犯罪や、逮捕されるリスクなどについてまとめました。
1. 交通事故を起こした人が責任を問われる犯罪の例
多くの交通事故では、当事者のいずれかまたは両方の行為について、犯罪が成立します。まずは、交通事故を起こした人が責任を問われる犯罪の例を見てみましょう。
1-1. 道路交通法違反
道路交通法では、交通に関するさまざまなルールが定められています。多くの交通違反行為は犯罪に当たり、刑事罰の対象とされている点に注意が必要です。
交通事故の当事者は、以下のような道路交通法違反の罪を犯している可能性があります。
1-2. 自動車運転処罰法違反
自動車運転処罰法では、自動車の運転によって人を死傷させる行為について罰則を定めています。
人身事故を起こした場合は、以下の罪に問われる可能性があります。
2. 交通事故で実際に逮捕されることはあるのか?
交通事故を起こした人が実際に逮捕されるケースは稀ですが、運転行為が悪質である場合は、事故の結果が重大である場合は逮捕されることもあります。
2-1. 反則金を納付した行為については逮捕されない
道路交通法違反に当たる行為の多くは「交通反則通告制度」の対象とされています。
一定期間内に反則金を納めると、その行為は刑事訴追されなくなるため、逮捕もされません。
ただし、道路交通法違反のうち悪質性が高い行為には、交通反則通告制度が適用されません。
たとえば、交通事故時の救護義務違反や、30km/h以上(高速道等では40km/h以上)の速度超過などは交通反則通告制度の対象外です。これらの行為をした場合は、逮捕・起訴の可能性が残ります。
2-2. 危険運転・あおり運転事案や死亡事故では逮捕・起訴のリスクがある
運転行為そのものが悪質である危険運転やあおり運転の事案、および被害者の死亡という重大な結果が生じた事案では、交通事故の加害者が逮捕・起訴されるリスクが高いと考えられます。
これらのケースでは、長期間身柄が拘束された後、執行猶予なしで直ちに刑務所へ収監される可能性も否定できません。危険な方法による運転はせず、十分に安全運転を心がけましょう。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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