
2019年、銀座に開業した黒ラベルのフラッグシップバーが「サッポロ生ビール黒ラベル THE BAR」(以下THE BARと略)。テーマである「最もビールがおいしい瞬間はその日の1杯目」のもと、完璧な生ビール体験を徹底的に追及したビヤバーだ。オールスタンディングで定員はおよそ30名。カウンターのスタッフが黒ラベルや注ぎ方の説明を交えながら「その日一杯目の完璧なビール体験」を提供する。
その日一杯目の完璧なビール体験を
取材日はお盆ど真ん中。銀座の街は午前中から多くの人出で賑わうが、それはこの「THE BAR」も例外ではない。なんと開店11:30前から行列ができている。数名程度なのですぐに入れるが、昼前からビヤバーに並ぶ光景は、ここが既に銀座の定番・観光スポットとして定着していることを示している。
注ぎ方の相違による3パターンの黒ラベルが楽しめるのが特長だ。(1)「ザ・パーフェクト黒ラベル」、(2)「ファースト」、(3)「ハイブリッド」。いずれも税込700円でひとり2杯限定。

(1)のポイントは三つの「C」だ。いわく、Creamy、Clear、Cold。ビールを注ぐドラフトタワーは伊達冠石(だてかんむりいし)製で一基ずつ異なる表情をもち、店内に四基設置されている。口をつけた時の泡の極上クリーミーさは「缶ビールでもおなじみのあの黒ラベルと中身は同じ」とはいえ、新体験レベル! 夾雑物が一切なく、するすると身体に入ってくる感覚だ。バブルが小さいため泡の持続も長い。
対して(2)「ファースト」は「わたしは黒ラベルである。生ビールである」と主張するかのよう。通常、生ビールサーバーのカランではレバーを奥に押してビールの中身、手前に引いて泡を出すが、(2)を注ぐのは「スウィングカラン」という昭和初期に一般的だったカランで、レバーを時計回りにひねる(つまり蛇口だ)ことで、(1)に比べ3、4倍の流速で一気にビールを注ぐ。出る勢いが強いため泡が溢れるのが豪快。バブルが大きいため「ザ・パーフェクト黒ラベル」に比べると口当たりがワイルドかつ爽快で、泡消えも比較的早い傾向がある。
「まずは(1)「ザ・パーフェクト黒ラベル」をオーダーされる方が多いですが、3種類全て飲まれたことのある方だと(3)「ハイブリッド」も実は人気です。「ザ・パーフェクト黒ラベル」と「ファースト」の間という感じでバランスが良いですね」とは同店マネージャー代理の松尾英治さん。
7月5日にリニューアルオープン
「THE BAR」は7月5日にリニューアルオープンを果たしたばかり。この機に既述の「オリジナルドラフトタワー」の導入、WEBショップ「サッポロ生ビール黒ラベル THE SHOP」のみでの販売だった黒ラベルグッズの一部の取り扱い、そして「CLUB ZONE」という半個室カウンターが新設された。
「CLUB ZONE」は4名程度で利用できる半個室カウンター。ビヤバーの貸し切り気分にひたれるちょっと贅沢な予約制スペースだ。先の松尾さんをはじめとするスタッフとのビール談義を交わしながら黒ラベルを体験できるのが特長。利用料金は不要だが、現在のところ申し込みは店頭のみ。WEB予約も準備中とのことなのでぜひ活用したい。
フードのトピックで言うと、目玉は銀座界隈の飲食店さんとコラボレートして月替わりで提供する「プレミアム銀座サンド」。8月のサンドはあんぱんの「木村屋」監修「プレミアム海鮮サンド」(税込880円)で、ビールのおともに絶好だ。
「THE BAR」はビールを飲むBARであると同時に、「サッポロ生ビール黒ラベル」という49年目(1977年誕生)を迎えるロングセラー生ビールブランドの体験拠点でもある。ブラックで統一された店内はスタイリッシュだし、2杯限定だからお客さんの回転も早い。美味しい生ビールを1~2杯飲んでエンジンがかかったら「さあ、銀座へ繰り出そうか」と、こういうわけだ。
「サッポロ生ビール黒ラベル THE BAR」は現在のところこの銀座1店舗しかないのが残念と言えば残念だが、でもご安心。実は全国1万店を超える飲食店で提供している「ザ・パーフェクト黒ラベル」も、「THE BAR」と同じパーフェクトな黒ラベルだからだ。
【サッポロ生ビール黒ラベル THE BAR】
営業時間/(月~土)11:30~22:00、(日祝)11:30~21:00
休業日/年末年始・2月第3火曜日
地下鉄銀座駅A4出口すぐ。GINZA PLACE地下1階
https://www.sapporobeer.jp/beer/
文/前田賢紀