
『Nintendo Switch 2』の発売で転売について考えてみました
6月5日に『Nintendo Switch2』が発売されましたね。たびたび思うのですが、このような品薄になりやすい人気商品が発売される時には、いわゆる「転売ヤー」による転売行為に対して「容認派」と「否定派」がいて、炎上するケースとしないケースがあって不思議なんですよね。こと、ゲーム機本体と人気アーティストなどのチケットは炎上することが多いように感じます。
では、炎上するものとしないものの違いって何でしょうか。
基本的にモノの価値は、すべてにおいて「需要と供給のバランス」で上がったり下がったりするものだと思います。株価だって、売りたい人より買いたい人が多ければ上がっていきますよね。
僕が表紙をさせてもらった本誌が最近在庫切れとなって、メルカリで定価よりも高く販売されていました。ゲーム機やチケットに限らず、希少価値が高く「定価より高くても買いたい」と思う人がいたら、定価より高く売買されるのは資本主義の経済行動としては自然なことだと思うんです。
ところが、例えば本来5000円で買えるものが転売ヤーによる買い占め行為で1万円になったら、価格が不本意に吊り上げられたことに対する怒りが出てくるんですよね。
ただ、今回の『Nintendo Switch2』は条件を満たさないと応募できなかったわけですから、買い占めができないような体制を取りました。それでも、転売しようとする人によって自分が買えなくなったり、定価で買える機会を奪われたりして怒っている人がいるというのが今回の実情でしょう。
転売ヤー批判だけでなく売る側も工夫を
ではどうしたらいいのか。転売ヤーが生じる原因のひとつに「価格が安すぎるから」というのがあると思います。高く売れば企業利益が増えるわけですが、とはいえファンを大事にしたいという思いもあるでしょう。あまりに高くしすぎたら今度は販売する側が叩かれてしまうかもしれません。
メジャーリーグのチケットは人気の試合は数十万円することもあるし、ホテルの予約も需要が高い日は同じ部屋でも価格が高くなりますよね。いわゆる「ダイナミックプライシング」のような、需要に応じて適正に変動できれば、転売も起きないのではないでしょうか。とはいえ今回、任天堂は老若男女多くのファンに『Nintendo Switch2』を届けたいでしょうから、そうもいかないでしょう。
一方、絵画などは「転売だ」と批判されず、オークションで高値が付くことも受け入れられていますよね。この違いは、「時間的価値」ではないでしょうか。
そもそも数が少なかったり、時間が経つことによって価値が上昇する古物は許容できる。そこは認めている人が多いと思うんです。
でも、新しいものには「定価」があるのに、買い占めて転売する人がいるから価格が上がる。これって「そのモノ自体の価値が上がっている」というわけではないから、納得感がないわけですよね。だから、お金を持っている人はお金を出すことによってすぐ手に入るから容認するし、お金を持ってない人たちは不満がたまる、ということなんでしょうね。
※6月24日時点では抽選受付対象外

任天堂は公式サイトで応募・購入に条件を付けたが、『Switch 2』発売後、フリマアプリなどでは高額転売が頻発した
流行を斬る!
【1】転売「容認派」と「否定派」がいて、ゲーム機とチケットは紛糾しがち
【2】転売ヤーによる買い占めと転売で価格が吊り上げられることへの怒りがある
【3】転売ヤー問題解消のためには価格設定の見直しも必要?

テスタさん
2005年、300万円を元手にデイトレを中心に株式投資を開始、6年目で億トレーダーに。2015年からは中長期投資も始める。収支は19年連続プラスで、生涯獲得利益は100億円を超える。監修本『マンガでわかるテスタの株式』(大和書房)が発売中。
文/テスタ 構成/向井翔太 編集/千葉康永