
一口にSUVといってもルーツもスタイルも様々。選択肢の幅はどんどん広がっている。今回は、国内市場でも人気の高い最新のハイエンドモデルをピツクアップ。あなたの好みに合うのはどちらか、じっくり確かめてほしい。
※本記事はDIME9・10月合併号「Car of the DIME」にて掲載されたものです。
車両価格はほぼ同じ。どちらを選ぶかを検証!
ようやく4番目の車種が登場したトヨタの新型『クラウン』。クロスオーバー、スポーツ、セダンに続くシリーズ最新モデルはエステートだ。エステートとは、英国流ステーションワゴンのことを指す。欧州ではブレークとかシューティングブレークと呼ばれることもある車体形状で、乗用セダンをベースとして、屋根が車体後部まで伸び、荷室が広いのが特徴だ。ただ、新型『クラウン エステート』は、1625mmという全高や車体形状からワゴンというよりSUVに近い特徴をもつモデル。駆動は2.5LガソリンエンジンのハイブリッドとPHEVで、いずれも4輪駆動。今回試乗したPHEVは駆動用モーターを搭載。51Ahの大容量リチウムイオン電池を床下に配しており、EVモードでの航続距離も89km(WLTCモード)を実現した。
実際に試乗した日も大半はEV走行で静粛性の高い走りを体感することができた。充電する時は200V家庭用で残量39%から100%の満充電まで約3時間10分と表示された。一般家庭での充電も十分実用的だといえる。4気筒2.5Lのガソリンエンジンは走行中に始動すると若干の振動とエンジン音を発生するが、耳障りという感じはなく、エンジンだけでの走行も高級SUVらしいフィールを楽しめる。エンジンから電池へ走りながら充電できるのもうれしい。
一方、BMW『X3』はプレミアムミドルサイズのSUV。BMWはプレミアムミドルの『3シリーズ』セダンから発展したツーリングというステーションワゴンが存在するため、SUVは『X3』シリーズと名付けられている。『X3』シリーズは24年11月に、フルモデルチェンジ。4世代目となる新型は2Lのガソリンとディーゼル、3Lガソリンのすべてにターボを組み合わせ、48Vのマイルドハイブリッドシステムを搭載する。さらにハンズ・オフや自動駐車に対応。デジタライゼーションを強化し、AI技術を活用したインテリジェント・パーソナル・アシスタントなどを実用化した最新モデルだ。一見、性格が異なるように見える2台だが、車両価格は『クラウン エステート』が810万円、『X3 20d』が868万円とほぼ同じ。どちらを選ぶか、楽しい選択になりそうだ。

光を放つキドニー・グリルが個性を主張
BMW『X3 20d xDrive M Sport』
Specification
■全長×全幅×全高:4755×1920×1660mm
■ホイールベース:2865mm
■車両重量:1930kg
■排気量:1995cc
■エンジン形式:直列4気筒ディーゼルターボ
■最高出力:197PS/4000rpm
■最大トルク:400Nm/1500~2750rpm
■変速機:8速AT
■燃費:16.3km/L(WLTCモード)
■車両本体価格:868万円
※「xDrive M Sport」

全高を強調するため、キドニーグリルやボンネットの高さを意識したデザイン。全高は1660mm、全幅は1920mmだがそれほど大きく見えない。グリルのフチが光るデザインも個性的。

全長は4755mm、ホイールベースは2865mm、サイドウインドウも大きく、車体左側の状況も確認もしやすい。先代モデルより全長はやや長く、全高は低くなったので、クーペ形状のボディーになった。

左右のテールランプは横長だがつながっていない。このモデルからナンバープレートはリアゲート下のバンパー内に収められている。後輪のトレッドは先代モデルより45mm広くなった。