
出産は命懸けだ。そのうえ子育ては、産んでからが本番。昼夜問わず、まだ言葉も話せぬ赤ちゃんのお世話をする日々は、まるでジェットコースターのよう。
そんな偉業を成し遂げ、日々奮闘する“産後6ヶ月未満の母親たち”に贈りたい、とっておきのギフトが2025年7月に登場した。東京・目白にある『ホテル椿山荘東京』内の専用エリアで、極上の産後ケアが受けられるサービスギフト券だ。
価格は、1泊14万3,000円もしくは19万8,000円(税込み、ともにインルームダイニング朝食付き)。『ホテル椿山荘東京』といえば都内屈指のラグジュアリーなホテルであるが、見紛うことなき堂々たるプライスである。
その内容とは一体どのようなものなのか? 『ホテル椿山荘東京』マーケティング部 商品造成課長の武村美紀さんと、マネージャーの橋本あかねさんに、話を聞いた。
日本の「産後ケアサービス」の利用者は約1割
サービスについて詳しく迫る前に。そもそも「産後ケアサービス」とは、どのようなものかご存知だろうか。
主な目的は、産後の母親の心身の回復だ。食事や運動などの母体ケアをはじめ、赤ちゃんの授乳ケアや、育児の知識までを総合的にサポートする。
日本では、病院や助産院などが運営する産後ケア施設のほか、近年ではホテルなどの民間企業が提供するサービスも登場し、日帰り型と宿泊型がある。しかし、利用者数はまだまだ少ないのが実情だ。「こども家庭庁」によると、令和4年度には市町村の84%で実施されるも、分娩件数に占める利用者は10.9%にとどまったという。余談だが、7歳の子どもを育てる筆者も、諸条件が合わず利用の機会を逃したクチ。
そこでこの課題解決にと、『ホテル椿山荘東京』はスパやリラクゼーション施設を運営する『クレドインターナショナル』と協業し、ホテル内に産後ケアエリアを設けたという。
「お母様と赤ちゃんのお世話をする助産師や看護師、保育士などの専門スタッフは、すべて『クレドインターナショナル』のスペシャリスト。お部屋のサービスや清掃、お食事などは『ホテル椿山荘東京』のスタッフやシェフが担当しています」(武村美紀さん)
『AMATERASU(アマテラス)』の特徴とは?
24時間体制で赤ちゃんを預かり、専用ルームでお世話全般を行うほか、多彩な講師によるマンツーマンの母親教室、専門家による母子ケア講座、さらにオプションのフォトサービスや母体のトリートメントなど。『AMATERASU』には、さまざまなサービスやプログラムが用意されている。
中でも『AMATERASU』が、他とは一線を画すポイントとは?
■専用ドアで仕切られた、ラグジュアリーな「客室」
産後ケアが受けられるのは、専用ドアで仕切られたエリアだ。ここに入ることができるのは、ケアを受ける母親と赤ちゃんのほか、サービスを提供するスタッフ、そして父親と限られた親族のみ。
だから母親は周囲に気遣うことなく、エリア内では部屋着のまま過ごせる。
「専用フロアの客室は、全部で5部屋あります。45~60平米の、一般の客室と同じく、ヨーロピアンエレガンスを基調としたしつらえです。
異なるのは、慌ただしさを感じることがないよう、清掃は2日に1回なこと、また、ほかのお客様との接触を極力控えるため、客室でチェックインしていただけます」(橋本あかねさん)
さらに、全室に電子レンジとフリーWi-Fiを完備。父親の宿泊が多い場合は、ツインベッドの部屋も用意できるという。
■産後の体を気遣った「食事」
朝食は、インルームダイニングで食べられる。その中で提供される『ホテル椿山荘東京』オリジナル薬膳スープ「温復優美」は、『AMATERASU』だけのスペシャルメニュー。
「中国の国賓をもてなす場として有名な釣魚台の特級調理師直伝の料理に精通する、『ホテル椿山荘東京』中国料理調理長・川嶋正行が、産後のお母様の体を想い、特別につくったスープです。
疲労回復にすすめられることが多い、鶏、豚、乾燥山芋、コラーゲンを含んだ鶏脚を使用しています。また、薬膳スープではありますがおいしさも追求し、調味料は使わず、干し貝柱や枸杞、棗、龍眼で、塩味や甘味の微妙なバランスを整えました。
春にはゆり根、金針菜など、季節ごとの食材を加えることで、旬のパワーも取り込んでいただけます」(橋本あかねさん)
またこのほかに、希望すれば60品のインルームダイニングメニュー(7:00~23:00)を利用し、部屋で3食食べることもできる(別途有料)。
■美しく、広々とした「庭園」
『ホテル椿山荘東京』といえば、国内最大級の庭園を有することでも知られる。
「宿泊中の気分転換にと、お散歩されるお客様も多いです。まだ首の座っていない赤ちゃんも使える『ストッケ』のベビーカーもご用意しておりますので、ご家族で散策していただくこともできますよ」(橋本あかねさん)
美しい庭園を散策すれば、ホテル内にいながらにしてリフレッシュ。これは『ホテル椿山荘東京』に宿泊するからこその醍醐味といえよう。
■ホテル内の「レストラン」や「カフェ」
別途料金はかかるが、ホテル内のレストランを予約したり、カフェを利用したりすることも可能だ。
「赤ちゃんを24時間体制でお預かりしておりますので、お母様とお父様の2人きりで、特別なひとときをおたのしみいただくこともできます」(橋本あかねさん)
赤ちゃんが産まれるとしばらくは、夫婦水いらずで食事やお茶をゆっくり楽しむことは難しい。だが、『AMATERASU』なら、心置きなくホテル内のレストランやカフェで過ごすことができる。
母親の心身を癒すだけでなく、夫婦の大切な時間をワンランク上の美食とともに過ごせるのも、『AMATERASU』だからこそ。
記憶に残る産後ケアサービスを贈ってみては?
『AMATERASU』は、インルームダイニング朝食付きプランなら1泊2日から利用可能。長期間利用する場合は、3食+夜食付きで、インルームダイニングで食事もできるという。
「出産祝いというと、ベビー服やおむつケーキなど、赤ちゃんへのギフトを選ばれる方も多いと思います。しかし、一仕事を終えたお母様を労うギフトがもっと増えればと、私どもは考えています。それが近しい方からのギフトなら、なお一層嬉しいはず。当ホテルがご用意する上質な産後ケアサービスは、大切な方へのとっておきのギフトになり得るのではと思っております」(武村美紀さん)
出産の痛みは、いつか忘れてしまうと多くの母親は口を揃えて言う。しかし、国内でも指折りのラグジュアリーな空間で、赤ちゃんやパートナーとゆっくり過ごす時間は、きっと一生忘れられないはず。
大切な出産祝いを何にしよう? 迷っている方は、記憶に残る産後ケアサービスを贈ってみてはいかがだろう。
文/ニイミユカ