
日本では年々、生涯未婚率が上昇傾向にあると言われている。こうした中、20~40代の未婚男女で結婚への意欲がある人はどれくらいいるのだろうか?
マシェバラトークが運営するオウンドメディア「マシェラボ」はこのほど、日本全国の20歳~49歳の未婚男女368名を対象に「恋愛における結婚意識」に関する調査を実施し、その結果を発表した。
20代未婚者の71.6%が結婚意欲あり、一方で40代は消極派が半数近くに
はじめに、20~40代の未婚男女に将来結婚したいと思うかと質問したところ、若い世代ほど結婚に前向きで、年齢層が上がるにつれて慎重になるという、明確な傾向が見られた。
具体的に見ていくと、20代では「必ず結婚したい」(23.3%)と「良い相手がいれば結婚したい」(48.3%)を合わせた結婚に前向きな回答が71.6%に達し、7割以上が将来の結婚を視野に入れていることがわかる。30代では同様の回答が59.4%となり、依然として過半数が前向きな姿勢を示している。
一方で40代になると、結婚に前向きな層は37.0%まで減少し、「あまり結婚したいとは思わない」(16.0%)と「結婚はしたくない」(31.0%)を合わせた消極的な回答が47.0%と、半数近くを占める結果となった。
結婚に前向きな人が結婚していくことを踏まえると、上の世代になるほど未婚者の中に慎重な人が増えていくのは、ある意味で自然な結果といえる。それでも20代では7割以上が明確に結婚を望んでいることからは、現代の多くの若者が将来家庭を築きたいという希望を持っている姿が見えてくる。
恋愛に「安心感」を求めるのが現代風、「将来の結婚」を重視する割合は20代が高い
20代の高い結婚意欲が見えてきたが、では、彼らが恋愛や交際そのものに求めるものは何なのだろうか。そこで、恋愛で最も大切にしたいことを質問したところ、世代を問わず「安心感」を最も重視する傾向が明らかになった。
全ての世代で「安心感や居心地の良さを感じること」が1位となっており、20代では32.0%、30代では44.8%、40代では41.0%となっている。次いで「価値観や生活スタイルが合うこと」も各世代で2位となっており(20代:24.4%、30代:20.8%、40代:30.0%)、内面的な相性や安定した関係性が重視されていることがうかがえる。
一方で、「将来の結婚を見据えられること」に注目すると、20代が12.2%で最も高く、30代(10.4%)、40代(7.0%)となっている。年齢と共に割合が減少する傾向が見られ、結婚志向は若い世代のほうがやや強いといえそうだ。
恋愛のスリルや刺激よりも、心穏やかに過ごせる関係性を求めるのが、世代を超えた現代の恋愛観といえるだろう。特に20代は、高い結婚意欲を背景に、「将来の結婚」を意識しつつも、まずはパートナーとの間に「安心感」や「価値観の一致」という土台を築きたいと考える、堅実な姿が浮かび上がっている。
20代の74.0%が「結婚につながらない交際は無駄」、他世代を大きく上回る
恋愛で重視するポイントが見えてきたところで、次は交際の価値観について分析した。結婚を前向きに考える人を対象に、結婚につながらない交際は時間やお金がもったいないと思うか質問したところ、特に20代において、恋愛の効率性(いわゆるタイパ、コスパ)を強く意識する傾向が明らかになった。
データを見ると、「とてもそう思う」(30.9%)と「少しそう思う」(43.1%)を合わせて、20代の74.0%が「結婚につながらない交際はもったいない」と考えていることがわかる。この数値は、30代(50.8%)、40代(54.0%)を20ポイント以上も上回っており、世代間の意識の違いが鮮明に表れている。
恋愛のプロセスそのものを楽しむという価値観もあるが、今回の調査では、特に20代において、それとは対照的な一面が見えてきた。失敗や遠回りを避けるために、自身の時間やお金といった限りあるリソースを、より確かな未来のために効率的に使いたい。そんな現代の若者たちの、現実的で合理的な姿が浮き彫りになった。
恋愛のタイパ&コスパ意識、男性は年齢と共に減少、女性は40代で再上昇するV字型
20代で突出して高かった「結婚につながらない交際は無駄」という恋愛の効率性意識だが、これを男女別に詳しく見ると、年齢を重ねるごとの意識の変化に異なるパターンが見られた。
データを詳しく見ていくと、まず20代の時点では、「もったいない」と考える女性は78.3%にのぼり、男性(69.8%)を上回っている。その後、男性はこの意識が30代(51.3%)、40代(39.1%)と年齢を重ねるごとに右肩下がりに減少している。
それに対し、女性は30代で一度50.0%まで落ち着くものの、40代で再び78.6%まで上昇し、20代と同水準に戻るという、V字のカーブを描いている。特に40代女性は「とてもそう思う」が50.0%と、全体の中で最も高い数値を示している点も特徴的だ。
この男女間の傾向の違いからは、男性が年齢と共に結婚を前提としない交際にも価値を見出すようになる一方、女性はライフステージによって意識が変化する様子がうかがえる。40代で再びタイパ意識が高まる背景には、自身のキャリアやライフプランを踏まえた上で、将来の結婚についてより真剣に、そして合理的に考えるようになる、という意識の変化があるのかもしれない。
男性は若い世代の方が早めの結婚を希望、女性は逆の傾向
恋愛の効率性に対する考え方が男女で異なることを見てきたが、その意識は、交際から結婚までにかけたい時間にも影響を与えているようだ。結婚を前向きに考える人を対象に理想の交際期間を質問したところ、「2年以内」の結婚を望む割合が、男女で逆の傾向を辿ることがわかった。
男性については、20代で58.7%が「2年以内」の結婚を望み(「半年以内(7.9%)/半年~1年未満(20.6%)/1年~2年未満(30.2%)」の合計)、これが全体の中で最も高い割合となっている。この割合は年齢と共に減少し、40代では39.0%まで低下する。それに対し女性は、20代で40.0%と男性を下回るものの、30代(50.0%)、40代(57.2%)と年齢が上がるにつれて増加するという、男性とは逆の傾向が見られた。
20代に注目すると、前項で見たように効率性を重視する傾向は男女ともに高い一方で、男性の方が「早く結婚したい」という意識が強く表れている。これは従来よく言われていた「男性は仕事優先、結婚は後回し」というイメージとは対照的で、現代の若い男性が安定した関係を人生の早い段階で築きたいと考える、新しい価値観の表れかもしれない。
また、年齢を重ねるにつれ、男性は効率性への意識も結婚への急ぎも共に緩やかになっていく一方、女性は逆に効率性も結婚への期待もより強まっていきる。この「若い時は男性が急ぎ、年齢を重ねると女性が急ぐ」という逆転現象が、現代の男女関係における複雑さを生み出す要因となっているといえそうだ。
まとめ:これからの恋愛で大切な「お互いのタイミングを理解すること」
今回の調査から、恋愛や結婚に対する考え方は、世代や性別によって想像以上に違うことがわかった。特に興味深いのは、結婚までの理想の期間について、年齢を重ねると男女の意識が逆転していくという発見だ。男性は年齢とともに結婚を急がなくなる一方で、女性はライフステージによって複雑に気持ちが変化していく様子が見えてきた。
こうした考え方の違いに、どちらが正しい、間違いというものはない。人それぞれ、状況や経験が違うので、気持ちが変わっていくのは自然なことだ。だからこそ、「相手はこう思っているはず」と決めつけずに、今の相手の気持ちをしっかりと聞いて、理解しようとすることが大切だ。
「普通はこうだから」といった周りの意見や、表面的な条件にとらわれず、ふたりで今の気持ちを素直に話し合ってみる。それが、本当に相性の良い相手を見つけ、良い関係を築いていくための、一番の近道なのかもしれない。
<調査概要>
調査機関 :株式会社マシェバラトークによる調査
調査方法 :インターネット調査(株式会社ジャストシステム「Fastask」)
対象エリア:日本全国
対象者 :20歳~49歳の未婚男女
調査期間 :2025年7月22日~29日
有効回答 :368名※
※性別・年齢層の人口分布を考慮したサンプリング
構成/こじへい