
8月の連休明け12日から、高値報道が続いた日経平均株価とTOPIX。いずれも日本の株式市場の動向を表す株価指数ではあるが、両者には大きな違いがある。
まず日経平均株価は、日本経済新聞社が東京証券取引所プライム市場上場銘柄から選定した225銘柄で構成される平均株価になる。
これに対して、TOPIXは東京証券取引所プライム市場上場1690銘柄が対象(2025年4月30日時点)。基準日となる1968年1月4日の時価総額を100として、現在の時価総額を指数化したものだ。
そんな日経平均株価とTOPIXの現状と今後を展望するリポートが三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト・市川雅浩氏から届いたので、概要をお伝えする。
日経平均は昨日、1年1か月ぶりに過去最高値を更新してTOPIXも3営業日連続で最高値更新
2025年8月12日の日経平均株価は4万2718円17銭と前営業日比897円69銭(2.1%)上昇して、1年1か月ぶりに過去最高値を更新して取引を終えた。東証株価指数(TOPIX)も同日、前営業日比42.16ポイント(1.4%)上昇し、3営業日連続で過去最高値を更新して取引を終了。
今回のレポートでは、日経平均とTOPIXがそろって過去最高値を更新した背景と主な注意点、そして今後の展望について考えてみたい。
まず、株高の背景については、日米両政府が相互関税率・自動車関税率とも15%であることが先週確認され、また11日にはトランプ米大統領が対中関税の一部を再び90日間延長する大統領令に署名するなど、米関税政策をめぐる不透明感が後退したことがあると思われる。
このほか、米国株が堅調に推移していることや、直近の国内企業の決算発表がおおむね想定内となり、市場が過度に悲観に傾くことがなかったことも、株高要因と考えられる。
■相場の過熱感は高まっており、日経平均、TOPIXとも、いったん調整売りに押されても違和感なし
日経平均、TOPIXともに先週以降、上昇ペースが速まっているが、市場では、株価の上昇に乗り遅れまいとする投資家の買いが買いを呼ぶ「FOMO(Fear Of Missing Out=取り残される恐怖感)」の様相が強まっているとの声も聞かれる。
このような点も踏まえ、次に、注意すべき点をチェックしていきたい。
昨日のレポートでも指摘したとおり、相場の過熱感は高まっている。実際、昨日時点の「RSI(相対力指数)」は、日経平均で72.2%水準、TOPIXで75.9%水準にあり、買われ過ぎとされる70%水準をともに超えている。
RSIよりも動きが速いとされる「ウィリアムズ%R」は、それぞれ-8.9%水準、-7.3%水準と、こちらもそろって買われ過ぎとされる20%水準を超えており、日経平均、TOPIXとも、いったん調整売りに押されてもそれほど違和感はない。
■EPS主導の株高が待たれるが、短期的な調整売りなら、両指数の長期上昇トレンドは不変とみる
また、これも昨日のレポートで一部触れているが、日経平均とTOPIXは、いずれも直近で「EPS(Earnings Per Share=1株あたり利益)」の水準が切り下がる一方、「PER(Price Earnings Ratio=株価収益率)」の水準は切り上がっており、足元の株高は期待を反映したPER主導によるものと判断できる。
より持続的で堅固な株価の上昇には、好業績に裏付けられたEPSの上昇が待たれる。
日経平均、TOPIXとも、ここ10年以上、長期上昇トレンドが続いているため(図表1、図表2)、前述のように、相場の過熱感から、いったん調整売りに押された場合でも、このトレンドが崩れる恐れは小さいと想定できる。


なお、両指数とも上値抵抗線をすでに上抜けているため、より右肩上がりの上昇トレンドが形成されつつあるとも考えられるが、長期チャートのため、その判断にはもう少し時間が必要と思われる。
構成/清水眞希