
銘柄米の価格高騰に政府備蓄米の放出、猛暑の影響で予想される秋の新米の不作…。このところ日本人の主食である米の話題が尽きない。
そんな中、1956年に初の電気自動炊飯器を発売して以来、かまどで炊いたごはんのおいしさを追求してきたパナソニックから9月上旬に「可変圧力IHジャー炊飯器 X9Dシリーズ」が発売される。
「ビストロ匠技AI」と「おどり炊き」の進化で新米も古米もおいしく
「米を取り巻く環境は厳しいものになってきています。今の米問題は、私たちの暮らしに直接関わる課題となっています」と語るのは、炊飯器商品マーケティング課の石毛伸吾課長。
米の供給や流通が不安定な状態が続くと、収穫から時間が経ったものや保存状態が悪いものなども店頭に並ぶ可能性が出てくる。
また、輸入米なども流通しているのも事実。そういった米を使ってもおいしいごはんを炊くには、米に合わせた水分量や火力を変える必要がある。
そこで「可変圧力IHジャー炊飯器 X9Dシリーズ」では従来のセンサーに加えて、新たに「リアルタイム赤外線センサー」を搭載することで、「ビストロ匠技AI」がお米の含水量を感知して最適な火加減と圧力加減を自動調整。
これによって、従来よりもさらに「Wおどり炊き」火力と圧力の制御が可能になり、お米の甘みを際立たせ、ふっくらしたごはんを炊きあげられるようになっている。
「Wおどり炊きは、加圧されたかまの中を一気に減圧して、爆発的な沸騰を起こします。それによって米をおどらせて、一粒一粒をムラなく加熱します。加えてIHの高速切り替えで、激しい泡の対流を発生させて、さらに米をおどらせる技術の組み合わせです」と、調理器具BU国内マーケティング企画センター商品企画課の林田章吾課長。
従来の底部のセンサーに加え、外がまのサイド部分に新たに「リアルタイム赤外線センサー」が追加された。これによってビストロ炊飯ふつうコース3合であれば、約9600通りの中から最適な火加減と圧力加減を自動調整して炊飯する「ビストロ匠技AI」の精度が向上した。
「私たちPanasonic Cooking@Labは、調理科学を学んだメンバーで構成されています。新製品にも搭載されている、自動メニュー調理する際の加熱制御やレシピのソフト技術を開発しています」とキッチン空間事業部・調理ビジネスユニットの萩 成美主任技師。
進化した「ビストロ匠技AI」と「おどり炊き」の実力を確かめる
政府が放出した備蓄米には、古米から古古米、古古古米まである。こういった米は生産年が古くなればなるほど、「古米臭」と呼ばれる独特な臭いが出てくる。
原因は主に糖の部分に含まれる脂肪が酸化することで発生し、炊飯時に嫌な臭いとして感じられる。特に高温・多湿で保管されると酸化が進行しやすく、臭いがが強くなる。
また、生産から経年数が長くなると米の水分が失われ、炊きあがりのツヤや口当たりが悪くなってしまう。そんなお米でも「可変圧力IHジャー炊飯器 X9Dシリーズ」であれば、ある程度おいしく炊くことができるのだという。
その実力を実感できるのか?実際に「可変圧力IHジャー炊飯器 X9Dシリーズ」で炊いたごはんを試食した。
まずは「2022年産 政府備蓄米(ブレンド米)」。通常通り「ビストロ匠技AI」を使って炊いたものと、あえて機能を切って炊飯したごはんが提供された。
通常、精米から時間が経った古米は水分含有量が低下している。しかし、新搭載の「リアアルタイム赤外線センサー」と「ビストロ匠技AI」で含水率を検知。自動で「Wおどり炊き」の火加減と圧力加減を制御して、甘みを引き出したふっくらしたごはんを炊きあげられる。
「食味評価は、いきなり口に入れて食べるのではなく、ポイントがいくつかあります」と萩 成美主任技師。
【食味評価のポイント】
1.香りを確かめる
甘い、青臭い、糠臭いスッキリしたなど
2.外観を見る
白さ、つや、粒のふくれや崩れ、ベタつきなど
3.口に含む
触感(ベタつき)、味(甘み)、粒のほぐれなど
4.噛む
硬さや粘り、味(甘みや旨み)、舌触りなど
5.余韻を感じる
キレ、後味、のどから口に抜ける風味など
萩技師が教えてくれた観点で実際に試食してみると、古米であるにも関わらず、「ビストロ匠技AIあり」のごはんは甘みを感じ、舌触りがよく普通に食べることができる。
一方、「ビストロ匠技AIなし」は、おいしくないわけではないのだが、やはり甘みや食感が劣るのが感じられた。
パナソニックから提供された資料の『「ビストロ匠技AI」を使用した場合、使用しない場合に比べて約9%(*1)甘みを引き出し、ふっくら炊き上げることが可能』という表記が実感できた。
もちろん新米、ブランド米のポテンシャルも十二分に引き出す
最後に提供されたのが「2024年産(新米)の会津産コシヒカリ」を炊きあげたごはん。
炊飯器のふたを開いた途端、立ち昇る湯気から炊きたての良い香りが広がる。茶碗に盛りつけてもらうと見ただけで色やツヤ共にきれいで、ふっくらしていておいしそうなのがわかる。香りも高く食欲をそそる。
噛み締めると従来品よりも約8%(*2)引き出すことが可能になったという甘みが、本当に口の中に広がる。そして、炊きたてのごはんの香りが鼻に抜けていく。
コシヒカリのポテンシャルを余すところなく引き出しているのだろう。まさに「ビストロ匠技AI」と「Wおどり炊き」の実力を実感する結果になった。
さすがに新米を食べたあとには、古米には戻れなくなったが、「ビストロ匠技AI」と「Wおどり炊き」を搭載した「可変圧力IHジャー炊飯器 X9Dシリーズ」は、古米でさえ、おいしさを引き出す性能を持っていること。今後もしばらく続く米の収穫量低下による流通量不足によって、さまざまな種類のお米を炊かなければならないことが予測される。そうなると水分量や炊き方を自動で判定して、それぞれの米のおいしさを最大限引き出してくれる炊飯器は、暮らしを豊かにしてくれるはずだ。
(*1) 023年産コシヒカリ使用。甘み:ごはん1g無水物換算でHPLCによるブドウ糖量の測定。ビストロ匠技AIあり:0.81mg/g、ビストロ匠技AIなし:0.74mg/g(日本食品分析センター調べ)
(*2)2024年発売可変圧力IHジャー炊飯器VBBシリーズとの比較。2024年産コシヒカリ使用。甘み:ごはん1g無水物換算でHPLCによるブドウ糖量の測定。SR-V10BB:0.76mg/g、SR-X910D:0.82mg/g(日本食品分析センター調べ)
文/松尾直俊
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