
主要22サイトを横断比較できる「ふるさと納税ガイド」は2025年7月31日に総務省から発表されたデータを元に、24年度の寄付受入金額が10億円以上の自治体の中から「23年度と比較して24年度に大きく受入金額を伸ばした自治体BEST10」を発表した。
物価高の影響でトイレットペーパーやティッシュペーパーなどの日用品がふるさと納税の返礼品として大きな存在感を示す
■24年度にふるさと納税で寄附金額を伸ばした自治体BEST10
・第1位:兵庫県 宝塚市【89.50倍】
2023年度 2億8676万円→2024年度 256億6771万円
特定の個人からの多額の寄付があり大きく寄付金額を伸ばしたという特殊事情により脅威の89倍となった。
・第2位:東京都 千代田区【10.66倍】
2023年度 9945万円→2024年度 10億6076万円
2024年10月からふるさと納税サイトを利用した返礼品の提供を開始し、初年度から大きな実績を残した。ボディケアガンやマッサージャーなどのボディメンテナンス家電なども人気だが、「区内の対象宿泊施設で使えるクーポン券」「区内の対象店舗で使えるPayPay商品券」などの金券類が、千代田区内で働く人達の心を掴み、大きな寄付額の増加となった。
・第3位:東京都 品川区【10.24倍】
2023年度 2億6140万円→2024年度 26億7800万円
品川区は、宝塚市と同様に特定の個人からの大きな寄付があったという特殊な事情もあり第3位にランクイン。しながわ水族館や東京湾クルーズ(8/20をもって寄附受付を終了)など地元観光資源もしっかりと活かしている。
・第4位:秋田県 秋田市【6.17倍】
2023年度 3億4647万円→2024年度 21億3868万円
第9位の埼玉県草加市と同じくティッシュペーパーやトイレットペーパーなどを提供しているScottieの返礼品が非常に人気。
・第5位:北海道 沼田町【4.82倍】
2023年度 3億9014万円→2024年度 18億8142万円
令和の米騒動によりふるさと納税の米の需要が多くなる中、「ななつぼし」や「ゆめぴりか」などの人気ブランドの生産量が多く寄付金額を大きく伸ばしが。
・第6位:千葉県 銚子市【3.76倍】
2023年度 7億368万円→2024年度 26億4999万円
鮭やサバの切り身などを中心に、日常使いの魚介類の返礼品が非常に人気。
・第7位:東京都 世田谷区【3.22倍】
2023年度 3億1651万円→2024年度 10億2128万円
地域通貨「せたがやPay」や玉川高島屋のレストランチケットなど、世田谷区近隣の都内在住者からの寄付も多く集めている。
・第8位:滋賀県 竜王町【3.13倍】
2023年度 4億8021万円→2024年度 15億608万円
地元名産の近江牛を中心として返礼品に力を入れた結果、受け入れ寄付金額を大きく伸ばした。
・第9位:埼玉県 草加市【2.93倍】
2023年度 5億8221万円→2024年度 17億757万円
ティッシュペーパーやトイレットペーパーなどを提供しているScottieの返礼品が非常に人気で、第10位の岐阜県可児市と同じく日用品需要の増加に伴い寄付金額が大きく増えた。
・第10位:岐阜県 可児市【2.64倍】
2023年度 13億2751万円→2024年度 35億537万円
ティッシュペーパーやトイレットペーパーなどを提供しているエリエールの返礼品が非常に人気。
■24年度に人気急上昇した自治体 3つの傾向
・東京の逆襲!首都圏住民をターゲットにした自治体
これまでふるさと納税に対して消極的だった東京都の自治体が本格的に力を入れ始めた結果、急成長自治体に3つもランクインした。
成功の鍵となったのは「首都圏の近隣住民からの寄付」。周辺人口や労働人口の多い都市部の強みを活かし、地域通貨や食事券など「現地に訪れて使う返礼品」が大きな需要を生んだ。
・急増する日用品需要を掴んだ自治体
物価高の影響でふるさと納税の返礼品として大きな存在感を示しているのがトイレットペーパーやティッシュペーパーなどの日用品。全国に工場を持つため地場産品として提供できる自治体も多く、急成長に大きく貢献した。
・人気自治体の近隣自治体の模倣戦略が功を奏した2自治体
千葉県の自治体は、千葉県勝浦市が「鮭の切り身」の返礼品で大成功したことを受けて、続々とその模倣戦略で成功する自治体が増えている。昨年の急成長自治体ランキング第5位の千葉県いすみ市も同様に鮭の切り身が人気で、千葉県銚子市も同様の戦略をとっている。
また、北海道の旭川周辺に位置する「沼田町」は近隣の人気自治体である「東川町」「三笠市」と同様にブランド米の「ななつぼし」「ゆめぴりか」で大きく寄付金額を伸ばした。
構成/立原尚子