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これぞ、クラウン!シリーズ16代の中で最も〝らしい〟といわれる「セダンZ」の上質な走りと乗り心地

2025.08.17

2022年に4車種を一気にワールドプレミアさせた16代目クラウン。発売は基準車となるクロスオーバーから始まり、スポーツ、セダン、そしてエステートの順で完結している。

新時代のニューフォーマル、Zグレード世代はなぜ異質なのか?

ここでは、4車種の中で、異質とも言える、かつてのクラウン・マジェスタに相当するセダンのZグレード、つまりハイブリッドモデルに試乗した。セダンが異質・・・と表現したのは、クロスオーバー、スポーツ、エステートのどれもがトヨタではSUVに分類される、E-Four(電気式4輪駆動方式)を採用した4WDの駆動方式を採用しているのに対して、燃料電池車のMIRAIをベースにしたセダンは唯一、クラウンの伝統でもあるFR(後輪駆動)であることと、ショーファーカーとしての用途もある”新時代のニューフォーマルセダン”を目指しているからだ。

そしてボディサイズも特徴的だ。初作であるクロスオーバーの全長4930×全幅1840×全高1540mm、ホイールベース2850mmに対して、プラットフォームが異なるセダンは全長5030×全幅1890×全高1475mm、ホイールベース3000mmと、欧州プレミアムセダンを思わせる伸びやかな全長、低全高のプロポーションで構成されているのである。

振り返れば、14代目クラウン(2012年-2018年)のボディサイズは全長4895×全幅1800×全高1450mm。ホイールベース2850mm。15代目クラウンも全長4910×全幅1800×全高1455mm。ホイールベース2920mmだったのだから、15代目比で全長+120mmはともかく、15代目までのクラウンが日本の道を考慮して1800mm以下に守り続けてきた全幅は一気に90mmも幅広くなったことになる。15代目比で+20mm高くなった全長にして、ぐっと低く構えて見えるのは、全長と全幅の拡大によるもので、それが地を這うような、欧州プレミアムサルーンを思わせるスタイリッシュな佇まいを実現しているわけだ。

室内寸法もクロスオーバーの室内長1980×室内幅1540×室内高1170mmに対して、室内長1970×室内幅1585×室内高1135mmと幅方向が広く、しかし室内高が低い。SUVと比べ、全高、室内高が低めなのは当然だが、極めてロー&ワイドなプロポーション、パッケージとなっているのだ。結果、後席の乗降時には、身長171cmの筆者でも、頭をかがめる乗降姿勢になりがちだった。ショーファーカーとして高全高、低ステップ、開口部の大きいスライドドア完備のアルファードが絶大なる人気を博しているのも、なるほど・・・と思わせる。

ハイブリッドモデルのパワーユニットはクラウンシリーズのハイブリッドモデルでお馴染みのA25A-FXS型エンジン、2.5L直4、185ps、22.0kg-m+モーター180ps、30.6kg-mという構成ながらマルチステージハイブリッドシステムを10速ATとともに採用。WLTCモード燃費は18.0km/L(クロスオーバーは22.2km/L)となっている。燃料タンクは82Lもあり、1回の給油で実質1200km程度の航続距離を実現してくれそうだ。

16代目クラウンの中でもっともクラウンらしい1台

インパネ周り、シフター、センターコンソール部分は例えばエステートと変わるところはないが、大きく違うのは後席。フロア中央に高さ約280mmもの凸がドーンとあり、定員5名ではありながら、後席2名乗車が基本となる、ショーファーカーに相応しいパッケージとなっている。もっとも、身長171cmの筆者のドライビングポジション基準で後席のスペースは頭上に125mm(パノラマルーフ装着車)、膝周りに260mmと、足元はゆったりしているものの、頭上方向は正直言って狭い印象を受ける。後席頭上方向のゆとりを求めるなら、オプションのパノラマルーフの注文は一考を要する・・・。

なお、AC100V/1500Wコンセントはセンターコンソール後端部分とトランクルームの2か所に用意されている。

そんな16代目クラウンで唯一、FRレイアウトを採用し、オプションの245/45R20サイズのタイヤ(標準は235/55R19)を履くクラウンセダンを走らせれば(ドライブモードはノーマル)、出足はもちろんモーター走行。濃厚なトルク感とスムーズさが気持ちいい。そして当然かも知れないが、4台中、もっともクラウンらしい、フラットボディコントロールによる適度に引き締まった、ドシリとした乗り心地を示し、ジェントルなダンピングがもたらす乗り味、同じくジェントルな操縦性に16代目クラウンの中でもっともクラウンらしい1台であると感じさせてくれることになった。

車重2020kgという重量級だけに、トヨタのハイブリッドシステムをもってしてもエンジンは早期にかかりがちだが(外気温36度、エアコン23度オート)、ハイブリッドシステムがどのような状態であれ、4気筒エンジンはほかのクラウンシリーズに比べ、ややねっとりとしたタッチを示すものの、車格に合ったスムーズかつ静かな走りに徹してくれることはもちろんだ。その静かさは遮音、防音に徹したボディはもちろん、騒音を音で低減してくれる、エンジンのこもり音をスピーカーからの制御音で打ち消し、静粛性を向上させるアクティブノイズコントロールの効果も大きいはずである。

クラウンセダンには、エコ、ノーマル、スポーツ以外に独自のドライブモードが用意される。それが、「REAR COMFORT」モード。”路面の細やかな凹凸をより一層伝えにくい上質な乗り味”を実現するモードとされ、実際、乗り心地はもっともマイルドになる。山道以外で後席乗員に気遣う場合にうってつけとも言えるモードだろう。

で、混雑した街中、駐車で全長5030×全幅1890mmの巨体をどう感じたかと言えば、すでにクラウン全シリーズに乗っている身からすれば、長いボンネットの先の見切りはともかく、Aピラーとドアミラーの間に隙間があり、斜め前方を含めた視界は良好(各種モニターも完備)。混雑した都内の道も、慣れれば意外なほどスイスイ走れたのである。さらに商業ビルの一般的なスペースの駐車場に止める際も、最小回転半径5.7mだから、それほど苦労することはなかった。

16代目となったクラウンに初めて興味を示す人はクロスオーバーやスポーツ、エステートに目がいくはずだが、15代目以前のクラウンユーザーの中には、やはり基本のクロスオーバーのSUVテイストに抵抗があり、このセダンの登場を待ち望んでいたロイヤルカスタマーも少なくないはず。後席の頭上スペースについては一考を要する(サンルーフ装着車)ものの、これだけスタイリッシュな国産セダンはほかになく、ボディサイズを許せるなら、待った甲斐のある王道のクラウンと言っていい。

トヨタ・クラウン

文・写真/青山尚暉

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