
OpenAIは2025年8月8日(アメリカ太平洋時間)、ChatGPTの最新モデルである「GPT-5」を発表した。「GPT-5」は、2023年に公開した「GPT-4」以来のマルチモーダルモデルの最新版となる。
本稿では同社発表ブログをベースに、その概要をお伝えする。
あらゆる機能を1つのシステムに一元化
GPT‑5 は 2 つのモデルを搭載している。ほとんどの質問に回答する、高性能かつ高速度のハイスループットモデルと、より難しい問題に対応する高度なリーズニングモデル(GPT‑5 思考)だ。
そして会話のタイプや複雑さ、必要なツール、あるいは「慎重に考えて」といったユーザーの明確な意思に基づき、リアルタイムルーターがどのモデルを使用するかをすばやく判断する。
ルーターは、ユーザーによる手動切り替え、優先設定、測定された正確性など、実際のシグナルを基に継続的に学習して、継続的に進化している。
いずれかのモデルで利用上限に達した場合は、推論機能を備えたモデルの mini バージョンが残りのクエリに対応する。近日中に、これらの機能をすべて 1 つのモデルに統合される予定だという。
この点に関して同社では「ユーザーは現時点ですでに一貫性のあるものに感じられるはずです」と説明している
性能と汎用性が向上
■最強のコーディングモデル
GPT‑5 は同社製品の中で最強のコーディングモデルとして、特に複雑なフロントエンド生成と大規模リポジトリのデバッグで、優れた能力を発揮する。美的感覚を備えているため、多くの場合、たったひとつのプロンプトで、洗練されたレスポンシブデザインのウェブサイトやアプリ、ゲームを作成することが可能だ。
また、従来のモデルよりも文間・行間の空きや文字デザイン、余白などに対する理解が向上しているため、ChatGPT‑5 のデザイン選択能力についても、初期テスターから高い評価を得ている。

■クリエイティブな表現と文章作成
GPT‑5 は文章作成ツールとしても、従来モデルより優れており、文章に深みとリズム感を添えてくれる。自分の中にある概念やアイデアを説得力のある、心に響く文章にすることも可能だという。
韻を踏まない詩や、無韻の弱強五歩格のような形式があいまない文章にも、これまでより確実に対応。形式を保ったまま、表現を明確にすることができる。このように強化された文章作成機能は、ChatGPT が対応するレポート作成、メール作成、編集作業などの日常タスクにも反映される。

■自分の健康を正しく理解し、行動できるよう支援
OpenAIでは、健康関連の質問に関してもGPT‑5が最高位モデルとしている。
これまでで最も精度と信頼性の高いモデルであり、利用者の知識レベルや地域に応じて柔軟に対応し、診断への理解促進や意思決定を支援していく。
実際、このモデルは、OpenAI が今年公開した、現実的なシナリオと医師が定義した基準に基づく評価ベンチマーク HealthBenchにおいて、従来モデルに比べて著しく高いスコアを獲得している。
従来モデルよりも積極的な思考パートナーとして機能し、潜在的な懸念事項を前もって知らせたり、より有益な回答を出すために、質問を投げかけたりする。
さらに、コミュニケーションスタイルをユーザーの知識レベルや地域に合わせ、治療水準の差、地域特有の疾患、現地の薬剤名を考慮しながら、より正確で信頼性の高い回答を提供する。

■自然な文体でのやり取り
そしてGPT‑5 は従来モデルよりも同調性が低く、不要な絵文字の使用も少ないが、きめの細かい、思慮に富んだフォローアップを行なうという。同社によれば、「それはAI に話しかけているというよりは、博士号レベルの知識を持つ親切な友人とチャットしているように感じられるレベル」とのことだ。
提供とアクセス
GPT‑5 は2025年8月8日より、全ユーザーの利用が可能になっている。無料版と有料プランの違いは、GPT‑4o と同様に、送信可能なメッセージ数の上限であり、その制限は変更はない。
Pro 登録者は無制限でアクセス可能であり、まもなく GPT‑5 Pro にもアクセスできるようになる。このバージョンは、拡張推論機能を搭載しているため、さらに信頼性と精度が向上した回答を得ることができる。
Plus ユーザーは GPT‑5 をデフォルトモデルとして快適に使用でき、無料ユーザーの5倍の利用が可能だ。無料ユーザーは GPT‑5 の利用上限に達すると、より小型で高速かつ高性能なモデルである GPT‑5 mini に切り替わる。
GPT‑5 は今後、ChatGPT のデフォルトモデルとなり、GPT‑4o、o3、o4-mini、GPT‑4.1、GPT‑4.5 に置き換わる。これからは ChatGPT を開き、質問を入力するだけで、GPT‑5 があとの作業をすべて引き受け、自動的に推論の深さを調整する。
また、有料プランに加入中のユーザーはモデルピッカーから「GPT‑5 Thinking」を選択することで、回答の生成時に確実に推論を有効化することができる。

<「GPT-5」提供形態>
Pro:無制限、GPT-5 Proへのアクセス可能
Plus:無料プランに比べて使用上限が大幅に引き上げ
Team/Enterprise/EDU:GPT-5をデフォルトモデルとして使用可能(EnterpriseとEDUへは来週から提供開始)
Free:GPT-5およびGPT-5 miniへのアクセス可能、初めての無料ユーザーは、推論モデルにアクセス可能
関連情報
https://openai.com/ja-JP/index/introducing-gpt-5/
構成/清水眞希