
今年も、リュック派には辛い猛暑の季節が到来した。
何が辛いかというと背中のムレ。雲ひとつない炎天下でリュックを背負っていると、たちまち背中が汗まみれになる。筆者なぞ、このためだけに替えのシャツを持参しているくらいだ。
この不快さを軽減するという触れ込みのリュックは、メーカー各社から出ており、今回取り上げるのは老舗のエース(株)の新作「ハイプロパック エアV」。
収納力も含め、どのようなリュックなのか、細かく紹介していきたい。
突然の雨をしのぐフラップなど装備
本製品のコンセプトは、「酷暑や豪雨でも快適に背負えるオンオフ兼用リュック」。サイズは、〈小〉と〈大〉があり、それぞれ幅29cm×高さ46×奥行17cm、幅30cm×高さ48×奥行18cmとなっている。大きさはそれほど違わないわけで、価格も38,500円、41,800円と近接している。カラーは、ブラックとカーキの2色展開。

主素材は、表面にポリウレタン加工を施したコーデュラナイロン。耐久性と撥水性に優れた素材であり、本製品も「突然の雨から荷物を守る」と謳っている。また、コーティングファスナーで水の浸入を防ぎ、フロント側にフラップを備える(下写真)ことで、完全防水ではないが雨対策を強化している。

一泊旅行・出張も余裕の大容量
次は、収納面について見ていこう(ここからは〈大〉サイズの話となるが、〈小〉もさほど変わらない)。まずは、フロント側のコンパートメントから。
開閉は、ラウンドするダブルファスナーで開口部は広くとれる。開けてみると、冊子や書類など、薄手のアイテムなら大概収まるスペースとなっている。くわえて、大小のポケットが4つ(うち1つはファスナー付き)あって、小物類はここへ。


背中側のコンパートメントもある。ここはやや狭くマチ幅もさしていないリュックが多いが、本製品はまったく違った。
ラウンドファスナーは端から端まで開けられ、マチ幅は広く、PCスリーブも備えており、1泊の旅行・出張の着替えも楽に入る。容量的には、こちらがメインコンパートメントといえる。

背部の右側には、内装に直接アクセスできる、吸水・速乾生地を使用したスルーポケットがある。ボトルホルダーも兼ねているので、ドリンクボトルやペットボトルを入れるには、まさにおあつらえ向き。

総じて見れば、サイズ感以上に容量があり、日常使いのみならず宿泊を伴う遠出にも耐える、使い勝手に優れたリュックと評価できる。
脱着・洗濯OKな部材がムレを防ぐ
それでは、肝心のムレ対策はどうだろうか。
まず、下部に立体的な背面パッドが2つ付いている。これによって物理的に背中とリュックの接触面を減らし、汗がこもりにくくなる工夫がこらされている。
その上には横にベルト(セットアップベルト)が走るが、これはスーツケースのプルドライブハンドルに固定するのに使う。

この背面パッドの素材に採用されているのが、帝人フロンティアの「ベルオアシスR」。これは高吸水・高吸湿性能に優れた特殊素材で、汗を素早く吸収し、接触面をドライに保つ。ショルダーハーネスにも同じ素材が使われており、通気性を保持しながら、ムレを防いでくれる。
なお、ショルダーハーネスの上部はロードリフターストラップとなっており、長さを調節することでフィット感を高め、荷物の負荷を軽減できる。


背面パッドとショルダーハーネスは、取り外して洗濯できる(乾燥機不可)。使い込んだリュックによくある汗染み・臭いの悩みにサヨナラできるのは、正直嬉しい。
猛暑日の街歩きに耐えるムレ防止効果
さて、本製品のムレ防止効果を確かめるべく、外気温35度の酷暑のさなかに背負ってみた。
対照実験として、ムレ対策をしていない普通のリュックを背負って30分間、クールダウンしてから本製品を背負って30分間歩き回った。

なにしろこの暑さだけに、ものの10分で白シャツは汗で湿り気を帯び始めた。ムレ対策をしていないリュックは、背中とぴったり接触するため、熱がこもる。いきおい、発汗はこの箇所に集中し、シャツの背部全体が濡れてしまった。こうなるのに30分もかからなかった。
いったん帰宅し、エアコンを効かせた室内で着替えてから「ハイプロパック エア V」に取り替え、再度外へ。この気温だと、汗が出ること自体は避けられないが、やはり背中との接触部分が少ないとシャツの湿り具合はぜんぜん違う。
発汗しても炎暑で蒸発するので、シャツが「濡れる」という事態には、なかなかならないのである。また、ロードリフターストラップのおかげで、同じ重量の荷物でも肩への負担は減っており、これも発汗を抑える効果をもたらしている。
身体と接触するストラップもじっとりとまでは濡れず、比較的快適であった。ムレ対策をしていないのと、しているのとでは、こうも違うのかと実感した。
というわけで、「ハイプロパック エア V」は、高温と湿度がダブルパンチで襲ってくる日本の夏には、おすすめの一品だ。リュック派ならぜひともチェックしておこう。
なお、本製品は、直営店、Amazonなどのオンラインストア、全国の主要百貨店・専門店で販売中となっている。
・エースオンラインストア:https://store.ace.jp/shop
撮影・文/鈴木拓也
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