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キャンピングカーはフェーズフリー!?ストライカーが業界で初めてPF認証された理由

2025.08.11

7月30日、日本特種ボディーのキャブコン「エクスペディション ストライカー(以下、ストライカー)」がフェーズフリー協会のフェーズフリー認証(以下、PF認証)を取得した。

フェーズフリー(Phase Free)とは、防災用品をしまい込んで万一に備えるのではなく、日常と非常時を区別せずに普段使っているモノやサービスを非常時にも役立てるという考え方。“備えない防災”とも言われ、消耗品を古い順に使いながら補充していくローリングストックはその代表と言えばイメージしやすいだろう。

アウトドア用品や旅行用品、長期保存できる食品など幅広い製品がフェーズフリー商品と言えるが、PF認証を得るには審査によって常活性・日常性・直感性・触発性・普及性という5原則を備えていることが認められなくてはならない。

▲PF認証商品のひとつ、エース「テオフィールド」。フロントポケットからもアクセスできるスーツケースで、大型タイヤ付きでキャンプに持ち出せるうえ、避難所では場所をとらずに開閉できる
▲イガラシ「ポンプインエアーマット」もPF認証商品。幅50cmは狭く感じるかもしれないが軽バンに2枚並べられる絶妙サイズ。避難所でも邪魔にならない

2024年末、日本RV協会と総務省が「災害時におけるキャンピングカーの提供に関する協定」を締結したように、キャンピングカーはレジャーだけでなく防災でも役立つと期待されている。PF認証を取得したキャンピングカーは多いのかと思いきや、意外にも「ストライカー」が初だという。

▲「ストライカー」(1033万9760円~)。乗車定員7名/就寝人数6名。シェルは業界初のオールアルミ製

多くのビルダーがPF認証を目指すなか、なぜ「ストライカー」が初認証を得たのだろうか。

フェーズフリー協会代表理事・佐藤唯行さんによると、とくに評価されたのは「AT限定免許でも運転できる」「悪路での走破性と快適な居住性」「オフグリッド・シェアリング」の3点。

小回り抜群、AT限定対応でだれでも運転できる

▲ベースはいすゞのキャンピングカー専用シャーシ「トラビオ」。ディーゼルエンジン搭載でAT限定普通免許に対応する

キャブコンのベースにはトヨタの「カムロード」が選ばれることが多いが、「ストライカー」が採用したのはいすゞ「トラビオ」。車両総重量3.5トン未満で、2017年3月以降の普通免許やAT限定普通免許でも運転可能なのだ。

そして全長4955(スペアタイヤ装着時5065)×全幅1800×全高3000mmで、普通車の駐車場(国土交通省の指針は6000×2500mm、一般的な駐車場は5000×2500mmが目安)に収まるサイズで駐車場選びに困らない。

▲発表会ではトークセッションも。左から日本福祉大学・山本克彦教授、防災士でCAMMOC代表・三沢真実さん、佐藤唯行さん

最小回転半径は軽自動車並みの4.4m。

試乗車で子どもと兄弟家族ら6人+犬1匹とキャンプ旅を行った三沢さんは「普段は軽バンで子どもとキャンプ場に行き、車中泊をしています。初めてのキャブコンで不安はありましたがとても運転しやすくて驚きました」。

キャブと居住空間を分離したねじれる車体で悪路走破性アップ!

▲キャブとシェルは、ジャバラで繋がっていることがわかる

三沢さんは自宅から那須高原のキャンプ場に向かったそうで、山道でも安定感があったとも。

日本特種ボディー・鉢谷慎吾社長によると、この安定感はキャブとシェル(居住空間)を分離することで荒れた路面でのタイヤ接地性を高めたため。

「ねじれる車体が走行性能を向上させました。幅と長さも抑えているので、災害時の荒れた路面でも安全に支援物資を届けられます」(鉢谷社長)。

シェルをオールアルミ製とすることで高強度・軽量化を図り、燃費向上も実現している。

▲開口部が大きく行き来しやすい

キャブとシェルを分離していてもジャバラで繋がっているので一度外に出ることなく、でっかい開口部を使って運転席から居住部分へ楽にアクセス可能だ。

▲後部ギャレーから、ダイネットとバンクベッド、運転席まで一望できる

これもPF認証のポイントで「どこからでも行き来でき、家族の様子を確認できます。これがいい。室内空間との関係性がとりやすく、路面との関係性にもすぐれているのですから」(佐藤さん)

▲最後部にエントランスがあり、ステップは電動格納式

エントランスはサイドではなく最後部。

キャブとシェルを行き来できるので、後部エントランスから出入りしづらい状況ではキャブに移動して左右から出入りできる。駐車スペースを選ばずにすむことも災害時に役立ちそうだ。

バッテリー機能は他社の5倍でシェアしやすい

▲充実のバッテリーシステム。一般的なキャンピングカーのサブバッテリー容量は平均3kWhだが、「ストライカー」は最大14kWh

20年以上にわたり災害現場の調査を行っている山本教授は「被災地に必要なのはプライバシーを守れる空間と電気」だと解説。

キャンピングカーは安心して過ごせる空間を生むけれど、長引く避難生活ではバッテリーの持続性に課題があるためだ。

「避難所にいればある程度の情報が届きますが、自宅や車内で避難している人はスマホで情報を得るしかありません。

どこに支援物資が届くのかという情報だけでなく、申請をどうするかといった情報も必要で電気がないとどうしようもないんです。

ストライカーくらいバッテリーが充実していると近所の人たちと電気を分け合えるのがいいですね」(山本教授)。

▲屋根一面にソーラーパネルを搭載
▲外からタンクとポータブル電源にアクセスできる。災害時はここから電気のシェア、扇風機を動かすなんてこともできそう

断熱性の高いシェルであっても近年の酷暑ではエアコン必須。「ストライカー」は走行充電と大容量サブバッテリー搭載でエアコンや冷蔵庫、電子レンジを利用しても問題ない。そして外部充電に頼らなくても、ソーラーパネルとポータブル電源を追加しておけば連泊でも電気を補える。

「ストライカーはオフグリッドで生活できて、プライベート空間も確保できます。電気をシェアできるので地域との関係性も取りやすい。

独立性と関係性を兼ね備えて、コミュニケーションや共助を促してくれる車両です」(佐藤さん)

▲電子レンジと冷蔵庫を備えたギャレー

三沢さんは「ストライカー」でのキャンプの夜、火を使わないお寿司を楽しんだそう。エアコンで室内は快適だし、夏場でも冷蔵庫があれば生鮮食品の保管にも不安がない。

ただ「試乗車なので最初はどのスイッチを押せば電気を使えるかわからなくて大慌て。ふとポータブル電源があることに気づき、ひとまずこちらから電気を取りました。落ち着けばわかることも、初めてのことだと焦ってしまう。やっぱり普段から使い慣れることは大事なんですよ」(三沢さん)とあらためてフェーズフリーの大切さを知ったとも。

豪華装備のキャンピングカーはいくらでもあるし、バッテリー自慢も多い。

「ストライカー」はキャブコンだけど悪路適応力が高く、普通免許があればだれもが運転できる。その上で車内の一体感、オフグリッド・シェアリングなど日常の価値を高める工夫が満載で、誰もがどこででもフェーズフリーな居場所を得られる車両となった。

「今後、ストライカーをベンチマークとして多くのキャンピングカーがフェーズフリーになっていくことを期待しています」(佐藤さん)

【問】日本特種ボディー

文/大森弘恵

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