
都会は仕事の選択肢が多く、生活する上でも便利だ。しかし、生活コストの高さや通勤時のストレス、子育てのしにくさなどを考慮して、地方移住およびUターンをする人も多いことだろう。
マイナビ転職はこのほど、800名の地方移住転職・Uターン転職経験者、検討者を対象に行った「地方移住転職・Uターン転職の年収変化と満足度調査2025年 」の結果を発表した。
地方移住転職・Uターン転職して良かったと感じている人は6割超
地方移住転職・Uターン転職経験者と検討者に、「地方移住転職・Uターン転職をしよう(したい)と思った理由」を聞くと、「住環境がいいから(21.5%)」が最多で、次いで「自分にあった生活がしたいから(20.3%)」、「自然環境が豊かだから(18.5%)」であった。
地方移住転職・Uターン転職経験者のうち、64.3%が地方移住転職・Uターン転職をして「良かった」と回答し、「良くなかった(15.5%)」を大きく上回った。
地方移住転職・Uターン転職の満足度とキャリア変化の関係性を見ると、転職を経てキャリアアップした割合は全体の23.5%であった。【図1、2、3】
【図1】
【図2】
【図3】
地方移住転職・Uターン転職者の平均年収は413.4万円で、転職前の年収から約80万円ダウン
地方移住転職・Uターン転職者の平均年収は413.4万円で、転職前の年収(496.3万円)と比べて平均で約80万円ダウンしている。一方で約4割は年収が上がった人もみられた。
地方移住転職・Uターン転職で大変だったことは「仕事の選択肢が少ない」が最多で、「希望に合う仕事が見つからない」が続いた。
前述のキャリアダウン・年収ダウンの背景には、このように希望に合った仕事を見つけることが難しい状況であることが影響していると考えられ、地方移住転職やUターンそのもののハードルになっている可能性も考えられる。
上記の状況下での転職先探しでは条件を緩和することが想定されるが、そのなかでも応募意欲につながる文言として、引っ越し費用や面接交通費などの補助、前職と同等の給与額の保証などがあがった。
生活様式や人間関係など不確定要素が多く伴う移住で、せめて収入は維持したい、あるいは支出を減らしたいと考えている可能性がある。【図4、5、6、7】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
地方移住転職・Uターンによる生活の変化で良くなったものは「ワーク・ライフバランス」「毎日の幸福感」「通勤ストレス」
地方移住転職・Uターンをして、良くなったことを聞くと、「毎日の幸福感(44.8%)」が最多となった。反対に悪くなったことでは「給与(39.7%)」が最も多かった。
理想の環境を手に入れるために自ら望んで地方移住転職・Uターンをした場合も、家族の介護など必要に迫られてUターンせざるを得なかった場合も、仕事内容・ポジション・給与など、さまざまな点で妥協せざるを得なかった人が一定数いると考えられる。【図8】
【図8】
総評
今回の調査で地方移住転職・Uターン転職をして良かったと感じている人は約6割いることがわかりました。
移住のメリットとしては、幸福感やワーク・ライフバランスの好転が上がりましたが、一方給与面では約3割が年収ダウン、仕事内容やキャリア面では約3割が停滞や閉塞感を感じているという結果になりました。
「移住にあたり大変だったこと」でも希望に合う仕事を見つける困難さがあがり、同じ理由で移住を断念している人も少なくない可能性が推察されます。
転職先を選ぶ際に重視した条件として、給与以外では「休日」・「働きかた」が上位に入り、応募意欲につながるポイントとしては、前職給与の保証や移住費用の援助、選考ステップの柔軟化などがあがりました。
都市部の給与水準に揃えるのは簡単なことではありませんが、休暇取得の促進や時差勤務・在宅勤務等の導入、最終面接以外はWEB面接にするといった工夫だけでも求職者側の負担軽減や応募のきっかけとなるはずです。
今後、人材を獲得したい地方企業では、これらの環境を優先的に整備、情報発信で積極的にアピールしていくことが、求職者とのよりよいマッチングの一助になるのではないでしょうか。
『マイナビ転職』編集長 瀧川さおり氏
<調査概要>
「地方移住転職・Uターン転職の年収変化と満足度調査」
調査期間/2025年4月11日(金)~4月15日(火)
調査方法/WEB調査を実施
調査対象/20~50代の地方移住転職あるいはUターン経験者・検討者
有効回答数/800名(内訳:地方移住転職あるいはUターン経験者600名・検討者200名)
※調査結果は、端数四捨五入の都合により合計が100%にならない場合がある。
出典元:マイナビ転職
構成/こじへい