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2025年上半期のベストセラー本、総合1位は「大ピンチずかん3」

2025.08.10

今年の上半期に最も売れた本はいったい何だろうか?

書籍・雑誌の流通を担う出版販売会社・日本出版販売はこのほど、「2025年 上半期ベストセラー」を発表した。本ベストセラー情報は、約2,500軒の書店のPOS販売データをもとに、全国の書店での販売状況を総合的に勘案して作成したもので、集計期間は2024年11月20日~2025年5月20日となる。

ランキング全体の傾向

2025年上半期ベストセラーは、ウェルビーイング・パフォーマンスの略である「ウェルパ」がキーワードとしてあげられるランキングとなった。近年注目されているウェルビーイングへの志向が、大きく変化する社会環境のなかでますます高まり、身体的・精神的・経済的・社会的に安定・安心を求める傾向が、「自分らしく生きること」や、「心の健康」、「暮らしの豊かさ」などを連想させる作品への関心につながっていることが読み取れる。

さらに昨今の物価高により、買い物に失敗しないよう、価値を明確に証明できる商品を購入するロジカルショッピングという考え方が台頭したことが、長く支持を集めるロングセラー作品が多数ランクインした背景にみてとれる。

ジャンル別の傾向

【総合】大人も子どもも楽しめる『大ピンチずかん3』が総合第1位に!

2025年上半期ベストセラーは『大ピンチずかん3』が総合第1位に輝いた。「大ピンチずかん」シリーズは、日常に起こる「大ピンチ」をユーモアたっぷりに紹介したもので、今回から初登場の「うっかりメーター」は、大ピンチの原因をうっかり度合いで振り返り、次の失敗に気を付けることができるというもの。新機軸の登場で進化を続ける本書は、日常のピンチを通じて、子どもが自分の失敗や感情を受け入れるきっかけを作る作品として、子どもはもちろん、大人からの支持も集めたと考えられる。

第2位には、 『改訂版 本当の自由を手に入れる お金の大学』がランクイン。本書は、経営者・投資家で、SNSでお金にまつわる情報を発信している著者の両@リベ大学長が、一生お金に困らない「5つの力」をわかりやすく解説した超実践型のガイドブックであり、「新NISA」などの金融制度はもちろん、「証券口座やクレジットカード、銀行の選び方」などの新規内容を追加し、旧版をアップデートした改訂版。昨今の物価高とそれに続く円安など、世相に対する不安がさらなる需要を呼び、ランクインにつながったと思われる。

第3位には、第22回本屋大賞受賞作『カフネ』、第15位には、第21回同賞受賞作『成瀬は天下を取りにいく』がランクイン。いずれの作品も、テーマや主人公の状況は異なるものの、「心の健康」や、「自分らしく生きること」を求める読者のニーズに合ったストーリーが支持されていることがうかがえる。

第17位には『世界一簡単!70歳からのスマホの使いこなし術』がランクイン。シニア世代にありがちなスマホのつまずきポイントをカバーし、自分で解決できるようにサポートする本書では、カメラ機能を使ったもの忘れ対策、マイクを使った脳活&滑舌チェックなど、シニア世代ならではの使い方も紹介。スマホを使いこなすことで生活の質を高め、暮らしを豊かにしてくれる本書に需要が生まれたのではないだろうか。

【単行本フィクション】全国の書店員が選んだ いちばん!売りたい本 『カフネ』が堂々第1位に。モキュメンタリーホラー人気も継続か

総合第3位にもランクインした、第22回本屋大賞受賞作である『カフネ』がフィクションジャンル第1位を獲得した。作中では、弟を失った主人公・薫子が、弟の元恋人である料理人のせつなに出会い、生きる希望を取り戻していく様子が描かれている。登場人物同士が関係を築いていく様や、「食」が「心の健康」に通じていることを丁寧に描いた本書は、生きづらさを感じている人にも優しく寄り添う物語として支持を集めた。

第2位にランクインした『謎の香りはパン屋から』は、パン屋を舞台に“日常の謎”を解く連作ミステリーで、第23回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。主人公が軽快に日常の謎を解き、ほっと心があたたまるストーリーと、ページから焼きたてのパンの香りが漂ってくるかのような魅力的な描写で人気を伸ばした。

第6位と第7位には、背筋の『近畿地方のある場所について』、『口に関するアンケート』がそれぞれランクイン。雨穴の「変な家」シリーズで話題になった、ホラーの要素を取り入れたモキュメンタリーの手法による没入感の高いフィクション作品も、引き続き人気であることがうかがえる結果となった。

【単行本ノンフィクション】今をときめく人気芸人の著書がランクイン!

ノンフィクションジャンルの第3位には『漫才過剰考察』がランクイン。M-1グランプリ2024王者・令和ロマンの髙比良くるまが歴代のM-1グランプリや全国で全世代にウケる漫才など、お笑いを“過剰に”考察した本書は、テレビで多数紹介されたことに加え、著者がM-1グランプリ史上初の二連覇を果たしたことなどから、人気に火をつけることとなった。

また、第4位には同じく芸人である霜降り明星・せいやの『人生を変えたコント』がランクイン。自身の実体験を基に、笑いによっていじめを跳ね返してきた生き様を描いた半自伝的小説。芸人による著書のランクインは近年にない動きで、好きな芸人を応援したいという「推し活」目的の購入も、その理由のひとつだと考えられる。 

さらに、第5位にランクインした『私が見た未来 完全版』は、1999年に刊行され、すでに絶版となった『私が見た未来』を基に、完全版として2021年に刊行されたもの。東日本大震災を予言していたとして話題となったが、2025年7月に大災難が起こるとも予言しており、再び話題を集めている。

【単行本ビジネス】『改訂版 本当の自由を手に入れる お金の大学』をはじめ、ロングセラーが数多くランクイン!

総合第2位の『改訂版 本当の自由を手に入れる お金の大学』が、ビジネスジャンル第1位に輝いた。第2位には発売から2年が経過している『頭のいい人が話す前に考えていること』がランクイン。第4位の『嫌われる勇気』や、第10位の『人は話し方が9割』なども同様に、発売から数年経っているロングセラーが上位にランクインし続けている。ビジネス書では、多くの人に読まれているという「価値を証明できる」ロジカルショッピングの考え方に重なる作品がランクインする傾向が特に強く表れている。

第3位の『人生は「気分」が10割』は、「気分がコントロールできれば人生もコントロールできる」ことをうたっており、第6位の『世界の一流は「休日」に何をしているのか』は、世界の一流ビジネスパーソンに共通する、休日に対する考え方を紹介している。いずれも、「ウェルパ」を重視する世相を反映するランキングとなった。

【新書ノンフィクション】ぶつかっても大丈夫。「壁」シリーズ新作のテーマは“人生”

「壁」シリーズ新作の『人生の壁』が、新書ノンフィクションジャンルの第1位となった。養老孟司が自身の半生を振り返りつつ、悩み多き現代人に向けて、「生きていくうえで壁にぶつからない人はいない。それをどう乗り越えるか。どう上手にかわすか」を提案し、幅広い読者の支持を得た。

第2位は『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』がランクイン。2024年4月に発売し、同年10月には「書店員が選ぶノンフィクション大賞2024年」を受賞。その後も、「新書大賞2025」では大賞を受賞するなど、多くのビジネスパーソンの共感を呼ぶことでロングヒットとなった。

第5位には『荒木飛呂彦の新・漫画術 悪役の作り方』、第7位には芸人NON STYLE・石田明による『答え合わせ』がランクインするなど、従来アカデミックなラインアップの多かった教養新書においても、気軽に手に取りやすく、より読みやすい内容が読者に求められている傾向が表れる結果となった。

【文庫】発売から約14年、『青い壺』ヒットの理由とは?

新装版の発売から14年、有吉佐和子のロングセラー『青い壺』が文庫ジャンルの第1位を飾った。本書は、ある陶芸家が焼いた青磁の壺がさまざまな人の手に渡っていく過程と、その時々の持ち主と周りの人々との人間関係を描いた短編集。1998年に絶版していたが、文庫編集者の目にとまったことで2011年に新装版として復刊され、2022年には「こんな小説を書くのが私の夢です」という、原田ひ香による帯文がきっかけでブレイク。昨年11月にNHK「おはよう日本」で特集されると大きな反響があり、10万部の重版をする異例のヒットとなった。

第2位には東野圭吾の「マスカレード」シリーズから『マスカレード・ゲーム』、第3位には伊坂幸太郎の『ペッパーズ・ゴースト』が続き、定番作品の根強い人気がうかがえる結果となった。

出典元:日販調べ

構成/こじへい

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